フランスで最初に導入された付加価値税を考案した人物は、ある種の称賛でもあるのだが、類い希なる“詐欺師”である。
彼は、近代西欧人として理性と知性の進歩を誇る数億の人々を長期にわたってみごとに騙し続ける仕掛けを生み出した。
付加価値税(消費税)の理解は、思考力=想像力=連想力を問われる困難な営為である。さらに、その結果を人々に理解してもらうことは、「増幅装置」が少ないこともあるが、説明力を問われる過酷な営為である。
付加価値税を日本風にアレンジした消費税をめぐる“悲劇”は、導入・増税・制度変更などが基本制度そのものの理解を得ないまま進められてきたことにあると思っている。
民主主義者でも平等主義者でもない私は、消費税が多数派の国民から徴収した税をグローバル企業など特定企業に“貢納”する制度だとわかっていても、その結果として、国民経済が成長し、多数派国民の生活が安定し余裕も生まれるのなら黙認してもいいと思っている。
また、人々の利害関係は対立するものだから、ここまでやるかとたまげるほど不公平な制度と知っていても、自分にとって利益で好ましいと思う人は消費税を推進すればいいとも思っている。
それでも、政府(官僚・政治家)や学者は「振り込め詐欺師」の親玉?と思えるほどウソやゴマカシを散布して、消費税を導入したり、お為ごかしの理由を付けて、よりえぐい仕組みに変えたり税率アップを進めることはとうてい容認できない。
堂々と正面ドアから入るのではなくウソとゴマカシをふりまきながら裏口から入るような政府の行為は、国民を思考停止や知的退廃に誘い、まさに現実となっているが、「振り込め詐欺」に引っ掛かる人を増やす愚行である。
福島第一原発の事故総括でも、あの事故の対策として必要性も意味もまったくなかった「格納容器ベント」がポイントであったかのように説明され、国民の多くもなんとなく納得している感がある。
消費税問題についてはこれまで長たらしい文章を書いてきたが、このシリーズでは、テーマ別に原稿用紙2枚以内で説明を終わらせることを心がけたい。
タイトルを「3分でわかる「消費税」」ではなく「3分でわかる「軽減税率」」としたのは、導入が画策されている新しい仕組みの「軽減税率」を知ることで消費税そのものの理解も深まると考えたからである。
どこまでご期待に沿えるかわからないが、消費税とりわけ「軽減税率」について、気になっている点や不明の点があったからコメント欄にお寄せいただきたい。