研究開発費を増やさない場合の減税額をわざわざ小さくする必要はなく、現状維持でかまわない。
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研究開発減税を縮小、政府検討 投資増なら優遇拡充
2014/8/17 1:23
政府は2015年度の税制改正で企業の研究開発を支援する政策減税の見直しを検討する。研究開発費を増やした企業への減税を手厚くする一方、研究開発費を増やさない場合の減税額は小さくする。全体の減税規模は今より縮小し、15年度に始める法人実効税率引き下げの財源とする。減税の恩恵が小さくなる企業は反発しそうで、年末の税制改正論議の焦点となりそうだ。
研究開発減税には研究開発費総額の一定割合を法人税から差し引く「総額型」と、研究開発費を増やした企業の法人税を減税する「増加型」がある。15年度から増加型の減税を拡充する一方で、総額型を縮小する。
増加型の減税は現在、企業が研究開発費を直近3年の平均額より5%超増やした場合に増やした額の最大30%を法人税額から差し引いている。15年度から研究開発費を増やした割合が5%以下でも減税できるようにしたり、法人税から差し引く割合を最大60%まで拡大したりする案がある。
デフレ脱却には企業が設備投資を拡大して景気を押し上げ、賃上げにつなげることが欠かせない。このため「増加型」の減税を拡充し、企業が研究開発投資を増やすよう背中を押す。
総額型の研究開発減税は縮小する。今は大企業で研究開発費の8〜10%を法人税額から差し引ける。差し引ける割合を6〜8%に減らしたり、差し引ける額の上限を法人税額の30%から20%に下げたりする案がある。
見直しの影響は業種や企業規模によって異なりそうだ。すでに研究開発費が高水準で大きく増やしにくい自動車、製薬などの大企業は税負担が増える可能性がある。一方、これから研究開発費を大きく増やす企業は減税の恩恵が大きくなる。日本経済新聞社がまとめた14年度の「研究開発活動に関する調査」によると、業種別では機械・エンジニアリングが13.3%伸ばすほか、電機・IT(情報技術)も大きく増やす見通しだ。
政府は約35%の法人実効税率を15年度から数年かけて20%台に引き下げる方針だ。財務省は研究開発減税を縮小して実効税率下げの財源に回すことを検討する。
ただ、総額型による減税額は3686億円(12年度)と法人税関係の政策減税では最大。適用数も増加型の約4倍の8千件超と恩恵を受ける企業が多い。経済界は「成長戦略を実行するうえで、企業の研究開発は生命線」(経団連の佐々木則夫副会長)と減税の見直しに反対している。
経済産業省も今月末に財務省に提出する15年度の税制改正要望で、研究開発減税の維持や拡大を求める見通しだ。最終的にどう見直すかは与党の税制調査会が年末までに決めるが、調整は難航しそうだ。