街中はゴミゴミだが/(C)AP
男性は80・87歳…香港はなぜ「長寿世界一」になれたのか?
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/152327/1
2014年8月3日 日刊ゲンダイ
男性の長寿世界一は香港――。このニュースに「何で?」と首をひねった人もいるだろう。
厚労省が発表した2013年の日本人男性の平均寿命は80・21歳で、世界第4位。1位は香港(80・87歳)、2位アイスランド(80・80歳)、3位スイス(80・50歳)だった。香港は女性も長生きで86・57歳。1位の日本(86・61歳)に次いで2位である。
この数年、香港は上位にランクインし、10年は男性が1位で女性は2位。11年は男女ともに1位。12年は男女ともに2位だった。
アイスランドやスイスは自然が豊かで水も空気もきれいな、長生きにぴったりの環境のイメージがあるものの、香港は札幌市とほぼ同じ面積に700万人以上が住む特別行政区。ゴミゴミした印象は長寿と結びつかないが……。
「小さな国や地域のほうが長寿になるのです」と言うのは医学博士の左門新氏だ。
「米国のような大国は富裕層は長寿ですが、ジャンクフードをよく食べる貧しい人は長生きできず、平均寿命を押し下げています。これに比べて香港やアイスランド、スイスのような小さな国は貧富の差がそれほどなく教育水準が高い。健康への意識が強く、食生活や規則正しい生活に気をつかうため、長寿になるのです」
香港は数年前に喫煙率が11%まで下がった。そのことも長寿の理由だろう。
「香港の人たちは無意識のうちに『医食同源』を心がけているのです。季節に合った薬膳スープを飲み、少しでも具合が悪いと街の薬屋で漢方薬を調合してもらう。太極拳と飲茶でストレスを解消し、家族を大切にして長寿の祝いを欠かさない。人々は『健康第一』という伝統の中で暮らしているのです」(香港在住のジャーナリスト)
風光明媚なところに住まなくても長生きできるわけだ。