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2013/9/24 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
安倍首相と麻生財務相がサヤ当てを演じた――消費税率引き上げをめぐり、こんな報道が目立っている。
メディアで紹介されているやりとりは、ドラマのように格好がいい。
予定通り来年4月からの実施を求める麻生に、経済重視の安倍が特別復興法人税の前倒し廃止を主張。麻生は「オレのセンスじゃない」と反論するが、安倍が「譲れない」と突っぱねる。最後は安倍が、消費増税と企業減税をセットで実行すると決断した……。こんな具合である。
惑わされてはダメだ。こんなもの三文芝居に過ぎない。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。
「議論百出の演出ですよ。賛成も反対も出尽くしたけど、最後は首相がリーダーシップを発揮した。そんなふうに見せるためのセレモニーです。麻生財務相は、財務省の代弁をしなければならないし、党税調の意向も踏まえて対抗した姿を見せたい。ただ、落としどころは心得ている。ガチンコではやりませんよ。首相にとっても、『財務省と闘っている』というパフォーマンスになる。財界や国民に向けたアピールになります」
麻生が本気で「企業減税はおかしい」と思うのなら、「考えが違う」「冗談じゃない」と辞表を叩きつければいい。結局、安倍のシナリオ通りなら、単なる狂言回しである。
そもそもエスタブリッシュメントの家系に生まれた親戚同士。自宅も近く、麻生が安倍の私邸を訪れることも珍しくない。5月に2時間滞在したときは、「衆参ダブルの密談か」なんて臆測も呼んだ。
やり合う間柄ではないのである。
「ああ見えて麻生財務相は浪花節が好きで、義理と人情の自分に酔うタイプ。寝首をかくようなことはしない。首相の右腕の菅官房長官も、『麻生さんと甘利さんとは毎日顔を合わせているし、意思疎通が出来ている』と話しています。ただ、最近は安倍首相の周りが調子づいている。『安倍は10年政権だ』なんて声も聞かれ、清和会以外の連中は面白くない。消費税とTPPが終われば、党内は権力闘争でガタガタし始める公算は大。両者の蜜月も、潮目が変わるかもしれません」(鈴木哲夫氏)
なんとも分かりやすい行動原理。大事なのは国民の暮らしではない。自民党の政治家を突き動かすのは、しょせん私利私欲だけなのである。