「柳澤「私たちの力で、アベちゃんの自己実現に対抗するのです。」:国民安保法制懇」
http://sun.ap.teacup.com/souun/14877.html
2014/8/2 晴耕雨読
acaciaさんによる「国民安保法制懇」まとめ から転載します。
http://togetter.com/li/699613
国民安保法制懇
元内閣官房副長官補・柳澤協二さん「安倍首相は、『これで日本も普通の国になる』と言ったが、私は日本は普通の国であってはいけないと思う。第一に、かつて戦争をし、いまだにそれを清算していないからだ。第二に、集団的自衛権を使う国とは、普通ではなく軍事大国だからだ。」
柳澤さん「アメリカの公式な書類に書いてある本音はこうだ。『無人の岩のために我々を巻き込むな』。安倍会見で何度も使われた母子のイラストだが、私は『よくもまああんな絵を!』と思った。内閣参謀だった時、あんなシナリオは考えたこともない。彼の言うことは意味不明だ。」
柳澤さん「自衛隊は戦闘の現場に行かないと言うが、戦場において『ヤバさ』に境界線などない。通りの向こう側とこっち側で戦闘している時、じゃあそこにつながる路地は戦闘区域なのか違うのか?自衛隊員は必ず死ぬ。日本人は公式にイスラムの敵になる。テロの的になるのです。」
柳澤さん「自分にとっては、イラク派遣が一番大変だった。比較的安全とされたサマワだが、宿営地にはロケット砲が20発、IEDでフロントガラスは粉々だ。あの時、政治には真の覚悟が無かった。『何もしなくてよい。無傷で帰るのが政治の望みだ』と言って部隊を送り出した。」
柳澤さん「一人も死なさずに済んだ、と安堵したが、帰還後の28名自殺を報道で知った。PTSDは深刻だ。寝ていても爆発音が聴こえる、という者もいた。ある部下が転勤で新しいオフィスに入る時、自分の机をドアが見える位置に置き変えた。出口が見えないと不安だからだ。」
柳澤さん「軍隊は、出すのは容易だが、退くのは本当に難しい。とにかく犠牲を出さないよう、まるで夜逃げのように帰ってきた。それでも、一人も死なさず殺さず、何より一発の弾も撃たなかったことを、私は本当に良かったと思っている。」
柳澤さん「グローバル化は、戦争のコストの上昇、不経済化をもたらした。今は、大きな戦争はどの国もしたくない。しかし、小競り合いならやりたい、という部分がある。偶発的な事態を防ぐためのルール作りが大事だ。私は当面『拒否的抑止』を静かに維持するべきだと考えている」
柳澤さん「戦争を防ぐには国民感情を静かにさせることが最大の手立てだが、今は逆だ。これは日本だけではなく、中国も韓国も同じ。安倍さんは、ここまでは自分の思い通りだったかもしれないが、これからは違う。滋賀、福島、沖縄知事選が大事。世論調査をすごく気にしている。」
小林節慶大教授「昨日は、10のうち1言うために朝生に出た。出たくなかったが、出ないと言われっぱなしだから。とても不愉快だ。下品な連中に牛耳られて。」
「日米安保は片務じゃない。在日米軍基地に主権を放棄して金もたくさん出し、向こうは何もしてない。」
小林節教授「だから、『守れよな』と言って初めてバランスが取れる。『金だけ出して』と批判されたが、金があったからアメリカは戦争できたんじゃないか。」
「『集団的自衛権を持ってるのに使えない』。結構じゃないか。持ってて使えないものたくさんあるよ、定期預金とか。」
小林節慶大教授「『国際法上ありえない』とか言うけど、あれも嘘。国際法というのは、各国それぞれの法の枠内でやるのが約束である。集団的自衛権を持っていても憲法があるから使えないのは、憲法と法律で日本が動いているのだから当然だ。」
小林節教授「石油がストップしたら国が亡びるじゃないか!と危機感を煽るけれども、過去何回もオイルショックを切り抜けてきたことを忘れているのか。エネルギーも多様化している。ホルムズ海峡を閉鎖しても、一年ぐらいは何とかなる。その間に絶対にカタはつく。被害妄想だ」
