【モスクワ=原誠司】ロシア中部キーロフの裁判所は十九日、横領罪で懲役五年の実刑判決を受けた野党勢力指導者の一人で、反プーチン政権ブロガーのアレクセイ・ナバリヌイ氏(37)を釈放した。同氏の判決後に首都モスクワなど全国各地で市民の抗議デモが相次いでおり、不満を鎮めようとするプーチン政権の意向を受けたものとみられる。
同氏は九月のモスクワ市長選に立候補しており、裁判所は釈放の表向きの理由を、拘束によって被選挙権を奪うことはできないなどと説明している。
判決後の十八日夕、クレムリン間近まで迫った数千人の抗議デモは翌日未明まで続き、警察隊は約二百人を拘束。第二都市サンクトペテルブルクなどでもこのほかに計約六十人が拘束され、政権発足後、最大規模となった。
モスクワの現場は、十九日から始まった二十カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の主会場の近く。ナバリヌイ氏の名を連呼し「ロシアに自由を」「プーチンは恥さらし」と叫ぶ参加者の叫びは、各国要人へのアピールともなった。
判決後に立候補をいったん取り下げる意向を示したナバリヌイ氏は釈放直後、「選挙をボイコットするか参加するかはモスクワに帰ってから決める」と表明。ナバリヌイ氏は移動は制限されるものの、上級審で争う方針で、判決確定までは収監されない。
リベラルな中間層に支持が多いナバリヌイ氏が選挙戦を続ければ、「反プーチンデモ」が再び盛り返す可能性がある。
選挙戦は現職ソビャーニン氏(54)の再選が有力。ナバリヌイ氏の釈放を、政治工学センターのマカルキン副所長は「政権側は現職有利の情勢を見越している。政敵排除との国内外の非難をかわすため、有力野党候補がいない選挙を避けようとした」と指摘した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2013072002000112.html
http://www.asyura2.com/12/kokusai7/msg/587.html