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ボーッとした時に症状 「大人の斜視」は保険手術で治せる
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/153756
2014年10月2日 日刊ゲンダイ
ボーッとしている時、右(左)目は正面を向いているのに、左(右)目は正面より外側を向くようなら、斜視の一種、「間欠性外斜視」の可能性が高い。手術で改善することができる。帝京大学医療技術学部視能矯正学科・林孝雄教授に話を聞いた。
片方の眼球は正面を向いているのに、もう片方の眼球は別の方向を向いているのが、「斜視」だ。「別の方向」が外側なら「外斜視」、内側なら「内斜視」、上方なら「上斜視」、下方なら「下斜視」という。
斜視にはいくつか種類があるが、間欠性外斜視は、意識して物を見ている時は両方の目は正面を向いている。しかし、力を抜いている時などに「外斜視」になる。
「もともと斜視はあっても、眼球についている筋肉で目の位置を調整しているので、最初は目立ちません。ところが、少しずつ調整がうまくいかなくなり、片方の目の向きがずれていきます」
その角度が大きくなったり、頻度が増えたあたりで、他人から「どこを見ているの?」「後ろにだれかいるの?」など、目の位置が“普通”でないことを指摘される。それで悩んで、病院に来るケースが多いという。斜視が目立ち始めるタイミングには個人差があるが、「大人になって初めて気が付いた」という人も少なくない。
■再発の可能性も高め
間欠性外斜視で患者本人が一番の問題点とするのは、やはり「見た目」だ。外斜視の目を無理に正面に向けようとするために起こる眼精疲労も指摘されている。ただし、現代人はパソコンを使っている人が大半なので、斜視がなくても眼精疲労がある。だから、斜視イコール眼精疲労ではない。
「それもあって、眼精疲労だけなら特に強く勧めませんが、見た目が気になるなら、迷わず手術を勧めます。手術で間欠性外斜視は改善しますし、言い換えれば、手術以外に治療法はありません」
間欠性外斜視の手術は、保険適用だ。帝京大学医学部付属病院の場合、水曜日入院、木曜日手術、金曜日に様子を見て、土曜日に退院という流れになる。
方法は、眼球の外側についている筋肉をいったん切り離し、後ろの方にずらして縫う。これによって、目を外側に引っ張る筋肉の働きを緩める。眼球の内側の筋肉を切除して短くし、元の部分に縫い直すこともある。
「斜視の治療は、両方の目のバランスを考えることが重要です。眼球の外側の筋肉をいじるか、内側の筋肉をいじるかは、斜視の状態によっても、医師の見立てによっても、異なってきます」
すでに述べた通り、手術で斜視は改善される。ただし、残念ながら、効果は永久に続くわけではない。
「かなりの確率で、また斜視が起こってきます。年数は、数年後の人もいれば、10〜20年後という人もいます。その場合、手術が再検討されます」
2度目の手術が必要になることが珍しくないため、林教授が重要視しているのは「手術のスピード化」だ。林教授の場合、1つの筋に対して10分前後での手術を心がけている。
「手術時間が長いと、空気に手術部位が触れる時間が長くなり、組織の癒着化が起こりやすい。追加手術の時は、その癒着部分を取り除かなくてはならず、痛みや出血につながるので、手術時間は短い方がいいのです」
80代でも手術は可能だが、心臓病やコントロール不良の糖尿病などがある人は、主治医に相談の上となる。