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2013年7月20日(土)18時0分配信 週刊実話
今回の参院選、各党の公約をあらためて見直しても、驚くほど年金問題に関する記述が少ない。
かろうじて民主党が『公的年金制度の一元化』をうたっているが、自民党は、ホンネでは最もやりたい『憲法改正』を引っ込めて『経済再生』を一番にもってきた。維新は『既得権との闘い』、みんなは『規制改革、公務員制度改革』、その他の野党は『原発ゼロ』『TPP反対』『憲法改正反対』などがメーンの公約だ。
民主党の細野豪志幹事長は、札幌で開かれた講演で「(参院選では)もう一度、社会保障が大きな政治テーマになる」と社会保障制度改革の争点化に意欲を示したが、自民党が乗ってくる気配はない。それもそのはず、安倍晋三首相にとって年金問題は“忌まわしき過去”だからだ。
「宙に浮いた年金記録5000万件」が発覚したのは、第一次安倍内閣の2007年2月だった。旧社会保険庁によって、公的年金の加入・納付記録が長年にわたってずさんに管理されていた問題であり、その年7月の参議院選挙では、まさにこれが引き金となって自民党が大敗し、民主党が大躍進した。年金記録問題の発覚がターニングポイントとなり、その後の福田政権と麻生政権も低迷し、政権交代へと突き進んで行ったのである。
年金問題が当時の安倍政権の過失ではないにしろ、安倍首相は選挙戦で決して実現できないことまで公言してしまった。
「最後の1人に至るまで記録をチェックして、まじめにこつこつと保険料を払っていただいた皆さんの年金を正しくきっちりとお支払いしていく」('07年7月21日、鳥取県米子市内の街頭演説)。
あれから6年。第二次安倍内閣は、消えた年金記録問題はもうすべて解決したとでもいうかのように、年金の「ネ」の字も言わない。「最後の1人」どころか、現在もまだ約2200万件が誰のものだかわからない記録のままなのである。
そして、安倍首相は6年前の誓いに知らん顔を決め込むばかりか、コッソリと消えた年金記録問題そのものの幕引きにかかっているようだ。
まず、厚生労働省の『年金記録回復委員会』が、1月17日を最後に廃止された。同委員会は'09年、当時の長妻昭厚生労働大臣の指示で設置され、記録問題の対応策を審議してきた機関だ。そして、これに対応するために全国50カ所に『年金記録確認第三者委員会』が設置されたのだが、安倍首相は申し立ての減少を理由に、そのうち41カ所の廃止を決めた。
3月下旬には、廃止された『年金記録回復委員会』の後継組織として、『年金記録問題に関する特別委員会』が発足した。
いまだに持ち主が判明していない約2200万件の年金記録の解明が主な目的だといい、再発防止策などについて審議し、'13年度内に報告書をまとめるという。目的もやることも一緒なのにリニューアルされたわけだ。