テレビ業界の再編、日本企業が先頭集団から脱落
2014年02月25日08:19
日本のテレビメーカーは新年早々にテレビ事業を調整した。パナソニックとシャープは今後、ブランド名を貸し出して生産を進め、ソニーはテレビ事業の分社化により黒字化を目指している。日本企業のテレビ事業は今後どうなり、世界のテレビ業界の構造にはどのような変化が生じるのだろうか?新たな構造は新しいモデルを生むだろうか?北京商報が伝えた。
◆日本企業、テレビ事業を手放す
日本メディアの報道によると、シャープは米家電量販最大手のベストバイと提携し、3種類のサイズの液晶テレビのブランド使用権を提供した。ベストバイはEMSで生産したテレビを「シャープ」ブランドで販売する。シャープ(中国)投資有限公司の広報部門の担当者は、シャープは北米の家電量販業者とブランド面の提携を実施しているとしたが、具体的な企業名についてはコメントを控えた。
日本メディアは、パナソニックが低迷するテレビ事業を再編し、中国メーカーにブランド名を貸し出し、大規模委託生産を実施すると報じた。パナソニックは中国大陸部と台湾地区のメーカーに設計と生産を委託し、早ければ2014年度内にアジアの新興国で「パナソニック」ブランドのテレビを販売することになる。パナソニックの広報部門の尤楠氏は、「時期については、決定済みの計画はない」と語った。ソニーはテレビ事業を独立した子会社とする。ソニーの関係者は、テレビ事業の発展に注力し黒字化を実現すると述べた。
◆3者鼎立が2者のトップ争いに
家電業界アナリストの劉歩塵氏は、「シャープにせよパナソニックにせよ、テレビ事業のEMSの実施は、同事業の収益を見込んでいないことを意味する。重要な事業であれば、企業が自ら経営しようとすることが一般的だからだ」と指摘した。家電業界アナリストの梁振鵬氏はソニーの分社化について、「分社化は資源の集中、特に企業の中心的な事業にとって有利とされているが、現在のソニーの収益状況を見ると、分社化はテレビ事業を手放す予兆である可能性がある」と分析した。
中国の家電専門会社、奥維咨詢(AVC)がこのほど発表した「2013年度テレビ業界市場販売データ報告書」によると、中国国産テレビの人気は合弁ブランドを大幅に上回っている。創維集団(スカイワース)を中心とする中国大手6社の市場シェアは78.2%に達し、合弁ブランドは13%となっている。同市場に進出したインターネット企業のシェアは微々たるものだ。劉氏は、「今後世界市場で活躍するのは韓国系と中国のテレビ企業で、中日韓の3者鼎立の時代は終りを迎える」と指摘した。日本企業は昨年よりテレビ市場で敗退を続けており、衰退の強い流れを示し、中国企業に台頭のチャンスとされた。創維集団テレビ事業部副総裁の劉耀平氏は本紙記者に対して、「日本ブランドの崩壊後、消費者はテレビブランドの格付けをやり直すことになる。中国企業はこの機に乗じハイエンド市場を占めることができる。もちろんこれは製品の実力、技術の革新によらなければならない」と語っていた。
◆ビジネスモデルに変化は?
新しい構造には新しいビジネスモデルが必要だ。テレビ業界は依然として伝統的なブランドに支配されているが、動画ポータルサイトの楽視(LeTV)などのインターネット企業の進出は、業界に新しい啓発を与えた。テレビ業界のビジネスモデルは、覆される必要がある。
エアコンメーカーの志高空調の鄭祖義董事長は、「黒物家電にせよ白物家電にせよ、完成品の製造が全体の利益に占める比率が下がり続けている。今後の顧客へのサービスは、当社に利益のロングテール化をもたらす。当社はサービス会社にモデルチェンジする」と表明した。しかし業界内には反対意見もある。創維集団中国地域マーケティング本部副総経理の胡軍華氏は、「個人的には、いわゆるロングテールとは、学術的な観点であると思う。テレビにはまだ新しいビジネスモデルが登場していない。当社は2007年に酷開というインターネットサービスを開始し、コンテンツ収入のビジネスモデルの模索を開始した。しかし、数年間の模索の中で、さまざまな圧力と課題に直面した。2013年初に開設した有料チャンネル『ハリウッドに直通』は、現在までに4000万元(約6億8000万円)の収入を実現している。しかし当社はまだ模索の道を歩んでおり、このモデルがすでに成功したとは言えない」と述べた。奥維咨詢の文建平氏は、「新たな産業モデルについて、業界はまだ模索の段階にある。テレビ業界の現在の発展方針は時代遅れになっていないが、インターネットの発想により新たな視野を切り開く必要がある」と語った。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年2月25日