来るなオリンピック、オリンピック招致の破滅的経済損失。
たらればのお話だが、話しておかなければならない。
東京オリンピックの招致が日本の破綻の引き金を引くのか。もしオリンピックが東京に決まれば、消費税引き上げの導火線になるかもしれない。日本は最大のピンチを招くことになる。
これの招致が決まると、日本は大騒ぎになり、行け行けどんどんになる可能性が高い。そして最悪の消費税の引き上げを決めてしまうだろう。
1964年の夢をもう一度だが、当時とは、経済の基礎的条件が違っている。現在の日本はデフレ下にある。
当時は、経済が上り調子で、拡大再生産がなされ、貯蓄率も高かった。未発達なインフラの整備への公共投資は乗数効果が大きく、日本全体に経済効果をもたらし、インフラはその後の経済発展に大きく寄与した。
しかし現在のデフレ下では、全く違った悪い波及効果をもたらすことになる。経済は下降し、低所得層が増え、縮小循環に陥っている。
現在のインフラ投資は、社会資本としての効果が乏しく、乗数効果など全くない。そのため東京でのインフラ整備は、東京にのみ恩恵があるが、それ以外の地域では、人の流出、資金の流出、原材料の高騰を生み、空洞化していく。日本全体では下降することになる。
そして借金だけが残るのである。
オリンピックが招致されるとなると早速、経済効果なる物が発表されインフラ整備で7年間で3兆円ほどの効果があるなどと試算されるであろう。
しかしそんな物は嘘っぱちである。逆に大きな損失が出るというのが本当である。実際には損失の計算をしていないだけだ。
このことはこの20年間の莫大な公共投資によるインフラ整備を行ってきたが、なんら市場は拡大再生産されず、自律回復していない。
逆に、経済成長していると言いながら、とどのつまり、名目GDPが500兆円を切ってしまったのである。経済は縮小したのである。
愛知万博の後名古屋はどうなったであろうか。各種イベントをいくらやってもデフレ下での公共投資は、より早く借金をこしらえるだけなのだ。
あなたがたはケインズ経済学の乗数効果による公共投資の有効性をご存じであろう。しかしそれは経済が正常な場合にのみ有効なのである。デフレ下で通用せず、逆に経済を波及的に減少させるのである。
正常な経済の場合、一つの経済循環が、拡大生産をしており、生産量のすべてが消費され、所得となり、なおかつ貯蓄が生じているとする。その貯蓄率が所得の5%と仮定する。一つの経済循環が1億と仮定すると、5%500万の貯蓄が生まれている。
このような経済において
公共投資が10億なされれば、5千万の貯蓄を生み、100億であれば5億円の貯蓄を生むと推測される。
これが正常な場合の公共投資の姿であり、経済が膨らみ貯蓄が増えて行く。
しかし逆にデフレの場合、一つの経済循環が、縮小しており、生産量のすべてが消費されず、不良在庫が生じている。これが所得の5%とする。一循環が一億であるとすると、循環毎に不良在庫は500万生じることになる。
公共投資の規模が10億であれば、5千万の不良在庫を生みだし、100億の規模であれば、5億の不良在庫を生み出すことになる。
それ故デフレ下での公共投資は、不良在庫である無駄な浪費の借金を波及的に増やしていく。それ故オリンピック効果などあり得ないのである。
しかし1964年当時を知る人達は、日本の高度成長が東京オリンピックが起爆剤になったと思っており、経済の基礎的諸条件の違いなど関係なく行け行けになってしまうだろう。
その結果が今から我々には思い量ることができる。惨憺たる物であろう。日本沈没である。
このような当たり前の事をいくら言っても、オリンピックが招致されたなら、だれも信じないだろう。
戦時中の提灯行列の状態になり、確実に一億総玉砕の方向に舵を切ることになる。
しかしことはこれだけではすまないのである。
オリンピックの招致とともに、消費税の引き上げが決まることである。連動する可能性が非常に強い。
