勝負がついた後でも中国の防空識別圏撤回にこだわる安倍と読売
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★「天木直人氏の視点ー(2013/12/14)」★ :本音言いまっせー
よほど面目を潰されたと見える。
よほど誤報させられたことが悔しかったと見える。
中国の防空識別圏問題で、米国の思惑を読み違えて読売に誤報させた安倍政権と、
その安倍政権を真に受けて恥をかいた読売新聞のことである。
とっくに勝負がついた中国の防空識別圏問題であるというのに、
いまでも中国が防空識別圏を設定したことを批判し、書き立てている。
ほとんど報じられていないが、13日の早朝のNHKが報じ、きょう14日の日経(真相 深層)が書いている。
12日夜にバイデン米副大統領から安倍首相に電話がかかって来たと。
その中で「『米国は中国が設けた防空圏を認めない』。中国の首脳に、しっかりこう伝えた」と。
これは安倍政権筋が意図的に流した誘導記事だ。
米国は中国が防空識別圏を一方的に設定し、しかもその運用でルール違反をした事に怒ったことは事実だ。
そのような中国を警戒している事は事実だ。
しかし防空識別圏の撤回を中国に求めることはありえない。
たとえそうであっても中国から反論されれば返す言葉はない。
あの佐藤優でさえ認めている(日刊ゲンダイ12月14日号)。
「防空識別圏は日本も(米国から引き継いで)とっくに設定してるわけだす。
その意味で、(米国も)日本も帝国主義外交をしているわけだ、だから、中国とぶつかるのです」と。
あきらかに安倍政権はバイデン副大統領からの電話を都合の言いように脚色してメディアに流しているのだ。
しかしもっと悪質な情報操作がある。
それはバイデン副大統領が電話で安倍首相に伝えた、より重要なメッセージを、ことさらに矮小化し、報道しないことだ。
あの時バイデン副大統領は安倍首相に対し韓国との関係を改善しろ、
首脳会談が出来るようにしろと迫ったとNHKはさりげなく報道した。
この重大なメッセージこそわざわざバイデン副大統領が電話をかけてきた理由なのだ。
ところが安倍首相にとって不都合なこのメッセージを詳しく伝えるメディアはない。
それにしても日経新聞の「真相 深層」の記事は、私がこれまでの防空識別圏問題で書いてきた事を見事に裏づけている。
すなわち米航空会社が安全に不安を感じ、中国に飛行計画を提出すると米連邦航空局に伝え、米連邦航空局はこれを認めた。
それを国務省は後から知って追認したのである。
すなわち日本は、防空識別圏を中国に撤回させることで日米合意を実現するよう最後までこだわったが、
「防空圏を設定する事自体は新しくも、珍しくもない」(ヘーゲル国防長官)と言われてしまったのだ。
飛行計画提出ひとつをとってみても、米韓についで東南アジア諸国は次々と飛行計画を提出し始め、
日本だけが孤立しつつあるという(12月14日朝日)。
それでも安倍政権はいま東京で開かれているアセアン首脳会談で日本の立場に理解を求めるという。
来週にも決める防衛大綱で中国の防空識別圏設定を批判するという。
それを読売は大きく書き立てる。
このこだわりは異常だ。
よほどいまいましかったということである。悔しかったということである。
感情で外交をやられてはたまらない。
報道を歪められてはたまらない。