投稿者より〜以下の記事、今年後半の投資テーマを語る連作の2回目記事です(新聞日付は26日ですが、実際の発行日は24日)。次回3回目か6月末の「成長戦略第2弾」発表後に具体的な投資対象銘柄を示すのでしょうか? しかし、朝日新聞の吉田調書入手スクープ、例の福井地裁判決、自民党内の不協和音表面化などによって、何とか順風にのってきた安倍政権に陰転変化の兆候が見え始めたのは明らかです。この変化、1月からの軟調な相場つきのとおり、すでに株式市場は先取りしてきました。6月の日経平均はここ何日かの地合いに見えるように期待から反発基調がしばらく続くと思いますが、7月〜8月のもみ合いを経て、秋以降には大暴落する可能性大とみています。株価を上げることに熱心なアベクロ路線でしたが、「岩盤規制に風穴開ける」どころか、政権基盤が崩壊するのは案外と早いかもしれません。
(以下、転載開始)
国家戦略特区が再び相場のメーンテーマに浮上しそうな気配だ。政府は21日から、国家戦略特区で事業を行う民間企業の1次募集を始めた。35項目ある規制緩和メニューの中から最低一つ以上を活用した事業であることが条件。応募の締め切りは6月3日で、応募期間はたったの2週間である。
この短期間に用地手当てを含めた商業施設や医療関連施設、職住一体の高層マンションの建設などの事業構想をまとめるのは、どう考えても無理がある。選ばれる事業者はおおかた決まっていると考えるのが自然ではないか。
●ハーバード大学の名も
しかも、安倍政権としては6月末に発表する成長戦略第2弾の中で、「国家戦略特区ではこんなすごいことをやります」というサプライズを内外に示す必要がある。となれば、東海道貨物支線を活用した羽田空港へのアクセス改善プランや、川崎臨海部に米国の医学部(メディカルスクール)を誘致するといった目玉が欲しいところだろう。
ちなみに、川崎臨海部のライフイノベーション総合特区に米国のメディカルスクールを誘致する件に関しては、黒川・神奈川県知事とライフイノベーション国際協同センター(GCC)の幹部が今月初めに訪米。有力候補とみられるジョンズホプキンス大学とハーバード大学との間で、医療研究に関する覚書を交わしている。
米国のメディカルスクールは4年制で、基本的に大卒者が対象になる。米国の医師の資格が取れる一方で、現在の日本の法律では日本の医師国家試験の受験資格は得られない。また、米国の医師が日本に来て診療できない現実もあり、ここを国家戦略特区に限定した規制緩和で突破しようという試みである。
同特区には慶応大学医学部の再生医療チームの研究拠点があるほか、内外の有力医薬品メーカーも複数進出済みで、米メディカルスクールの誘致もかなり現実的な話になっているようだ。
●岩盤規制に風穴
(大メディアが既に報道する内容とほぼ同じにつき中略)
6月末の成長戦略第2弾発表に向けて、今まで手のつけられなかった岩盤規制の改革案が次々に浮上すると予想されるが、その原動力になっているのは、やはりTPPだろう。強力な外圧となるTPPを逆手にとって、岩盤規制の聖域に風穴を開ける作戦である。
●大筋合意直前の見直し
これまでの歴代政権が発表した成長戦略は8件あるが、そのどれもが、ほとんど成果らしい成果はあげていない。いずれも規制緩和策が成長戦略の柱になっていたのと同時に、規制で恩恵を受ける既得権益集団が与党の支持母体にもなっているからである。
ところが、前回の当欄でも書いたように、日本がTPPを批准した場合、非関税障壁と言われるさまざまな規制によってTPP加盟国の外国人投資家や外資が損失を受けた場合、TPPに付随するISD条項で、損害賠償訴訟(国際投資紛争解決センターへの仲裁提訴)を起こされてしまう。
健康保険など、あらかじめTPPで例外扱いされる分野は対象外だが、相当な広範囲にわたる業界で、米国の経済ルールから著しく逸脱した規制は、その大半が訴訟対象となると言っても過言ではない。だからこそ、TPPの大筋合意直前になって、訴訟対象になりそうな岩盤規制や過剰規制を見直す動きが加速しているのである。
(転載終了、続きは5月31日発行6月2日付の株式新聞に掲載予定とのこと)