KABASAWA YOUHEI BLOG
http://ameblo.jp/takumiuna/entry-11605176688.html
廃炉費用が見積もりから100億円増えると、東電の電気料金は、月8000円程度の標準家庭で1.9円上がることになる。
原発廃炉費用も電気料金で際限なく負担していくという流れが
国民の知らないところで進行してます。
東京新聞の9/2付の特報記事が経産省がまとめた原発廃炉費用を
電気料金に上乗せできるようにする会計制度の見直し案の問題点を伝えてます。
なぜ東電の経営者や株主や銀行などが責任や負担が曖昧なまま、
サービス使用者ばかりにしわ寄せがくるのか。福島の核燃料がどこにあるかも
不明で汚染水問題も打つ手なしというなかで、一体廃炉費用にいくらかかるのでしょうか。何年かかるのでしょうか。総括原価方式の見直しこそ一刻も早くすべきです。
【原発廃炉 会計ルール見直し案 後始末は家計負担】
経済産業省は先月、電力会社が原発の廃炉費用を電気料金に上乗せすることができる会計制度の見直し案をまとめた。現行のシステムでは、廃炉で生じる巨額の損失を一括して計上しなくてはならず、電気料金には直接盛り込めなかったため、廃炉は経営危機に直結した。見直し案では、数年に分けて処理できるようになる。ただ、消費者への安易なツケ回しという批判もある。問題点を探った。
★廃炉会計報告書案のポイント
・廃炉引当金の積立期間を運転終了後も最大10年延長し、料金原価への算入を認める。
・原発停止中も引当金を積み立てられるよう規制を変更する
・原子炉格納容器などの設備は運転終了後も資産計上し続け、減価償却費を料金で
回収できるようにする
・福島第一原発1〜4号機の廃炉で見積総額を超える設備取得が必要となった場合、
追加分は減価償却費として計上し、料金原価への算入を認める
◆電気料金上乗せ可能に
「電力会社に多額の費用負担が発生すると、円滑な廃炉措置に支障が生じる恐れがある」
経産省資源エネルギー庁の担当者は、会計制度の見直しの理由をこう説明する。今後、国民から「パブリックコメント」を募り、早ければ年内にも省令変更の形で、会計制度を変える予定だ。
電力会社の会計は事業の公共性が高い分、特別だ。電気の安定供給のため、一般企業が負う金融庁や東京証券取引所の規則に加え、経産省が定める特例(電気事業法に基づく会計規則)を守らなくてはならない。
やや面倒だが、仕組みはこうなっている。現在は、電力会社が廃炉を決めた段階で、その原発や核燃料の資産価値はゼロになる。価値の減少分は、40年かけて積み立てる仕組みの廃炉費用の引当金(準備金)の不足分と合わせて、特別損失(特損)として当該年度の決算で一括処理しなければいけない。
電力会社にとっては、それが廃炉に踏み切りにくい理由になっている。経産省の試算では、国内の原発50基すべてを廃炉にすると、計4兆4000億円の特損が発生する。北海道、東北、東京、北陸、九州の各電力と、原発専業会社の日本原子力発電(原電)の計6社が債務超過になり、一気に経営危機に陥るのだ。
こうした状況を避けて廃炉をスムーズに進めるための方策が、今回の見直しの狙いだ。7月に原子力規制委員会の新規制基準が施行され、いくつかの原発で廃炉の現実性が迫ってきたからだ。 どう変わるのか。見直し後は廃炉を決めても、原子炉などの資産価値は残っているとみなし、数年間は「減価償却」の適用を認めるため、特別損失として一括計上する必要がなくなる。引当金の積み立ても、運転終了後10年程度は継続できるようにする。いずれも、電力会社が経営危機に陥らないための「げた履き」措置といえる。
