人影もない中国の高層ビル群=内モンゴル自治区オルドス市(共同)
【断末魔の中韓経済】中国不動産バブル崩壊へ 押しとどめる術はない…
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140903/frn1409031140001-n1.htm
★(2)
中国の不動産バブル崩壊については、本連載において定期的に取り上げてきた。現在、中国の不動産価格は、国家統計局が数値を発表するたびに、「前月より悪化する」状況が続いている。
2014年4月の中国新築住宅価格指数は、主要70都市のうち、6都市が対前月比で下落した。5月は35都市。6月は55都市。そして、8月18日に国家統計局が発表した7月の新築住宅価格は、64都市が対前月比下落となったのである。ついに、主要70都市で新築住宅価格指数が対前月比で下落した都市が全体の9割を超えてしまった。
問題なのは、北京や広州、上海など、中国の不動産バブルの主役を務めていた都市においてまで、住宅価格指数が下落に転じたことだ。
不動産を購入した中国人民や企業は、住宅ローンを組んでいる。住宅価格の値下がりは、既存のローン返済者の住宅売却を促進する。価格が下がり続ける住宅を売却することで、将来的なローン返済負担から逃れようとするわけだ。結果的に、住宅価格は継続的に下落していくことになる。
まさに、日本の不動産バブル(1992年まで)や、米国の住宅バブル(07年まで)で発生した「バブル膨張」と「バブル崩壊」のプロセスを、中国は教科書通りなぞろうとしている。不動産バブルが崩壊過程に入ると、まずは不動産関連企業の業績が悪化する。
14年上半期の中国上場不動産会社の決算を見ると、前年同期比7%減と、全体では2年ぶりの減益となった。理由はもちろん、住宅の販売不振である。
興味深いことに、同上半期の中国上場不動産会社の「売り上げ」は、前年同期比7%増だった。現在、中国の不動産会社は「増収減益」になっているのだ。
これが何を意味しているかといえば、もちろん「値引き販売」「在庫処分」の開始である。不動産価格の先高観が後退し、今後、住宅販売が不振に陥ることを確信した不動産会社が、手持ちの在庫を安値で売り払い始めたという話である。
不動産会社の在庫処分、住宅価格の値下げが始まった以上、今後の中国で「投機」目的の住宅購入は縮小していかざるを得ない。住宅価格が下がれば、持ち家を欲する中国の一般人民の購入が増えると思うかもしれない。とはいえ、現在の中国の不動産価格は、一般人民にはまったく手が届かない水準にまで高騰している。
結局のところ、国内の格差を拡大し、持てる者、持てない者に人民を二分してしまった中国に、不動産バブル崩壊を押しとどめる術はないのだ。中国の不動産バブル崩壊は、ポイントオブノーリターン(帰還不能点)を過ぎた。 (経済評論家・三橋貴明)