パイナップル科学賞(1)物理学賞:92元の隠れみの
2014年04月22日11:43
浙江省科学技術館と科学普及サイト「果殻網」が共催する第3回目の「パイナップル科学賞」の今年度の受賞者が12日夜、発表された。「科技日報」が伝えた。
主催者は同賞について、「パイナップル科学賞は真面目な科学賞です。私たちは、『好奇心に敬意を表する』というスローガンの下、想像力にあふれる科学研究の成果や実践を幅広く集め、表彰し、伝えています。世界を変える野心はないけれども、世間によって好奇心を打ち砕かれていない人を見つけ、多くの人と科学を共有しようという試みです。毎年4月の第2週末に結果を発表し、受賞者に最大の敬意を表しています」と説明する。
「隠れみの」を夢見たことのない人はいないだろう。科学者らは、大量の人的・物的力を駆使して物を隠す技術を追求してきたが、まだ実現には至っていない。浙江大学情報電子工学科の研究チームは、光の屈折原理を応用し、ガラスと定規、物差し、分度器を使って、子猫を自然光の下で消してみせる装置を製作した。この発明には幅広い用途がある。答案用紙を隠したり、臭い靴下を隠したり、へそくりを隠したり、日常的なニーズには事欠かない。
浙江大学の陳紅勝教授の研究チームは、人類の視覚が光学計器よりずっと騙しやすい所に目をつけた。人間の視力は、光線が異なる経路をたどって伝播する際の時間差に鈍感で、光線の偏光度にはさらに鈍感である。この2つの条件を緩和することによって、同研究チームは、身近で安価な材料(計92元)を使って大きな物体を隠せる隠れみのを作り出した。
コンピューターや携帯電話、インターネットに続き、この発明も人類の生活を大きく変える可能性を持っている。専門家は、答案用紙を隠したり、へそくりを隠したり、臭い靴下を隠したり、隠れんぼをしたり、「穴があったら入りたい」という時など、日常的な用途にこの発明を普及させていけばと提案している。(編集MA)
「人民網日本語版」2014年4月22日
http://j.people.com.cn/95952/8605734.html
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パイナップル科学賞(2)心理学賞:子どもの嘘を祝え
2014年04月22日14:03
嘘をつく子どもは一般的に、悪い子どもだと考えられている。だがトロント大学児童研究所の李康研究チームによると、嘘は脳の高次の機能であり、子どもの認知能力の発展を示すもので、子どもの成長の一里塚であるという。子どもがついた初めての嘘は、初めて生えた乳歯や自分の足で歩いた初めての一歩と同じくらい大切で、祝うべきことだというのだ。私たちはこの成果によって、子どもの嘘をより客観的に捉えることができるようになった。科学にとっては小さな一歩だが、幼児教育理念にとっては大きな一歩となる。
ほら話が好きな子どもは、制御系の機能テストでも良好な成績を収めている。子どもが嘘をうまくつくことは、発育が正常で頭がいいことを示しており、勉強でも仕事でも余裕をもってこなせる人になる可能性が高い。
受賞チーム:復旦大学現代人類学教育部重点実験室、中国科学院マックスプランク協会計算生物学パートナー研究所 金力、汪思佳、譚婧沢ほか。(編集MA)
「人民網日本語版」2014年4月22日
http://j.people.com.cn/95952/8605850.html
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パイナップル科学賞(3)数学賞:苦手意識の原因探求
2014年04月22日14:14
世の中には数学的なセンスがないという人がおり、はっきりと苦手意識を持つ人も多い。オハイオ州立大学心理学科の王阜、究チームによると、数学への苦手意識のうち遺伝子にかかわるものは40%にすぎない。数学の教師や家庭環境、不愉快な経験などによって、子どもの数学の成績は大きく左右される。古い教えを唱えるだけの「三蔵法師型」の教師や恐ろしい「牛魔王型」の保護者、子どもをはたくはたき、70デシベルを下回ることのない叱責の声は、どんな子どもからも数学に対する自信を奪ってしまう。
数学への苦手意識がある人は、数学と聞いただけで恐怖を覚える。2012年、スタンフォード大学の研究者は、苦手意識を持って学生が問題を解くと、解答速度が遅くなり、間違いも起こしやすくなることを発見した。この時、学生の脳内では、恐怖をつかさどる扁桃体の活動が活発化し、推論や作業記憶に関わる脳内のエリアは活発度が下がったこともわかった。簡単に言うと、これらの学生が数学の問題を見た時には、蛇や蜘蛛を見た時と同様の反応が脳内で起こっている。
研究参加者の一人であるオハイオ州立大学心理学科のStephen Petrill教授によると、研究の目的は、誰が数学に向いていないかを定めることにではなく、数学への苦手意識の原因を理解し、心理的な障害を克服する方法を見つけることにある。苦手意識を作り出している原因がわかれば、数学を敬遠している人にも真の実力を発揮できる可能性が生まれる。(編集MA)
「人民網日本語版」2014年4月22日
http://j.people.com.cn/95952/8605869.html
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パイナップル科学賞(4)医学生物賞:東洋人は汗っかき
2014年04月22日14:21
大事な場面で汗をかいてしまうのは気まずいもの。だが発汗は人間に必要な生理的機能であり、そこには東洋人と西洋人とでの違いもある。復旦大学や中国科学院などの研究員は、約3万年前の中国中部で遺伝子変異が起こり、汗腺の密度が15%高くなったことを発見した。東アジア人のほとんどは変異したこの遺伝子を持っているため、汗っかきなのだという。
復旦大学とハーバード大学の科学者らは東アジア人の遺伝子からEDAR370Aと呼ばれる変異を見つけた。遺伝子進化の速度から推定すると、この突然変異は約3万年前に起こったものと考えられる。EDAR遺伝子が発現するタンパク質は、受精卵の中胚葉と外胚葉の相互作用を調節するカギとなり、頭髪も乳腺も歯も外胚葉から分化したものである。そのためこの遺伝子変異は単独で、毛髪や汗腺、歯、乳腺の形態にまで影響を及ぼす。この遺伝子を持っていることで、皮膚上の汗腺の密度は15%高まり、頭髪の太さと密度も高まる。中国と米国の科学者がこれを証明するため、マウスでこのプロセスを再現した結果、EDAR370A変異を持つマウスは汗腺が多くなった。その毛も黄色人種と同じように密度が高まり、直毛になったという。(編集MA)
「人民網日本語版」2014年4月21日