安倍改造人事の隠れた注目点
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2014年8月19日 藤本順一が「政治を読み解く」
安倍晋三首相は夏休みの多くを山梨県鳴沢村の別荘で過ごす。予定では9日から11日まで別荘で過ごした後、12〜14日を地元山口に帰郷、15日は政府主催の全国戦没者追悼式に出席するためいったん東京に戻り、その後は再び別荘に22日頃まで滞在する。
もちろんこの間、9月第1週に行う内閣改造、自民党役員人事に思いを巡らすことになる。もっとも今回の人事、かなり早い段階でその全体像が浮かび上がってくるのではなかろうか。
何より安倍首相がいち早く、幹事長のイスに意欲を見せていた菅義偉官房長官の留任を決めたこと、そして同時に石破茂幹事長をはじめとする党三役全員を交代させる意向を示したことで安倍首相の頭の中はかなり整理できたのではなかろうか。
おそらくは、これまで安倍内閣を支え、政権の推進力の役割を担ってきた麻生太郎財務相、甘利明経済再生担当相ともう一人、目立たないが安倍外交の露払い役に徹してきた岸田文雄外相の3閣僚は現職に留める考えだ。となれば、すでに再任が確定している公明党枠の太田宏昭国交相を除く残りの13人が交代となる。形の上では大幅改造だが、重要閣僚が変わらず、注目されている女性議員の入閣数や顔ぶれも連日マスコミに報じられては、もはやサプライズ人事はなかろう。
残るは安保法制担当相への就任に難色を示す石破幹事長の去就、それにひょっとしたら公明党からもう一人、地方再生担当相に起用することがあるかもしれない。
マスコミの注目度からすれば、小渕優子元少子化担当相の幹事長、稲田朋美行革担当相の政調会長への大抜擢人事だろうか。しかしながら、高市、野田両氏でさえ党を束ねるには力不足は否めないものを、ましてや今回は選挙の実務を仕切る幹事長であればこのサプライズ人事はムリ筋である。しかも安倍首相が閣僚にはしたくない二階俊博元総務会長や町村信孝元官房長官、大島理森元幹事長、額賀福志郎元財務相ら派閥領袖、うるさ型のベテラン議員らのポストをどうするのか。党の要職にさえありつけなければ、黙っているはずもなく、政権基盤を揺るがす存在になろう。安倍政権の命運を握ることになるかもしれない実は今回の人事に隠された最大の注目点なのである。