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2013/08/06 平和活動家・勝見 貴弘
福島第一の汚染水問題は「非常事態」と規制当局者
Watchdog says radioactive water at Fukushima an emergency
2013年8月6日 06時45分
[東京 5日 ロイター]東京電力が汚染水の流出防止に取り組む同社の福島第1原子力発電所で生じた放射能汚染地下水について、原子力規制当局の関係者は5日、事態は「非常事態」にあるとの認識を示した。
原子力規制庁の金城慎司・東京電力福島第1原子力発電所事故対策室長はロイターに対し、法定基準を超えた水量の汚染された地下水が、地中の遮水壁を突破し、地表に向かっているとした上で、東電の地下水くみ上げ計画は一時しのぎにしかならないとの見方を示した。金城室長はこう語る。
東電の「危機感は薄い。だから東電のみに任せておけない。現状は非常事態と見る」
2011年の震災時に生じた大規模な津波に破壊された福島第1原発について、電力事業者の東電は、津波や地震に対する備えと、その後に起きた原子炉のメルトダウンへの対応のずさんさを厳しく非難されてきた。またそうしたずざんな対応を隠蔽してきたとの指摘もある。
現時点では、汚染地下水がどの程度の脅威となるかは明らかにされていない。震災直後、日本政府は東電に対し、緊急措置として数万トンの汚染水を太平洋に放出することを認めていた。しかし、近隣諸国や地元の漁業関係者から批判を受けため、東電には、地元の同意なく汚染水を放出しないと関係者に約束した経緯がある。
「流出している汚染水の正確な濃度と容量がわからないかぎり、海洋への影響について憶測で語ることはできない」東京大学大気海洋研究所・国際連携研究センターの植松光夫所長はこう前置きした上で次のように語った。
「海水におけるそれぞれの程度を計測する必要がある。もし、流出が湾内に限定され、海に流れ出していないのならば、一部が懸念するように汚染が拡大することはないかもしれない」
■行き場のない汚染水
東電側は、汚染流出を防ぐべく様々な方策を講じていると主張する。同社広報担当がロイターにメールで寄せた声明によれば、同社は、「福島県の住民のみなさま、周辺地域の住民のみなさま、そして広く日本社会のみなさまに大変な不都合、迷惑と心配をかけていることを心より深くお詫び申し上げている」。
東電では、福島第1原発が置かれる場所の山側から、原発施設内の大破した建物に流入する地下水のうち1日平均400トンの汲み上げ作業を行っている。この地下水は、原子炉を摂氏100度以下の安定温度に維持するために使用される高濃度放射能汚染された冷却水と混じり合う。同社はバイパスを作って地下水の施設流入を防ごうとしてきたが、最近になって海水における放射性物質の濃度が急激に上昇していたとが発覚したため、「汚染水が海に達している」という、同社が数か月間にわたって否定してきた事実を認めざるを得なくなった。
太平洋への汚染水の流出拡大を防ぐ手段として、施設の作業員らは原子炉1号基の建屋が置かれている岸壁近くの土を薬剤で固めて地下に遮水壁を造った。ただし、遮水壁は地下1・8メートルより深い部分にしか造れないためその効果には限界がある。遮水壁を突破した汚染水は、地表の薄い表面を通じて浸透し近場の海に流れ出る。より深刻なのは、水位が地表へ向けて上昇していることだ。地表に達せば、流出はさらに加速する。
「壁を造れば当然そこに水が溜まる。溜まった水は行き場を失い上か横に広がるしかなくなり、最終的には海に出ることになる」
複数の東電の原発で作業した経験を持つ元東芝・原子炉格納容器設計者の後藤政志氏はこう語る。
「だから問題は、あとどのくらい持つかにある」
朝日新聞が3日に伝えたところによれば、「このままのペースで上昇すれば3週間で、水が地面にあふれ出す計算」となる。原子力規制庁の金城室長は、この「3週間」という推測は規制庁の計算によるものではないと前置きした上で、仮に汚染水が地表に達したと過程した場合、「その流れは大変に速いものとなるだろう」と語る。
東電の関係者は1日、今週末辺りから1日約100トンの単位で地下水のくみ上げを実施する計画だと説明した。これに対し規制委の「汚染水対策検討作業部会」は2日会合を開き「海中への流出を防ぐためには新たな手段を講じる必要があるとの結論を下した」と金城室長は語る。
東電は2日、事故以来、推定で20兆〜40兆ベクレルの放射性トリチウム(三重水素)が海に漏れ出したとする試算結果を発表した。同社によれば、これは法律で許容される基準内だという。トリチウムは、東電の原発施設内から放出されたセシウムやストロンチウムに比べ危険性は低いとされる。同社はストロンチウムの流出量についても今後試算する予定だ。
トリチウムが長期にわたり漏れ出していたことを東電が認め、規制当局があらためてこれを厳しく批判したことは、総額110億ドル(約1兆円)の費用がかかる同社の後始末を行う上で、セシウム等の放射性物質で汚染された地下水を海に漏れ出さないようにするという、根本的な課題の解決がいかに危うい状況にあるかを示しているといえる。
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