小林節教授「三重県松阪市の山中市長は教え子だ。違憲訴訟準備のために、私にブレーンを依頼してきた。彼はスタンドプレーをするような人間じゃない。違憲訴訟自体は簡単ではないが、安倍さえ倒しゃいいんだよ。憲法無視する安倍を倒す。それができれば訴訟などどうでもいい」
小林節教授「山中市長は、国の危機に体を張って闘う覚悟だと言っている。皆さん、彼を応援してやってほしい。気持ちの応援はとても大切だ。それがないと萎えてしまうから。」
ここからは伊藤真弁護士、柳澤氏、小林氏の鼎談。
司会「何故安倍さんを許せないのか?」
柳澤「政府高官の肩書で批判するとは何事!と言われるが、私の言っていることは従来の政権の見解だ。憲法の枠内での、ある種の芸術だった。そこに防衛官僚のプライドがあった。」
柳澤「イラクが限界だ。憲法上の、と言うより、自衛隊と日本社会の限界だったと思う。あれ以上やったら棺が帰ってくる。そんな覚悟は政治にはない。これまでの経験があるからこそ、政治の希望と自衛隊の実務を繋ぐことができた。安倍さんは何をさせたいのか全く分からない。」
司会「改憲派として安倍さんに抗う理由は?」
小林「ずっと自民党の改憲勉強会をやってきたが、野党になった時にアナクロ化したので決裂した。私は、日本ほどの国が9条のお蔭で70年戦争してないのはすごい財産だと思うようになった。」
小林「この認識は護憲派と同じだ。しかし、これを変節と言わないでください。私は小林節です。(会場爆笑) 憲法は宗教じゃないから。安倍政権は、刺し違えてでも辞めさせたい。私の知性と良心が許さない。私は、彼を憲法泥棒だと言っている。」
伊藤弁護士「立憲主義を大切に思う気持ちは、改憲派・護憲派関係ない。安倍さんは、考えの違う人を周りに置かない。それは民主主義じゃない。と言うか、それ以前に人としてどうなの?と(笑) 違うだろう。立場の違う人同士の議論が大事、それは護憲派も反省すべきところだ」
伊藤弁護士「それは中韓との関係もそう。自分自身も省みよう。国は一人一人の集まりだから、国がやっていることは自分たちの社会の反映。社会の在り方が、安倍政権のやり方に繋がっている。今の政治は法治国家ではない。コンプライアンス無視だ。」
伊藤弁護士「法を無視する人間が、企業のコンプライアンスとか教育とか道徳とか、何を言うか。法律無視の態度がまず腹立つ。言っては悪いが、話しぶりが薄っぺらい。国民の命とか暮らしとかいつも言うが、彼自身から、個としての人間のかけがえなさへの共感が感じられない。」
伊藤弁護士「たぶん、安倍さんには何か別のものが大切で、国民の命や暮らしは、そのための道具だと思っているのではないか?」
ここからは講師への質問コーナー
質問「そうは言っても、尖閣や北朝鮮の危機は?集団的自衛権必要では?」
柳澤「中国のやり口には腹が立つ。尖閣での領海侵犯は常態化。エスカレートの引き金を誰が引くのかが重要。グレーゾーンは曖昧。政治家の頭の中がグレーなので。」
柳澤「尖閣は自衛隊法で対応できる。もう法はある。自衛隊だけで十分守れる。脅威感はない。」
「北朝鮮は、油が無くて、軍事パレードに出す分ぐらいしか実際には動かせないんじゃないか。現実的には韓国すら攻められぬ。北のパイロットの訓練時間は自衛隊の10分の1だ。」
柳澤「護憲派は自衛隊が嫌いかもしれないが、この問題で今一番つらい立場になっているのが自衛隊だ。自衛隊のことをもっとよく知ってほしい。何故ならば、(集団的自衛権に反対するうえで)一番の味方になるかもしれないグループだからです。」
質問「アメリカの考えは?どのような勢力が安倍政権を支えているのか?」
小林節教授「昔からアメリカは一貫して、『9条改正して一緒に戦争するのはいつか?』と尋ねてきた。しかし最近はないね。彼らはアジアに二軍が欲しい。日本は最適。国民性や色々な意味で。」
小林「安倍さんの育ちを考えてみよう。スーパー権力者の三代目。じいやばあやの世界だから、メンタリティも普通の人とは違う。明治憲法礼讃者が側近に数人。御用学者、評論家、官僚上がりの政治家。安倍の求めるものをすぐ言っちゃえる人間ばかり。彼らには良心がない。」
