震災から丸3年…専門家に聞いた「巨大地震」再来の可能性
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2014年3月11日 日刊ゲンダイ
悲劇を繰り返してはならない/(C)日刊ゲンダイ
東日本大震災から丸3年が過ぎた。直後、巨大地震に対する危機感が強まった国民も「ノド元過ぎれば熱さを忘れる」で、すっかり油断しきっている。しかし、ここ3カ月で青森県から千葉房総沖で発生した震度4以上の地震は8回に上り、震災前の3倍超の多さだ。これらは3・11の余震と考えられている。さすがにM8クラスの揺れはまだ来ていないが、昨年4月には淡路島で直下型地震が発生し、「南海トラフの大地震の前兆か」という声も出た。いま、日本列島に何が起きているのか。専門家に聞いてみた。
――3・11直後から指摘されている「地震の空白域(近年、大きな地震が発生していない地域)のひずみ」は解消されているのか。
京大防災研究所地震予知研究センター准教授の西村卓也氏は「いろんな研究者が危険性を指摘していることは知っているが、大地震の可能性が高いとは思っていない」と話した一方、武蔵野学院大特任教授の島村英紀氏(地震学)は「茨城沖から房総沖にかけての空白域のひずみは解消されていません。近く大きな地震が起きる可能性はある」とした。専門家でも意見が分かれるのだ。
また、元前橋工科大教授の濱嶌良吉氏(地殻変動解析学)のように「千島―カムチャツカ海溝のとなりの空白域」との関連に注目する研究者もいる。
「昨年5月にカムチャツカ半島西側近海の海底下620キロの地点でM8・3の地震が発生し、その後は周辺でM6クラスの地震が頻発している。ここはM9クラスの巨大地震の可能性が指摘されています。これが現実になれば、北海道の十勝、根室沖に負荷がかかり、M9クラスの連動地震が発生するといわれています。発散されたエネルギーは日本海溝を伝い、3・11の震源地を挟んだ千葉、茨城沖の空白域にストレスを与えるのです」
■今年1月の千葉「ゆっくり滑り」は大地震の前触れ?
――今年1月にプレート同士がゆっくり動いてズレる「ゆっくり滑り」が千葉房総沖で発生した。3・11の約1カ月前にも三陸沖で観測されているが、大地震との関係はあるのか。
「ストレスがかなりたまっていると言えます。直接巨大地震につながるかは分かりませんが、起きやすい状態になっているとはいえます」(立命館大環太平洋文明研究センター・歴史都市防災研究所教授の高橋学氏)
――南海トラフ地震発生の可能性はあるか。
「3・11以前のように落ち着いてきているようにみえますが、まだ、津波を起こす可能性があるアウターライズ型地震が起きる可能性は高い。04年スマトラ沖地震では8年後の12年に起きています。日本列島全体では、大きな内陸直下型地震につながる可能性の高い、震源の浅い(10キロ程度)小さな地震が増えていますし、南海トラフ地震の前兆となる桜島、新燃岳、富士山などの活動が活発になってきています」(前出の高橋学氏)
全国の地下水を調べている元東大地震研究所准教授の佃為成氏も“異変”を感じている。
「水温は岩盤の伸び縮みによって変化するのです。静岡市安倍川河口、紀伊半島潮岬、淡路島の観測点で水温が速いスピードで上がったり下がったりしている。大地震の前にはこのような現象が起きているので、注意して観測しています」
3年の節目を機にもう一度、防災意識を高めるべきだ。