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2013/8/2 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
秋になったら本性むき出しの安倍自民政権の庶民いじめが始まる
予想した通りだ。参院選で圧勝した安倍自民党が、牙を剥き始めている。参院選の時は、一言も触れなかったくせに、選挙が終わった途端、国民負担増に動き出しているのだ。
ターゲットにされているのは、まず高齢者だ。「痛みを伴う改革」と称して、容赦なく老人を痛めつけようとしている。どこまで70歳以上の国民が気づいているのか分からないが、安倍政権が考えている「老人政策」は、とんでもないシロモノだ。
政府の「社会保障国民会議」は、8月6日に安倍首相に最終報告案を提出する予定。その原案にはビックリである。高齢者に対する負担増がズラリと並んでいるのだ。
現在、1割負担となっている70〜74歳の医療費の自己負担を2割に引き上げ、介護保険の自己負担も現行の1割から2割にアップさせる。しかも、140万人の「要支援者」は、介護保険を使えないようにしてしまう。さらに、年金受給者への「課税強化」まで報告書に盛り込む方針だ。報告書を受け取った安倍首相は、報告書に従って福祉政策を進めていく。
しかし、「痛みを伴う改革」か何か知らないが、医療も、介護も、年金も、何もかもサービスを削り、高齢者に「負担増」を押しつけようなんて、いくらなんでもオカシイ。しかも、参院選の時、安倍首相は負担増について一言も話さなかった。だまし討ちもいいところだ。
「大手メディアは、高齢者は裕福だと報じていますが、調査では6割がカツカツの生活をしている。たしかに、ある程度の貯蓄はあるかもしれないが、収入は年金しかなく、いつ病気になるか分からなければ、不安だからコツコツ貯めますよ。それが悪いことですか。年金だって、自分たちが若い頃に払った保険料をいま受け取っているだけです。政府は、いつの間にか年金制度を“現役世代からの仕送り方式”だと説明を変えているが、かつては“積み立て方式”だと説明していた。なのに、年金の減額や、年金課税なんて、とんでもない話。高齢者の暮らしは成り立たなくなる。恐らく安倍政権は、まず高齢者に痛みを課すことで、現役世代に負担増を納得させるつもりでしょう」(筑波大名誉教授・小林弥六氏=経済学)
◆毎年、国民から10兆円を収奪するつもり
猛暑にヘトヘトになっている国民は、この先、何が始まるのか、まったく分かっていないようだが、秋に開かれる臨時国会から一気に「国民負担増」がスタートすると覚悟した方がいい。
10月に「消費税増税」が決定されることは、間違いない。あたかも消費税率をアップするのかどうか、政権内が割れているように見えるが、すでに実施することは決まっている。国民向けに熟慮しているポーズを見せているだけのことだ。
消費税率が来年4月に8%、再来年10月に10%と引き上げられたら、日本経済はどうなるのか。大打撃を受けるのは必至だ。
なにしろ、国民の懐から毎年10兆円以上を吸い上げるのだから、消費が落ち込むのは確実である。97年に3%から5%にアップした時も、景気が急速に落ち込み、翌年から税収まで減ってしまった。イギリスも2010年、2011年と消費税率をアップさせた途端、景気が急降下。消費税の税率アップが国民生活を疲弊させることは、もはや歴史が証明している。内閣府の試算でも、1世帯、年間11万5000円の負担増になるという。
それでなくても日本経済は、給料は上がらないのに、物価だけは上がる「悪いインフレ」が進行中だ。労働者の月給は、安倍政権がスタートしてから毎月下落している。なのに物価だけは上がりつづける最悪の状況である。消費税率がアップされたら、国民生活はニッチもサッチもいかなくなるだろう。
「いまや労働者の約4割が非正規雇用。貯蓄なし世帯は約30%と4人に1人が貯金もできないギリギリの生活をしています。年間10万円以上の負担増に耐えられるのか。中小企業も大変です。仕入れにかかった消費税率アップ分を価格に転嫁できず、さらに利益を減らしていくでしょう。自殺者が続出すると思います」(政治評論家・本澤二郎氏)
安倍首相は、秋の「臨時国会」、さらに来年1月の「通常国会」で、年金カット、保険料アップ、消費税増税……と、矢継ぎ早に国民負担増を実施していくつもりだ。その時になって能天気な国民は、「エッー」と仰天することになるだろう。
◆これから3年間、国民生活は地獄が続く
しかし、それもこれも、選挙で自民党を圧勝させた有権者の自業自得だ。
衆、参で圧倒的多数を与えたら、安倍首相がやりたい放題にやってくることは、最初から分かっていたはずである。
しかも、この先、3年間は国政選挙がないから、どんなに悪政をやろうが、安倍首相に鉄槌を下すこともできない。国民の多くは「民主党よりはマシだ」「アベノミクスで株も上がっているし」という軽い気持ちで一票を投じたのだろうが、自分たちの暮らしがどうなるか、考えもしなかったのだから本当にバカだ。
「麻生財務相のナチス発言じゃありませんが、日本の有権者は1930年代のドイツ国民と同じです。自分たちを苦しめるトップを自分たちの手で選んでいる。実際、安倍首相は合法的に選ばれた独裁者になりつつあります。党内に逆らう者はなく、野党は力を失い、メディアも応援団となっている。これから3年間、国民は本当に苦しい生活を強いられると思う。安倍首相の経済政策は、要するに強い者をさらに強くする“新自由主義”です。利益を得るのは富裕層だけで、庶民はほとんど恩恵がないでしょう。消費税率をアップさせるのも、社会保障の拡充のためではなく、法人税を減税するためです。恐ろしいのは、大企業のためにTPP参加を推し進めていること。TPPに参加したら、農業はもちろん、中小企業も、地域経済も壊滅してしまう。3年後、疲弊した国民は“まさか、こんなことになるとは”と後悔するでしょうが、その時、国民生活はガタガタにされているでしょう」(政治評論家・森田実氏)
それにしても、自民党を政権に返り咲かせた民主党の責任は本当に大きい。その罪、万死に値するのではないか。