人々をダマす生命保険だらけ?無意味、かえって損…不安をあおり、メリットばかり強調
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140518-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 5月18日(日)10時40分配信
就職や結婚、子どもの入学……4月から新生活が始まり、保険への加入や見直しを検討している人も多いだろう。世帯主の死亡に備える定期保険、病気やケガに備える医療・がん保険。保険にはライフステージに合わせてさまざまな種類があるが、加入を検討する際にはまず、保険業界の“常識”を押さえておきたい。
というのは、保険業界もビジネスであり、儲けを生み出すためにさまざまな工夫を凝らしている。その時々の金利動向や販売員に払われる手数料などの影響で、販売員が勧める保険商品が変わってくるからだ。
「保険のテレビコマーシャルは、見ている人の不安をあおることや、その保険のメリットばかりを強調しているように感じます。反対にデメリットと思えることであっても、表現方法を変えるとメリットに聞こえてきてしまうから不思議なものです」と『生命保険にだまされるな!』(横川由理・長尾義弘監修/宝島社新書)は指摘している。
●保険料が上がらないのは、保障が低いから
デメリットをメリットのようにだます、注意すべき手口が「保険料は一生上がりません」という表現だ。
そもそも、年齢を重ねるにつれ死亡する確率や入院する確率が高くなることから、更新を迎えると保険料は高くなりがちだ。そこへ「保険料は一生上がりません」という表現で誘われれば飛びつきたくなるのも人情だ。病気やケガで「入院すると1日5000円の保障(1入院60日や120日)、この保障が一生涯続く」といった保障を目当てに、一生涯保険金を支払い続けることになる。
しかし、そうした保険の多くは「保障の低い」医療保険やがん保険なのだ。例えば、最大で60万円(5000円×120日)の保障を受けるために毎月2000円支払うケースを考えれば、毎月2000円を25年貯蓄して60万円を貯めるほうがいい。一生を通じて100万円超を払い込んだ上に、入院せずに死亡するケースもあり得る。結局、掛け捨ての保険のため、払っただけ損になる。しかも、高額療養費制度など公的な保険も充実しているうえに、医療技術も発達して、長期間入院するケースは少なく、加入しても損をする可能性が高い。
つまり、「一生涯、保障が低い」というデメリットを「保険料は一生上がりません」とメリットのように表現して、加入者を伸ばしているのが医療・がん保険なのだ。
●終身保険は損?
また、生涯保障が続く終身保険も注意が必要だ。
「(終身保険は)貯蓄性のある保険というと良いイメージを持つものですが、予定利率の低い現在は、終身保険のメリットを感じられません。なぜなら平均寿命で死亡すると考えた場合、保険金は自分で貯蓄を行ったときと比べてたいして変わらないからです」
ただし、終身保険は死亡保険金として法定相続人1人につき500万円までが非課税になるため、相続税対策としての活用は有用だという。
さらに、知っておきたいのは、掛け捨てタイプの保険(定期保険や医療保険に多い)の保険料が下がり始めているということだ。
「保険会社の新規参入に加え、医療保険や定期保険などの新商品が続々登場したことで、価格競争が激しくなってきました。特に、2013年はこの傾向が強かったといえるでしょう。これからも保険料は安くなっていくと思います。(略)時がたてば必要保障額も少なくなりますから、保険を見直す効果は大きいといえるでしょう」
「掛け捨てタイプの保険はネット系生保(ライフネット生命、楽天生命など)が総じて保険料が低い」という業界の常識もある。
●保険会社ごとに違う特性、かんぽは総じて割高
「一方、大手生命保険会社の保険料は高いという結果に。しかし、これが個人年金や学資保険になると、順位は逆転します。そう、日本生命や明治安田生命のほうが安いのです。介護保険も大手は充実した保障を準備。こんな違いがあることをご存じでしたか?」
保険会社ごとに独自の強みや特性があり、保険商品も変わってくるというわけだ。
また、郵便局のかんぽ生命保険は総じて保険料が高い。終身保険「新ながいきくん(定額型)」、定期保険「新普通定期保険」、個人年金保険「新定期年金保険」といったかんぽ生命の保険商品は「そもそも保険料が高め」のうえに、「医療特約付きで提案され、こちらから指摘しないと特約付きで加入することになる」のだという。
特約などをつけて複雑化させ、他の生保との比較をさせないというのも、業界の常識だ。やはり、自分のライフステージに合ったシンプルな保険を選びたいものだ。
編集部