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2013/9/20 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
いったい何のための増税なのか、分からなくなってきた。安倍首相が予定通り、来年4月に消費税率を8%とする決断をしたようだ。3%の負担増のうち、2%を経済対策に回すことで決着したらしい。税収増の見込みは、8兆円程度から2兆7000億円程度に目減りすることになる。
おかしな話だ。「3」を集めて「2」を返すのなら、最初から「1」でいい。余計な手間が省けるし、無駄な仕事もなくなる。行政のスリム化が叫ばれている時代に、わざわざ役人の業務を増やす必要もないだろう。
「景気の腰折れが心配だから対策を講じる」との言い分は、もっともらしく聞こえるが、つじつまが合わない。そもそも今回の増税は何が目的だったのか。増え続ける社会保障費を充足させるためだったはずだ。それが置き去りにされているではないか。
高齢化の進展で、年金や医療、介護などの社会保障費は膨張の一途だ。一方で現役世代は減り続けているため、財源が足りない。そこで前政権は「社会保障と税の一体改革」を打ち出し、民自公で「増収分は全額、社会保障費に充てる」と決めた。当時は野党の自民党総裁だった安倍首相も、同意していたはずである。このときの決意はどうなったのか。
財政健全化も足踏みだ。国の借金が1000兆円を超え、GDPの2倍以上に膨らんでいる。その上、異次元の緩和だ。汚染水のように増え続ける社会保障費を消費増税でケアしないのなら、国債発行に歯止めはかからない。いずれどうにかなるだろうと考えているとすれば、かつての自民党政権と同じ。ツケは次世代に回されてしまう。
政府与党は、復興特別法人税も、1年前倒しして廃止する方針のようだ。安倍首相は「全閣僚が復興大臣」と言っていたし、野党時代の自民党は、復興予算の財源について民主党政権を厳しく追及していた。それなのに財界に色目を使い、復興の財源を切り捨てることが許されるのか。
安倍首相はIOC総会で、2020年には原発の問題はなくなっていると公言した。一方で大企業を優遇し、大事な財源を削るのだ。デタラメにもほどがあるだろう。