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2014年10月07日23時57分 〜
記事 [経世済民90] 日銀の政策決定会合(在野のアナリスト)
日銀の政策決定会合
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52653100.html
2014年10月07日 在野のアナリスト


ノーベル物理学賞に、青色LEDの発明に携わった赤崎氏、天野氏、中村氏の3名が選ばれました。喜ばしいのですが、やはり気になるのが、中村氏が特許訴訟で企業ともめた点です。日本企業の成果報酬に関して、大きな議論をよびましたが、ノーベル賞の受賞段階になると、多くの研究者が米国の大学に在籍している点は、やはり日本の研究体制というものに疑問を感じます。すばらしい発見をしても、他者との関係性を気にして、成果報酬の面や地位などに優遇がない。このままでは発見、日本人、所属、米国という形が定着してしまう気がしてなりません。

日銀の政策決定会合が開かれ、現状維持が決まりました。途中、国会の質疑に応じるため中断するなどもありましたが、黒田総裁は夕刻の記者会見でも強気の見方を崩しませんでした。ただ微妙に、来年度の2%物価目標に対して、到達しなければQQEの調整、という形の言及もあり、追加緩和に含みは残した形です。しかし人材不足と、実質賃金の低下、消費鈍化が同時におこる今に対応する施策は見当たらず、金融緩和の調整で上手くいくか、という話はありませんでした。

また国会で、黒田氏は円安について「多分プラス」と述べ、その効果について自信のなさも示しました。安倍首相も外需の鈍さを認めていますが、小泉政権当時は日本だけが景気が弱く、金融緩和したため、そのマネーが海外の不動産バブルを引き起こした。それが外需を盛り上げたのであり、現在は世界全体に景気低迷、またサイクルも早すぎるためにバブルも起きない。なので、外需の弱さも想定できていなければいけなかったのです。安倍氏はまた、企業が海外へ工場移転する流れが止まっている、と述べますが、民主党政権時代は円高で、今は資材調達コスト、人材不足で海外へと移転するインセンティブが働くのです。何より、内需の弱さは国内の工場稼働率を低くします。今、工場移転の動きがないのは積極投資する必要がない、という理由なのです。

米FRBが労働市場情勢指数(LMCI)を発表しました。初めての指標なので、評価もできませんが、1月からの流れをみると3.0、3.0、4.9、7.1、6.3、5.1、2.7、2.0、2.5です。ここからは4月にピークをつけた後、低調な伸びにとどまっているのが今です。雇用統計など、注目される指標以上に、米国経済も堅調ではあっても伸びは低い。賃金の伸びが低い今、米経済がいつ腰折れしてもおかしくありません。今の経済は、バブルが起きないと支えられないのが現状です。

翻って日本では、IMFが日本経済の見通しを7月の1.6%成長から、0.9%成長に下方修正しました。日銀が国家財政規模にせまる勢いで、資産を増やしている中で、微増の成長にとどまるという、極めて問題のある指摘であり、しかもこれは年単位の計算ですので1-3月期も入る、いわゆる駆け込み需要も含んだ数字であり、より深刻であることが窺えます。科学の分野では、日本人の基礎研究に光もあたりますが、経済の分野では、日本人の意見など世界からは歯牙にもかからない。昨年は注目された黒田総裁でさえ、今では悪評の方が目立つほどです。理論経済学者の宇沢氏は、先ごろ亡くなられましたが、世界で通用した氏は新自由主義の経済理論を忌み嫌った、とされます。その理論を今、採用している日本の経済が、喧伝されていた効果もなく失速していくのは、所属、米国という経済体系による限界、ということも言えてしまい、世界へむけた発信力もなければ、見向きもされなくなるのは仕方ないのかもしれませんね。



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