今の麻生、財務大臣や、財務省、阿部首相に経済的な素養はない。
あろうことか、消費税を引き上げそれに対する対策として補正予算を組もうとするような輩である。財政再建など、補正予算を組んだ時点で不可能なことが分かる。
デフレ下の所得線は45度以下であり、資金の減少は、大きく生産量を減じることになる。逆に言うと、生産の増加の割に所得が伸びない所得線である。
そのため消費税の引き上げという市場から奪った資金量の減少を補うためには、奪った資金以上の資金を生産量の増大につぎ込まなければならないのである。
そのため消費税を引き上げ、補正予算を組むようなことは、無駄な徒労であり、デフレ解消や財政再建など夢物語である。
しかし今の政権であれば、消費税を引き上げ、東京オリンピックに対するインフラ予算として補正予算を組む可能性があることだ。こんな馬鹿げた無茶苦茶をされたらたまらない。経済学的無知の最たるものだ。
これをまた何食わぬ顔で経済専門家やメディヤが賛同すれば日本は終わりだ。
オリンピックと連動し、消費税が3%引き上げられ来年4月に8%になったとしよう。どういう現象が起こるだろうか。多くの読者の方は消費税引き上げはデフレ恐慌を招く原理であることは既にご存じであろう。
まずオリンピックの招致が決定したとする。インフラ関連株が値上がりするだろう。来年度の予算もそれにより変わって行くだろう。
来年4月までに株価は、日本だけの事情だけを考えれば2万円近くまで行くかもしれない。そこで来年4月に消費税引き上げがなされると、日本の実体市場は、一気に収縮して行く。
来年秋口には、株価の値上がりと、実体市場のギャップが大きくなり、再びバブルとなり、1990年初頭のバブルの崩壊に次ぐ大きな崩壊となるであろう。
そしてデフレがさらに深刻化し、普通の経済対策ではもはや、浮上できない状態を迎え、企業の大量淘汰が起こり、もはや1千兆円を越える借金の返済できる母体の欠如を示し始め、国債が暴落する。
各地の地場産業は破壊され、なくなり、大企業は、国内生産を放棄し、海外へ移転せざる負えなくなる。失業者と、生活保護所帯があふれ、低所得層だけとなり、窮乏が永遠と続くのである。
2千14年は、アメリカのQE3の終了の不況年に当たる。消費税引き上げの惨状は激しいものになる。
このような馬鹿げたことが起こらないように、私はオリンピックが日本で行われないことを期待する。
取らぬタヌキの皮算用であってほしい。下馬評や、ヨーロッパではマドリードの評価が高いらしい。しかし万が一のことがある。
そのためデフレ下のオリンピックの経済に及ぼす惨たらしさを書いたのである。
願わくば、マドリードに行ってほしいものだ。しかしながらスペインもデフレ下にあるためオリンピックという公共投資は、莫大な借金を築くだろう。その結果ユーロ崩壊の導火線となろう。
世界にとってどちらもかんばしい物ではない。しかし私は日本人であるので、直接日本が当事者にならないことを祈るだけだ。
一言主。
http://www.eonet.ne.jp/^hitokotonusi/一言主
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/デフレインフレの一般理論
追記
オリンピックは常に経済効果のあるものではない。デフレ下で行われる公共投資は、経済を回転させ忙しくするが、内実は、赤字で会社を運営しているようなものである。大きくすればするほど赤字が増えていく。
1964年と現在は全く違う経済状態にある。真逆と言っていいだろう。経済学は、同じ条件下では何度でも同じ結果を生む学問である。違う条件で有れば当然違う結果が生まれよう。
現在の経済学は、デフレ下の公共投資が無意味で効果がなく、大きな損失を出していることに気が付いていない。特に日本では公共投資が神話になっている。打ち出の小槌のごとく思われている。
恐ろしい無知が再び日本を破壊しようとしている。くるなオリンピック。マドリードやイスタンブールに快く譲ろう。