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2013/10/1 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
自民党の小泉進次郎青年局長が復興担当の内閣府政務官に正式に就任した。何かと注目されるホープだ。安倍政権にとっては目玉の人事となりそうだが、獅子身中の虫となるリスクも大きい。進次郎の復興担当は、本人の希望に沿ったものとされる。
毎月11日に被災地を訪問し、現地とのパイプを築いてきた。地道に活動をしてきたし、うってつけの人材ということになるのだろう。
政治評論家の伊藤達美氏が言う。
「進次郎氏は、頻繁に被災地入りしているし、地元にも馴染みがある。本人もやりがいを感じているでしょう。留任した復興副大臣の谷公一氏は、兵庫県で防災局長を務めた実務派だから、下で学ぶことも多いはずです。安倍首相にとっても、人気や発信力の高さは魅力的。悪くない人事だと思います」
進次郎がせっせと汗を流し、マスコミが大々的に報じれば、安倍政権も万々歳だ。特別法人税を打ち切っても、「復興に力を入れています」とアピールできる。知名度ゼロの議員とは、そこが違うのだ。もっとも、注目度の高さはもろ刃の剣。進次郎の父、純一郎元首相は「脱原発」の旗を振っている。
先日も講演で〈政治が早く原発ゼロの目標を打ち出せば、多くの国民が協力する〉〈大きな転機が大震災でやってきた〉と訴えた。進次郎まで足並みを揃え、「原発は復興に不要だ」とか言い出せば、マスコミは大騒ぎだ。原発再稼働を急ぐ安倍にとっては、厄介な事態となる。
政治評論家の有馬晴海氏が言う。
「進次郎氏は、今も純一郎氏からアドバイスを受けていると聞いています。3党合意よりも解散だという選挙前の発言も選挙の際の地方行脚も、もとは純一郎氏のアイデア。『自民党をぶっ壊す』と訴えて総裁ポストを射止めたり、刺客選挙で国民を味方につけて圧勝した父親の政治センス、政局観を全面的に信頼しているのでしょう。そうだとすれば、進次郎氏が父親に呼応して脱原発を訴え始めても、何ら不思議はありません」
これまで進次郎は、「原発を推進してきた私たち自民党の責任は免れない」などと指摘している。ただ、明確に「原発は止めるべきだ」とは言っていない。 そもそも立場もわきまえる男だ。「今の進次郎の目標は、最高の2回生議員になること。出過ぎたマネはしたくないと考えているし、分相応を心掛けている」(事情通)という。
だが、父親に背中を押されれば分からない。
「バッジを外した元首相は終わった人ですが、進次郎氏も一緒になって世論をけしかければ、脱原発が急激に盛り上がる可能性は高い。そのとき、安倍首相はどうするか。小泉親子を利用して経済界や経産省の反対を押し切ることができれば、支持率は再び高まるでしょう。一方で、風に乗れず、世論を敵に回せば、失脚の恐れは強い。首相の判断力、瞬発力が問われることになりそうです」(有馬晴海氏)
安倍は元首相を抑えるために息子を取り込んだとの見方もある。だが、相手は変人ファミリーだ。爆発力もある。小泉によって引き上げられた男が、小泉に引導を渡される日は、すぐそこに迫っているのかもしれない。