安倍政権でゾンビのように復活した「残業代ゼロ法案」
http://gendai.net/articles/view/syakai/144063
2013年8月16日 日刊ゲンダイ
首相よ、またやるのか!?
安倍政権が「ホワイトカラー・エグゼンプション」の実験的な導入を検討していると報じられた。年収800万円超の課長級以上の社員が対象となる。労基法では、労働時間の上限は1日8時間、週40時間と規定されているが、導入されれば「ご自由に」ということで制限は取っ払われてしまう。つまり、残業代も休日・深夜割り増しもゼロ。ただでさえ、30〜40代中間管理職は、上司と部下に挟まれて精神的な負担が大きいのに、給与まで抑えられたらやりきれない。
そもそも、ホワイトカラー・エグゼンプションは第1次安倍政権が導入しようとして断念した経緯がある。「残業代ゼロ法案」「過労死促進策」と批判を浴びて、07年に見送られた。
それを再び持ち出す理由は何なのか。しかも、前回の対象は年収900万円以上だったのに今回は800万円以上にして、対象者を増やす。そんなにサラリーマンが憎いのか。それとも参院選みたいに「カタキ」なのか。
「そもそも中間管理職は、自分の数字を上げながら若手社員の面倒も見なくてはいけない。どんなに生産性を上げても残業せざるを得ない状況です。基本給が上がるならまだしも、ただ残業代をゼロにするだけならば、体のいい人件費カットです。社員はいいようにコキ使われ、ブラック化が進むだけです」(経済ジャーナリスト・岩波拓哉氏)
人事コンサルタントの菅野宏三氏は「過労死やうつが増える」とこう続けた。
「過労死やうつに至るのは、もともと、休日返上してでも働く真面目な人。そこに、ホワイトカラー・エグゼンプション導入で『自分の裁量で成果を上げろ』と言われれば、ますますエンドレスに働いてしまいます」
サラリーマンは、いよいよ逃げ場がなくなってきた。