安倍政権のツキが落ちたのか?
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52663879.html
2014年10月17日 在野のアナリスト
産経の記事『苦境の女性閣僚』で、気になる一文『本業以外で野党に足すくわれる女性閣僚』がありました。閣僚の資質とは関係ない、と言いたいのかもしれませんが、その前にこれは政治家の資質としてどうか? という問題です。松島法相に対して民主党から告発状もでましたが、公選法に関わる問題なのですから、そもそも本業である政治家としての資質がないのです。
昨日コメントにも記載しましたが、小渕経産相は額賀派。昔からお金にまつわるトラブルの絶えないグループです。リクルート事件、日歯連事件、いずれも竹下派の系譜がかかわり、自民党を揺るがした事件。今回もまた、自民党を凋落させかねません。安倍首相はASEMに出席していて不在ですが、まだ対応を菅官房長官と調整していないらしく、帰国後何らか決める、とされます。しかしこれは一閣僚の辞職では済みません。女性閣僚が活躍することで、好影響を…と自ら喧伝し、それが頓挫するのですから。しかも二人も。これは総辞職に発展しかねない問題です。
ASEMで、中国の李国強首相が安倍氏に、にこやかに挨拶してきたようです。日本側は中国語通訳を準備しておらず、互いに英語を介するもののようですが、このタイミングで中国が接近してきたのは雪解け、などではなく、明らかに閣僚スキャンダルを知り、優越的態度で接近してきた、とみるべきです。つまりこれで安倍政権の支持率は凋落する、日本が折れる形で日中会談に応じる、そのキッカケを与えに来たのです。外交は相手の弱みにつけこむものです。中国は9月の景気判断を持ち直し、とするなど、今は日本に折れる必要もなく、大国としての余裕をみせつつ、APECで首脳会談を日本から持ちかけさせる戦術をとってきた、それがこの挨拶の意味です。
しかも海外から気になる記事がもう一つ。Wikileaksが再びTPPについてのリークをだし、そこには様々な問題がある、とされます。デジタル著作権管理の回避規制、これは表現の自由を制限するものです。著作権規約を特例のみ各国独自に認める、つまりほとんどの著作権は米国がその延長期間などについて決める、ということです。企業秘密の暴露は有罪、個人の著作権侵害の怖れのあるものは勝手に除去、等々。要するに、かなり言論の自由は制限され、尚且つ米国基準をうけいれ、また米国より厳しい基準を各国は課される、という内容になっている、とのことです。
米国のコンテンツ産業の保護と、米国の情報管理に都合いい内容となっており、益々TPPに参加すると不利益が増しました。以前、指摘したように日本はTPP交渉に関して、妥協するための布石をうち始めている。この著作権問題も当然知っているはずですが、国益を損なっていることを知りつつも、日本側は屈する気かもしれません。ASEMで、安倍ノミクスを改めて売りこむ、と意気込んでいたようですが、世界は今、安倍ノミクスは悪い意味で用いられることを知るべきです。
しかも、女性活躍も地方創生も、成長戦略ですらありません。地方に本社機能を移転すると税優遇、などという話もありますが、これは単なる配置転換で成長はしません。今国会の目玉がその2つなら、日本は成長を放棄したと看做されている。そこに来て、目玉の女性閣僚の質が悪かった。無理やり女性を幹部などにしても、能力主義ではなければ成果がでないばかりか、マイナス面も多い、と俄かに露呈してしまったのです。成長戦略どころか失速戦略になってきた。消費税再増税を前にして株価急落、景気に不安も漂うという、安倍政権のここ1年余りのツキのなさ、これが最大の総辞職へと導く原因になりかねないのでしょうね。