小林「良心がないだけでなく、どんな悪いことでも理屈付けられる人間たちだ。私から言わせれば気がおかしい。何かというと道徳にすぐ言及するが、お前に言われたくないんだよ。異常な坊ちゃん育ち。アメリカの圧力なんて昔からの話。」
質問「安倍さんは、確信犯なのか?無知から来る天然か?」
小林「決定的に憲法の基礎知識が欠けている。端的に言えば無知。人の言葉に耳を貸さない頑固さ。悪いと思ってないから、確信犯でさえない。」
伊藤真弁護士「用語も間違いだらけ。私は、『知的怠惰』と呼びたい」
柳澤「今、なぜ自民党内部は沈黙しているのか?選挙が怖いとかどうこうではない。彼らには、自分自身の中に考え方の軸がない。政治家のレベルの低下。本当に劣化している。無知なるが故の確信犯、と呼びたい。」
質問「集団的自衛権という言葉のまやかしや感情論にどう立ち向かえばよいのか?」
伊藤「自衛権という言葉に騙されるな。これまで、大国の軍事行動の正当化に使われてきた歴史がある。『日本だけが使えない』と言って劣等感を煽るが、『できるのにやらない』方がすごいこと」
伊藤「9条を持つのは日本だけ、世界の最先端を走るのも日本だけ。これこそを誇るべき。この国らしいあり方で、胸を張って貢献すればよい。」
質問「今後のスケジュールはどうなるか?年末のガイドライン改定があり、法整備はいつ行うのか?国会の前にガイドラインか?」
柳澤「何をしたいのかをまず政治が決めないと物事は進まない。『何でもできる法律を作れ』と言われても困る。法整備には結構時間がかかると思う」
柳澤「国民が異議を唱え続けることが大切。この問題が、メディアから一時的に消える可能性がある。野党は頼りにならない。与党を何とかしないと。この後の沖縄、福島知事選が非常に重要。」
質問「なぜここまで安倍さんは武力行使したいのか?」
小林「安倍が目指しているのは、国連安保理のメンバーになって、アメリカと一緒に世界に口を出すリーダーとしてふるまうこと。私は、日本にも安倍にも、その資格はないと思う。」
質問「徴兵制はあるか?」
小林「私は徴兵制はないと思う。心の底から嫌がる人間を戦場に行かせても、そんなの役に立たない。」
「閣議決定などというものは、閣議決定で撤回させられる。この政権を倒すことだ。」
質問「違憲訴訟の展望は?」
小林「これがなかなか難しい。事例が個別具体的でないと。例えば、海外派兵が決まって、その出発の朝に脱走する⇒懲戒⇒訴訟、とかね。あんまり早く辞めたいっていうと、どうぞ!ってなるから当日ね。(会場爆笑)」
小林「松阪の山中市長の訴訟は、『平和的生存権の侵害』というのが論拠になっている。なかなか難しいが、うまくやって役者をそろえれば、政治的パフォーマンスには使えるな。そういうことを積み重ねて、次の選挙でこの狂った政権を倒すしかないんだよ。」
質問「どうしたらこの暴走を止められるか?」
伊藤「私は、徴兵制の可能性はゼロではないと思う。『公益』の最たるものは国防であるから、『行きたくない心情は尊重するが、公益のために戦争には行ってもらうよ』となる。若者への国防意識の植え付けを巧妙に行うだろう。」
伊藤「デモや署名など何になる?と、無力感、諦めが一番いけない。『焦らず、慌てず、諦めず』。私たちは主権者だ。ハイジャックから取り戻そう。日常で声を上げる。毎日一本テレビ局に電話する。文具店でペンの試し書き用紙に『集団的自衛権反対』と書いてくるとかね(笑)」
柳澤「民主主義はやっかいなものだ。主権者が追求し続けないとダメになってしまう。21世紀になり、戦争体験世代が去りつつある中で、こうして大きな課題になった。これは、主権者としての私たちの自己実現。私たちの力で、アベちゃんの自己実現に対抗するのです。」
柳澤「これは我々にとって試練だ。うまく使えば、この国の民主主義を実現させるためのチャンスになる。野党は大同団結せよ。敵は一人だ。沖縄で負けたら、アベちゃんは心が折れるはずだ。」
主催の愛知県弁護士会からの挨拶
「チラシが出来たのが10日前、告知期間一週間にも拘わらず、450人超参加で今日の集会は大成功。国民安保法制懇は全国行脚に出るということだが、これだけのメンバーが揃うのは名古屋だけ。今日聞いたことを是非多くの人に伝えて下さい」