政治家はタジタジ(C)日刊ゲンダイ
インタビュー断っていた…舛添氏も“逃げた”池上彰の聞く力
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2014年2月10日 日刊ゲンダイ
ジャーナリスト池上彰(63)の前では、圧勝したはずの舛添要一(65)もタジタジだった。
9日に投開票された東京都知事選挙。結果は周知の通りだが、舛添のニヤケ面に一太刀浴びせたのが池上だった。TOKYO MXの都知事選開票速報特番「首都決戦2014」に出演した池上は、スタジオから都知事の仕事、都議会との関係、東京が抱える諸問題などについて解説。
見せ場は冒頭すぐに訪れた。8時の時報と同時に当確が打たれ、しばらくすると舛添がMXのインタビューに登場。当初は進行役のキャスターが感想を聞いていたが、途中から池上が参戦。その途端に舛添の顔色が変わった。
池上は、過去に自民党から除名処分を受けながらも今回、自民の支持を受けた舛添に対して「都政を運営する上で借りをつくったということは?」と直球勝負。すると舛添は「借りとかそんなのは意味がない。過去より先を見て東京をどうするかだ」とシドロモドロになりながら論点をすり替え。「政治家はそれぞれいろんな経歴がある」と気色ばみ、自身の変節まで認める混乱ぶりだった。
正体見たりという気になるが、池上がフルっていたのはこのインタビューの直後だった。なんと、「舛添陣営は池上のインタビューを受けないと事前に断っていた」という驚きの内幕を暴露したのである。
耳が痛いことを聞くジャーナリストの質問は受け付けないつもりだったということらしい。上智大学の碓井広義教授(メディア論)はこう言う。
「事前に断られていたからこそ、インタビューには飛び入り参加したのでしょう。その内幕まで話すとは、池上さんらしい視聴者サービスです。池上さんは他にも石原伸晃さんに“勝てる人に乗ったということですよね?”と尋ねて“探したけどいなかった”という言葉を引き出した。ゲスト出演した松沢成文さんには前回の都知事選出馬のドタバタ劇について“だまされたようなものです”と言わせた。これは池上さんにしか引き出せなかった興味深い言葉です。翻って、情けないのはMX以外の他局です。都知事選は国政への影響も大きく、一地方の首長選とはワケが違う。にもかかわらず、開票特番を放送したのはMXだけ。もちろん、MXが東京ローカルという特殊性はあるにせよ、他局が通常番組を放送し、都知事選を過小評価する中で特番を組んだ姿勢が素晴らしい。拍手を送りたい」
快刀乱麻の“池上大明神”は、日付が変わってからはテレビ東京の都知事選特番に登場。自民党の石破幹事長を相手に丁々発止の議論を繰り広げ、視聴者は大いに留飲を下げた。
池上自身は政治家になるつもりはないと公言しているが、都知事になってほしい候補ナンバーワンなのも大いにうなずける。