ただ、電力会社にとってはメリットがあるものの、消費者(国民)の負担は増えることが予測されている。というのも、会計システム上、特別損失は電気料金の原価に含められないが、減価償却や引当金なら認められてしまうからだ。資源エネルギー庁の担当者は「電気料金に含めるかどうかは、各電力会社の判断。仮に値上げの申請があっても、経営効率化の努力をした上でのものか否か、厳正に審査をする。すぐに国民負担が増えるわけではない」と説明する。しかし、福島原発事故後、各電力会社が値上げに踏み切ったことを考えれば、説得力があるとは言えない。
◆「福島収束」も対象に
今回の見直し案には、もう一つ見逃せないポイントがある。
東京電力福島第一原発1〜4号機の廃炉作業の扱いについてだ。東電は事故収束費用と廃炉費用を分けている。この見直しによって、廃炉については既に計上している約9600億円の見積もりを超えて、作業に使う構造物の建設費用などが必要になった場合、それらの費用も電気料金に上乗せできるとしている。経産省の試算では、廃炉費用が見積もりから100億円増えると、東電の電気料金は、月8000円程度の標準家庭で1.9円上がることになる。
ただ、どこまでが事故収束で、どこからが廃炉かは判然としない。資源エネルギー庁の担当者も「具体的にどういった費用が対象になるかはこれからの議論」と話すものの、事故収束の見通しがつかない現状では、その費用が廃炉費用に組み込まれ、金額が青天井に膨らむ恐れもある。
立命館大の大島堅一教授(環境経済学)は「汚染者負担の原則に基づけば、当然、東電がすべて負担しないといけないもの。事故の処理費用まで電気料金で回収できるとなると、原発には何の経営的なリスクもないことになる」と批判する。
東電に限らず、廃炉にまつわる今回の見直し案は、一般から募集する意見が多少は反映される可能性があるものの、国会での審議などは経ず、経産省の命令だけで認められてしまう。そのことも大きな問題だ。大島教授は「本来なら国民に広く説明して理解を求めるべき重大な問題だ。省令の変更で済むことではない」と語る。
「電力会社にとって廃炉費用が大きな負担なのは事実だとしても、まずは経営者や株主、金融機関の責任の所在を明らかにするのが先。それをせずに最初から電気料金を充てようとする。原子力政策の行き詰まりは誰の責任で、誰が費用を負担すべきなのか、はっきりさせる必要がある」
ただ、各電力会社にとっては「生死」にかかわる問題だ。とりわけ、保有する3基とも再稼働の見通しが立たない原電の状況は切迫している。
敦賀原発2号機(福井県敦賀市)は規制委から直下に活断層があると認定され、運転開始から43年を経過している同原発1号機は「原則40年」の運転制限に抵触、東海第二原発(茨城県東海村)は地元自治体の反対が根強い。同社は3基とも再稼働を目指しているが、先行きは暗い。
現行の会計制度で3基が廃炉となれば、経営破綻は必至。影響は1社だけにとどまらない。原電は、原発を持たない沖縄電力を除く電力9社が85%を出資。うち関西、中部、北陸、東北の電力4社は、原電が金融機関から借りている約1000億円の債務保証もしている。経営破綻となれば、その肩代わりを迫られる。
だからといって、電気料金の値上げにつながる会計制度の見直しを許していいのだろうか。原子力委員会の新大綱策定会議のメンバーを務めた慶応大の金子勝教授(財政学)は「電気料金の上乗せや税金投入で電力会社を延命させても、ツケの先送り。国民負担がずるずると増えるだけだ」と指摘する。「電力会社は損失発生を恐れて廃炉を嫌がり、その結果、安全でない原発を再稼働させようとする。新会社をつくるなどして原発を電力会社から引き離すこと。それが冷静な判断の前提だ」
[デスクメモ]
五輪招致の報道を見ながら、私たちは正気なのかと疑う。原発事故は進行中で、汚染水が漏れ続けている。止め方も分からない。そんな場所に選手らを招くという。汚染水タンクが壊れた。その技術力で再稼働に奔走している。これも狂気だ。いずれもカネの論理が底にある。いや論理ではない。病だ。(牧)
http://www.asyura2.com/13/genpatu33/msg/369.html