中国人民元の急落
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2014年02月26日 在野のアナリスト
昨日から人民元の急落が話題です。元々、中国人民銀行が人民元安に誘導しており、中国の為替は介入ありきです。中国国家外為管理局(SAFE)は、大規模な資金移動はない、と火消しに躍起ですが、何らかの不意の人民元売りが大量に入った、と言うことは間違い有りません。
ここで気になるのが、ビットコインの動きです。中国では人民元の信頼性とともに、海外への送金、また投資目的などでビットコインの利用が急拡大していた、とされます。しかし少し前、ビットコインが急落したときから、中国でもそうした動きには変化がみられたでしょう。そして最大の取引所が急に閉鎖した途端、中国でおきた人民元の急落。人民元は管理相場だけに、この符号には何らかの意味がありそうです。正確には分かりませんが、ビットコイン経由の取引が停止し、急に人民元を海外にもちだす必要性ができた。もしくは中国にあるビットコインの取引所が、人民元で資金を移動した。そんな動きが背景にはあったのかもしれません。
さらに気になるのが、シャドーバンキングの事実上のデフォルトもおきましたが、それ以上に中国の非金融企業による総債務残高が、S&Pの推計で12兆$と示されました。しかも5年間で約3倍近くに急拡大しており、これは異常です。これが健全な投資、事業発展に伴う債務であればまだしも、返済のために企業同士の合併、資産売却や分社化の動きなどもみられ、債務拡大による問題は大きい、と暗に示している形です。さらに厄介なのが、中国の国家統計局のだす数値に信頼性がないように、企業が提出するバランスシートにも、信頼性のない点が大きな問題です。
来週からの全人代による政策期待が今はありますが、リーマンショック後の4兆元の景気刺激策は、結果的に効率の悪い投資につながり、逆に負債を増やす結果になった、との指摘もあります。つまり前回の景気刺激策はマイナスだった、今回は具体性をもった、何らかの対応を必要とします。それが出てくる可能性は現時点でかなり低いといえ、そこで失望になるかもしれません。
中国では、シャドーバンキングの取りつけ騒ぎもおきており、金融危機がおきる前夜のようにも見えます。企業の負債が急拡大する中で、安直に売られた理財商品により、実は中国全体が負債まみれだった、ということにもなりかねない。そのとき、不動産などの資産価値が失われ、逆資産効果により消費が減退、生産活動もおちこみ、景気が一気に冷え込む恐れすらでている。しかも、近いうちに起きるかもしれない、というのが現状です。
そこでおきた人民元の急落、管理相場の中で、大きな資金が動いたとみて間違い有りませんが、その意図が何だったのか? もしかしたら、これまでも逃げ出していた富裕層が、愈々危ないとなって、一気に資産を引き上げたのか。いずれにしろ、今年いっぱい中国経済が安定的に推移する、というのは空想であり、それが大鉈で済むのか、崩壊へと至るのか、といった違いになるのかもしれません。もしかしたら、戦時賠償の訴訟問題なども、中国国内に頼って訴訟するより、日本と訴訟した方がいい、という意図が裏にあるなら、愈々中国の終わりの始まり、ということなのかもしれませんね。