中韓経済共通の闇 搾取と競争強いられ、外国逃亡する国民 三橋貴明氏
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140507/dms1405070830001-n1.htm
2014.05.07 夕刊フジ
歴史的に見ると、中国と韓国が抱える「経済の問題」の本質は酷似している。すなわち、グローバリズムである。両国ともにグローバリズムにビルトインし、中国では共産党官僚や太子党(共産党高級幹部の子弟)が、韓国では財閥企業の一族が、国民(中国の場合は人民)から所得を吸い上げる「トリクルアップ」構造が完成している。
特に、中国の場合は民主主義が存在しないため、人民は政治的に状況を改善することはできない。請願や陳情、賄賂を駆使し、人民は環境破壊や汚職、収奪といった問題に立ち向かおうとするが、結局はどうしようもなく、暴動に至る。厄介なことに、中国のノーメンクラツーラ(赤い貴族)たちには「国民意識」が皆無だ。彼らはまるで植民地に降り立った宗主国国民のごとく、人民から容赦なく所得を奪い、ひと財産を築き、家族とともに安全な外国に移り住む。
韓国の場合は、民主主義は存在しているものの、とにかく財閥企業の影響力が大きすぎる。何しろ、2012年の韓国10大財閥の売上高の合計は、同国のGDP(国内総生産)の75%を上回ってしまったのだ。韓国における財閥企業は、いわば李朝時代の両班(貴族)だ。韓国の子供たちは、貴族階級にはい上がるために、苛烈な受験地獄、就職戦線を戦い抜く。とはいえ、サムスン電子に入社できるのは、応募者の700人に1人に過ぎない。
しかも、首尾よく財閥企業に入社できても話は終わらない。今度は社内のライバルたちと「役員」という地位を目指した競争が始まる。韓国の財閥企業では、45歳くらいまでに役員に出世できなければ、肩たたきされる。すなわち、リストラだ。
過酷な競争に敗れた国民がどうなるかといえば、ニートになるか、派遣労働者になるか、自営業になるか、いずれにせよ終わりなき「貧困」の中へとたたき込まれる。
上記のありさまでは、韓国の出生率が1・19(13年)と、日本を上回る少子化で、米国永住権を取得する韓国人が、人口比では中国をも上回っているのも無理もない。実のところ、韓国人こそが世界で最も韓国を嫌いなのだと思う。
中韓両国はグローバリズムの下で国民が搾取され、厳しい競争を強いられ、外国への「逃亡者」が多いという共通点を持つ。
12年の米国永住権取得者を見ると、韓国人が約2万人、中国人が約8万人だった。中韓政府が日本バッシングに精を出しているのは、要するに、両国ともに国民(人民)が不幸な国家であり、外に敵を求めなければ政府に怒りが向かうためなのだ。それを理解して初めて、わが国が中韓両国と「いかに付き合うべきか」が見えてくる。 (経済評論家・三橋貴明)