独立支持層が急伸(頭が痛いキャメロン英首相)/(C)AP
スコットランド独立なら超円安 スタグフレーション突入へ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/153461
2014年9月18日 日刊ゲンダイ
スコットランド独立の是非を問う住民投票が18日に行われる。結果が出るのは日本時間19日の午後だ。
直前に行われた英メディアの世論調査では、どこも独立賛成と反対が拮抗。英国のキャメロン首相は当地を訪れ、独立を思いとどまるよう、演説でこう懇願した。
「皆さんが、私を嫌いなことはわかってます。でも、現政権が永遠に続くわけではない。どうか、一時の好き嫌いで独立を選択しないでください」
どこぞのAKBみたいなセリフには笑ってしまうが、それだけ切羽詰まった状況なのだ。それも遠い海の向こうの出来事だと、ノンビリ構えてはいられない。スコットランド独立となれば、日本経済は壊滅的な打撃を受けるからだ。金融関係者は固唾をのんで投票結果を見守っている。
「英国の政情不安でポンドが売られ、ドル買いが進んだ影響で円安に振れているのが現状です。スコットランド独立が決まれば、英国からの資金流出が加速する。米国の金利が上がっていることもあり、ますますドルの独歩高が進みます。その結果の超円安で、日本はスタグフレーションに突入してしまいます」(RFSマネジメント・チーフエコノミストの田代秀敏氏)
今の107円水準でもコスト高で悲鳴なのに、これ以上の円安に中小企業は耐えられない。実質賃金も加速度的に目減りし、庶民生活は破綻に向かって一直線だ。
■独立運動は沖縄にも波及
「独立が成功すれば、スペインのカタルーニャやバスク地方、イタリア北部、ベルギーのフランドル地方など、各地の分離独立運動が勢いづく。あちこちで独立騒動が起これば、欧州は大混乱です。歴史的に、資本主義はおよそ10年に一度、大きな金融危機が起きていますが、リーマン・ショックからすでに6年。スコットランド独立を契機に、欧州危機、さらには世界金融危機に発展してもおかしくない。それに、欧州の独立運動は沖縄にも波及する。現に、『琉球独立』を唱えるグループは今週スコットランドを訪れて、現地の独立派と意見交換しています。スコットランド発の金融危機と独立運動の波が、瞬く間に世界中をのみ込んでしまうかもしれません」(田代秀敏氏)
作家の佐藤優氏も、東京新聞のコラム(12日付)で「スコットランド情勢が今後、沖縄に無視できない影響を与える」と書いていた。こうした独立運動は、グローバリズムに対するアンチテーゼでもある。1%の富者がますます富んで、99%が不幸になるグローバリズム=新自由主義を推し進めてきたのが英国だ。それに対して、地方自治の充実を訴えたのが、スコットランド独立の動きで、これが現実になれば、資本主義を含め、世界は大きく変わっていくことになる。