ディーエイチシーの吉田嘉明会長が朝日新聞の取材に示した「振込受付書」の写し。5億円の受取人は渡辺喜美氏で、記入欄外には銀行による平成24年11月21日付の出納印が押されていた(画像を一部加工しています):朝日新聞
「8億円は選挙資金」 DHC会長、渡辺氏に提供認める
http://www.asahi.com/articles/ASG3V34LVG3VUTIL002.html
2014年3月26日16時00分 朝日新聞
みんなの党の渡辺喜美代表に化粧品大手ディーエイチシー(DHC、東京都港区)の吉田嘉明会長が計8億円を貸したとされる問題で、吉田会長は26日午前、朝日新聞の取材に対し、資金提供を認めたうえで、「選挙に必要な資金との認識だった」と語った。
吉田会長によると、貸し付けの内訳は、2010年参院選の前に3億円、12年衆院選の前に5億円。いずれも渡辺氏の個人口座に振り込んだという。「渡辺氏の方から要請があったと思う」と述べた。
借用書については、渡辺氏から受け取ったのは最初の3億円分だけで、5億円については送られてこなかったという。一部は返済されたものの、数日前の時点で貸付残高は約5億5千万円に上っていたという。こうした資金のやりとりを示す記録も残っていると説明した。
貸付金の目的については、「選挙の話以外に出ていない。それ以外は記憶にない」と語り、「選挙資金そのもの。それ以外に3億円も貸しますか」と述べた。
一方、渡辺氏が衆院に提出した12年12月16日時点の資産報告書では借入金の残高は2億5千万円との記載があり、吉田会長の証言とは食い違っている。仮に借入金の一部を政治活動や選挙運動に使い、その旨を収支報告書に記載していなかった場合は、政治資金規正法や公職選挙法に抵触する可能性がある。
この問題では、渡辺氏への資金提供を明かした吉田会長の手記が26日発売の「週刊新潮」に掲載された。
渡辺氏側は26日午前、この問題についてコメントしていない。
【吉田会長が週刊新潮に寄せた手記の主な内容】
・2009年6月、「渡辺美智雄経営センター」名義の土地約877坪を1億8458万円で購入。みんなの党の立ち上げを支援するため。
・10年6月、参院選の支援目的に3億円を渡辺氏の個人名義の口座に。借用書あり。12年の衆院選の時点で未返済は約5300万円に。
・12年3月ごろ、日本維新の会との選挙協力を名目に渡辺氏から「20億円ほどお借りできませんか」。
・同年11月、前回と同じ口座に5億円を振り込み。借用書なし。これまでに計330万円ほどが返済。手記を記した時点での未返済総額は5億4986万1327円。
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「純粋に個人として借りたもの」 渡辺氏コメント全文
http://www.asahi.com/articles/ASG3V6TLKG3VUTFK00X.html
2014年3月26日22時35分 朝日新聞
お金は純粋に個人として借りたものです。使い道は私の判断で決めてまいりました。利息も含めてお支払いは私個人でしてまいりました。今後もそれを続けてまいります。お金を貸して頂いたことには深く感謝をしております。みんなの党の国会運営について吉田会長より何度もメールを頂いておりましたが、我が党の方針とは相容(あいい)れず、お断り申し上げました。私の政治理念に反することは、たとえお金を融通して頂いた方でも承服はできませんでした。
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「3億円ほど」渡辺氏から提示 DHC会長一問一答
http://www.asahi.com/articles/ASG3V5WYBG3VUTIL03X.html
2014年3月26日23時16分 朝日新聞
「選挙で必要と頼まれた」。26日、朝日新聞の取材に応じたディーエイチシー(DHC、東京)の吉田嘉明会長は、みんなの党の渡辺喜美代表に8億円を貸した理由や経緯について詳細に語った。主なやりとりは以下の通り。
――お金はいつ、いくらを振り込んだのか。
「2010年参院選前に3億円、12年衆院選前に5億円を私の個人口座から渡辺さんの個人口座に振り込んだ」
――選挙資金に使われる認識はあった?
「選挙資金以外に3億円を貸したりしますか。普通お金を貸し借りするのは多くても1千万円とかじゃないですか。明らかに選挙に必要なお金です」
――渡辺代表も選挙にお金が必要という話はしていたのか。
「当然。選挙以外に何の話も出ていない。振込先は政治献金とは違う個人の口座だった」
――金額は渡辺代表の方から言ってきたのか。
「そうです。3億円ほど、という感じ。5億円の時もそう。こちらから3億円とか5億円とか言うわけがない」
――12年の衆院選で、みんなの党は当初、日本維新の会との選挙協力を模索していた。5億円になった経緯は。
「いくらぐらい要るんですか、と聞きました。そしたら、100人当選させるには20億円ぐらい要る、と。その後、(選挙協力が解消され)5億円ですむことになりました、と伝えてきた」
――利息や担保は。
「3億円の時は、本人が借用書を書いた。利息0・数%だったと思う。担保や返済期限などは書かれていなかった。5億円の時は、そういう話は全く出なかった」
――3億円の借用書を見せてもらえないか。
「探せばあるのだが、金庫の中にあり、探すのが大変」
――振り込んだ後に、反応はあったのか。
「受け取りました、ありがとうございました、っていうのはあったかもしれないが、心の底からありがたいというような気持ちのメールはなかったという記憶がある。だから、僕はよくわからんのですよ。お金のことはいよいよわからん」
――今回、カネの流れを明らかにした理由は。
「私がなぜ多額の支援をみんなの党にしてきたのか。それは日本をダメにしている官僚機構を改革するため。(みんなの党から分裂し)脱官僚を掲げている結いの党に参院の予算委員会のポストを渡そうとしなかった渡辺さんに耐えられなかった。お金を返してもらいたいとは全く思っていない」