「秘密保護法」安倍首相が情報を隠したがる本当の理由[慶大教授 金子勝の天下の逆襲]
http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-10366.html
2013/11/26 日刊ゲンダイ
どういう政治家が情報を隠したがるのか。悪いことをしているヤツか、頭の悪いヤツである。「特定秘密保護法案」の成立を強行しようとしている安倍政権はどっちなのか、それとも両方を兼ね備えているのか。
頭脳明晰なら、相手と意見が違っても、自分の考えの正しさを国民に説明し、納得させる自信を持っている。一方、頭の悪いトップは、議論をすると次々にボロをだしてしまうから、情報を秘密にし、さらにメディアを抑え込みたがる。NHKの人事に介入した安倍首相は、そのケースにピタリと当てはまるように思えてならない。
情報さえ封じてしまえば、どんなに頭が悪かろうが、失政つづきだろうが、政権は永遠にもつ。実際、安倍首相は原発事故収拾を含めて失政続きである。安倍首相が自画自賛している「株高」も、FRBの金融緩和頼みに過ぎない。景気も公共事業依存である。恐らく、アベノミクスが破綻した時、メディアが批判しないようにしたいのだろう。
日本の失われた20年の大きな特徴は、誰も責任を取らなかったことだ。責任を取ろうとしないトップが次に考えることは、批判を封じ込むことである。安倍政権が推し進めている「特定秘密保護法案」にも、ピタリと当てはまる。
この法案には、「その他」というただし書きが36カ所もあり、何でも「秘密」にできてしまう。メディアは「不当な取材をしない限り処罰されない」としているが、なにが「不当」なのか定義もない。しかも、政府が「秘密」と指定した情報にアクセスしようと相談しただけで、一般市民まで、共謀罪、扇動罪を適用されてしまう。安倍政権は、アメリカに電話を盗聴されても抗議のひとつもしないのに、市民は監視の対象にするのだ。
遅ればせながら、野党の民主党は、「秘密」を外交と国際テロに限定し、政府が「秘密」と指定した情報が妥当かどうか判断する第三者機関のメンバーを国会で選ぶという対案を提出した。ところが、安倍政権は、こうした最低限の修正案さえ拒否している。安倍首相は日本を「秘密警察国家」にしたいのだろうか。実際、小池百合子にいたっては首相動静さえ「秘密」にすべきだと主張している。それでは、北朝鮮と同じではないか。