政府は1日、武器輸出三原則に代わる「防衛装備移転三原則」を閣議決定し、1976年以来続けてきた武器の全面禁輸方針を転換した。新原則は、従来の禁輸方針のもとで「例外化措置」としてなし崩し的に輸出を認めてきた個別の事例を整理し、ルールを明確にするとともに、将来の輸出拡大に備えるため枠組みに幅を持たせている。政府の運用次第では、日本が掲げる「平和国家」の意味合いが変化することになりそうだ。
新原則は前文で、安倍晋三首相が提唱する「積極的平和主義」の理念を援用し、「新たな安全保障環境に適合するよう、これまでの例外化の経緯を踏まえ、明確な原則を定める」と抜本見直しの狙いを説明した。これは、昨年末に策定された国家安全保障戦略の考え方に沿ったものだ。小野寺五典防衛相は1日の記者会見で「例外化措置は21件に上っており、包括的な新原則を定めるのが現実的だ」と述べた。
小野寺氏は「装備品の国際共同開発についてさまざまな国と積極的に意見交換できるようになる」とも指摘。政府は新原則によって、戦闘機の国際共同開発への参加のほか、安全保障面で協力関係にある国に対し、救難、輸送、警戒監視、掃海に関する装備品の輸出などがしやすくなるとみている。
新原則は、国家安全保障会議(NSC)が輸出の可否を審議する重要案件に関しては政府が情報公開を図ることとし、「これまでの平和国家としての歩みを堅持する」とも明記した。このため、戦車や戦闘機の完成品のような殺傷能力の高い武器の輸出は「現時点では想定していない」(政府関係者)という。
しかし、新原則には「殺傷能力の高い武器」の禁輸規定はなく、必要が生じれば輸出に踏み出せる余地を残している。三原則の基本理念も「国際紛争の助長回避」から「国連憲章の順守」に変わった。首相は国会で「テロとの戦いなど国際社会の平和と安全のための紛争もある」と答弁しており、紛争を助長する恐れがある場合でも、新原則によれば、政府は輸出の可否を判断できる。
防衛省幹部は「新原則によって即座に政府の対応が変わるわけではない。見直しの最大のポイントは、将来の安全保障環境の変化に対応できる仕組みを作ったことだ」と指摘している。【青木純】
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