【クリミア発】 「ロシア連邦へ」住民投票前倒し ウクライナ新政権は猛反発
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2014年3月7日 03:20 田中龍作ジャーナル
「オバマはクリミアに口出しするな。トイレに行ってろ」。米国への敵愾心むき出しのプラカードを持つ女性。=6日朝9時ごろ(日本時間同日午後4時ごろ)、クリミア州議会前 写真:筆者=
クリミアがロシア回帰に向けて一気にアクセルを踏み込んだ。クリミア州議会は6日正午ごろ(日本時間同日夕方)、「ロシア連邦への加盟」をはじめ、州の地位を自らで決める住民投票を16日に行うことを可決した。30日に行う予定だったのを2週間早めた。
州議会前広場には朝からロシア系の住民(クリミアのマジョリティー)が集まり気勢をあげた。ロシア国旗が林立する。ソ連国旗もはためいた。正午頃、住民投票が圧倒的な賛成多数で可決されたことが伝わると大きな どよめき が起きた。「プーチン、プーチン」「ロシア、ロシア」…人々の連呼がうねりとなった。
住民投票は「クリミアの自治権を確立する」のか「ロシア連邦に加盟申請する」のかを問う。ウクライナ新政権は2つの選択肢とも違憲だとして認めていない。
可決後、クリミア最高ソビエトのセルゲイ・ツェコフ副議長が記者会見に応じた。(ツェコフ氏は筆者の通訳と縁戚関係にあたるため、より正確な情報が伝わる。太字が氏のコメント)――
キエフ(ウクライナ新政権)が住民投票を認めていないことについて記者団から問われると、ツェコフ副議長は「新政権との対立は深刻だ。キエフの最高検は(クリミアの)アクショーノフ新首相とカチャチノフ最高ソビエト議長の逮捕を命じている」。
住民投票を2週間も前倒ししたのは、2人を易々と逮捕させないためだ。クリミアの自治権を強化するか、ロシア連邦の一員になる意思表明をすれば、逮捕は難しくなる。
記者団はキエフとの戦争もありうるのか?と聞いた。副議長は「クリミア政府はすでに(ほとんどの)海軍と軍司令部をコントロール下に置いた」と自信を示した。
EUやアメリカにそそのかされたウクライナ新政権が手荒なことをすれば、ロシアに本格軍事介入の口実を与えるだけだ。予断を許さない展開が当分続く。
黒海艦隊将校の制服に身を包んだ男性も州議会前に訪れ、住民投票の可決を祝った。=6日午後3時ごろ(日本時間同日午後10時ごろ)、州都シンフェロポル 写真:筆者=