バンコク中心部の商業ビル前で、タイ軍兵士らともみ合うデモ参加者ら(松本健吾撮影)
クーデター余波、歓楽街も“タイ”変 風俗嬢の懐直撃、死活問題に
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140527/frn1405271538008-n1.htm
2014.05.27 夕刊フジ
軍によるクーデターで揺れるタイ。いまのところ、流血、騒乱など大惨事は起きてはいないが、打撃は各地に及んでいる。「アジア最大級」と称されるタイの歓楽街も同様だ。軍が発令した夜間外出禁止令が、風俗店を直撃。業者らは「とても商売にならない」と悲鳴を上げている。
「夜間外出禁止令で(バンコクのナイトスポット)ナナプラザ、ソイ・カウボーイなどの店舗は午後10時には閉店するようになった。無線を持った警官が店を一軒一軒回って、営業を停止するよう呼びかけている」(現地駐在員)
今回の夜間外出禁止令は、首都バンコクだけでなくタイ全土に発せられた。日系企業などが進出する巨大工業団地で知られるチョンブリー県(バンコク近郊)も同様で、工場の従業員が夜な夜なタイ娘に癒やされる歓楽街シラチャやパタヤでも午後9〜10時には強制閉店となっている。
「1月から激化した反政府デモで夜遊び客が激減し、日系企業でも社員に夜間外出の自粛を求めたところが多く、風俗嬢の懐を直撃していた。そんな状況での夜間外出禁止令とクーデター。客が来ないどころかまともに営業ができず、彼女らの死活問題になっている」とは、アジアの風俗事情に詳しいライター。
風俗嬢の多くは「イサーン」と呼ばれるタイ東北部の出身。「貧しい農家から出てきた娘が大半」(同)だそうで、農村へのバラマキ政策を続けたタクシン元首相派の支持者が多い。
「そのため、タクシン氏の妹、インラック首相率いる政権へのデモに対しては、彼女らの多くが反対していた」(同)
だが、インラック政権は反タクシン派のデモに追い詰められ、揚げ句、軍がクーデターを起こして「国家平和秩序評議会」を設置。そして夜間の外出禁止という“非常事態”に…。
ナナプラザのゴーゴーバー嬢は「反タクシン派は民主的じゃない。選挙をすればタクシン派が勝つのに納得できない。治安を気にして、お得意さまの日本人が寄りつかなくなってしまわないか気がかり。早く混乱が収まってほしい」と嘆く。
切実な訴えがタイの歓楽街をさまよっている。 (ライター・室橋裕和)