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2013/8/15 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
アメリカの手先 岸信介の孫が首相だからか
敗戦の日から68年のきょう(15日)、安倍首相は靖国参拝を回避する。第1次内閣で参拝しなかったことを「痛恨の極み」と話していた。それだけに参拝の可能性が指摘されてきたが、玉串料を納めることで保守層にいい顔をしながら、自らは足を運ばないことで中韓両国に配慮するつもりらしい。精いっぱいの知恵なのだろう。
もっとも、こんな小細工で、停滞中の東アジア外交が動き出すわけがない。外交関係者は「隣国にとっては参拝も奉納も同じ。どんな違いがあるのか分からない。安倍さんが気を使ったとは受け止めてくれないでしょう」と言う。百歩譲って違いを理解したとしても、彼らからすれば「いまさら何だ」という感じではないか。
13日の英紙フィナンシャル・タイムズは、安倍政権の外交姿勢を批判するコラムを掲載した。安倍は、旧日本軍の731部隊を連想させる数字が書かれた自衛隊機に乗ってピースサインをしたり、海上自衛隊の護衛艦に、かつて中国に派遣された艦艇と同じ名前をつけたりした。コラムでは、それらが日中関係の緊張を高めると分析。〈安倍首相と首相側近らは15日の靖国参拝を見送るようだが、もはや手遅れだ〉と指摘している。
◆戦後民主主義を否定し戦前回帰を目指す
なにしろ安倍は、日本の侵略を認めていない。国会で質問されても、「国と国との関係で、どちらから見るかで違う」などと答弁している。首相に就任直後は、従軍慰安婦に対する軍の関与を認めた「河野談話」や植民地支配と侵略を認めた「村山談話」をひっくり返し、戦前の日本は間違っていなかったという「安倍談話」を出そうと身構えていた。過去の戦争への反省はまったくないのだ。
一方で、今年度は防衛費を11年ぶりに増額。来年度の概算要求でも上積みする方針だ。これでは日中、日韓の関係が改善されるわけがない。
政治評論家の山口朝雄氏が言う。
「第1次政権で安倍首相は盛んに『戦後レジームからの脱却』を唱えました。これは戦後民主主義を否定し、破壊しようというもの。要するに、日本を戦前の姿に戻したいのです。軍隊を強化し、集団的自衛権の行使を可能にし、国民の自由も制限する。自民党の憲法改正草案では、そんな戦前回帰の考えが浮き彫りになっています。だから、日本が戦前に犯した罪は認められない。中国や韓国を刺激することになっても、時代を逆回転させたいのでしょう」
先の参院選でも安倍は、「日本を取り戻す」と訴えていた。これは高度経済成長期の日本のことを指すのではない。戦争に突入した過去の日本なのだろう。
だとすれば、往時の敵国である米国との関係も見直すのが普通だ。沖縄に苦難を強制し続けて平気な顔をしていられるのは、まっとうな政治家ではない。占領軍が在日米軍と名前を変えて駐留している現状は、あまりにも異常ではないか。
◆占領状態を利用した日本の保守政治家たち
同じ敗戦国でも、ドイツとは大違いである。麻生副総理が「手法をマネたらいい」と持ち上げたナチスの時代、ドイツは600万人以上のユダヤ人を虐殺した。ホロコーストの犠牲者は、そのほかの民族も含めれば1000万人を超えるともいわれている。罪深さは、かつての日本の比じゃないだろう。
それでも現在は、欧州の大国として揺るぎない地位を築いている。米国にだってペコペコしていない。なぜ、こうも違うのか。
法大教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「ドイツは戦後、4カ国に分割されました。その後、東西ドイツに分かれ、かつての国家は消滅。まったく新しい国として生まれ変わっています。それに対して日本は、米国が一括で統治したため、国家も継続した。戦前からの支配が残ったのです。裁判官などは戦前とまったく同じ。事実上の占領も安保条約によって継続された。米軍優位の体制も日米地位協定で制度化し、理不尽な密約も結んだ。そうやって米軍に首根っこを押さえられたまま、70年近くも過ごしてきたのです」
ドイツは自国で戦争犯罪を告発したり、積極的にナチス犠牲者への補償に乗り出したりしたことで、過去とも完全に決別できた。その上、1990年に西ドイツが東ドイツを併合した際の代償も一国で引き受け、冷戦の終結にも一役買っている。おかげで米国に遠慮せず、堂々と振る舞えるようになった。戦後一貫して米国に隷従してきた日本とは、明らかに歩みが異なるのだ。
「しかも、日本の保守系政治家たちは、占領状態を利用した。米国に支配されることで、米国を後ろ盾にして権力を安定させる道を選んだのです。その結果、ドイツとはまったく違う戦後になりました」(五十嵐仁氏=前出)
◆米国と財界の意向だけを重視する安倍政権
そんな売国政治家の代表が安倍の祖父、岸信介だ。安保改定を強行し、日本の米国隷従を継続させた張本人。かの戦争でA級戦犯になりながら、CIAの協力者となることで巣鴨刑務所を釈放され、米国の力で首相にまで上り詰めた。彼がCIAのカネで権力を掌握したのは、ピュリツァー賞を受賞したティム・ウィナー氏が著書「CIA秘録」で暴露している。
安倍は右寄りの政治家だ。本来なら、日本政府に断りもなく米兵が国内外を行き来したり、米軍機が住宅密集地を飛行したりしている現状を憂えて当然だろう。だが、米国には絶対服従だ。それどころか、いやがるオバマ大統領に首脳会談をしてくれるように懇願し、TPPで日本市場を差し出してまで歓心を買おうとしている。
もしかして彼が守りたいのは、日本ではなく、祖父の名誉ではないのか。だとすれば、盛んにナショナリズムを煽(あお)るのは、目くらましだ。本心ではない。
「日本では、米国の言いなりになれば権力を維持できる。それと財界です。この2つから好かれることが大事で、だから安倍首相は消費税増税の先送りができない。経済界や市場が求めているから、引っ込められないのでしょう。国民のことなど二の次三の次です。本来ならメディアが安倍政権のデタラメを暴くべきですが、報道機関のトップたちは首相から会食に誘われてホイホイと出掛けている。大手新聞の政治部長や論説委員たちも官邸に取り込まれているのだから情けない」(山口朝雄氏=前出)
米国の手先の孫が日本を狂わせている。