[東電裏ガネ疑惑] キーマンと亀井・仙谷の仲
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2013/7/18 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
なぜ、各メディアとも朝日の独走に沈黙を続けるのか。朝日新聞が連日、東京電力の裏金疑惑を追及している。青森・むつ市に建設中の使用済み核燃料中間貯蔵施設の用地買収をめぐり、中堅ゼネコンの西松建設に買収工作資金2億円を肩代わりさせたというのだ。
裏金工作には清水正孝元社長らも関わっていたという衝撃の内容だが、後追い報道は皆無だ。
「朝日が問題視するのは、貯蔵施設の隣接用地買収の動き。地権者に土地の買い上げを求められた東電は、東電役員と面識のあった『警備会社会長』に交渉役を依頼。この会長の提案に従って、当時副社長の清水氏は07年11月ごろ、別の副社長と一緒に西松の経営トップと都内で面談、カネの工面を持ちかけたというのです」(司法関係者)
朝日の報道によると、西松側は東電の依頼に応じ、使途不明金から2億円を支出。警備会社会長を通じて地権者側に渡り、東電側とは工事受注で裏金を穴埋めする約束ができていたという。
西松建設といえば、08〜09年に東京地検特捜部が裏金を調べ上げた企業だ。その捜査の着地点こそ、当時は民主党代表だった小沢一郎事務所の違法献金事件である。
「実は特捜部も当時、東電と西松のつながりをマークしていた。特に関心を寄せたのが、朝日に今回『東電のゴースト(影)』と書かれた警備会社会長の存在です。過去にも原発施設をめぐる金銭トラブルで名前が取り沙汰された人物ですからね」(東京地検事情通)
この会長は政界に幅広い人脈を持ち、中でも関係が古いのは、みどりの風の亀井静香・元金融相と、落選中の仙谷由人・元官房長官の2人だ。会長の実兄は民放キー局の元役員で、亀井と東大の同期生。兄弟で亀井の政界進出を支えた。仙谷は新人弁護士時代、こちらも実兄と東大同期の弁護士事務所で「イソ弁」をした縁で、弟の会長との知遇を得たという。
◆なぜ他社は及び腰なのか
ただ、各メディアとも、東電疑惑には触れていない。
「事件化の可能性があれば他紙も色めき立ちますが、地検は朝日の報道に関心を持っていません。4年前に事件化できなかった。今さらムシ返す気はないようです。立件するにしても、東電サイドを罪に問うのは困難。東電関係者は全面否定だし、地権者も金をもらっていないと証言している。カネを捻出した西松側は何とか特別背任に問えそうですが、それこそ『何を今さら』。警備会社会長が過去に複数のメディアを名誉毀損で訴えたことも、及び腰の理由になっているようです」(東京地検関係者)
朝日の裏金報道は、関係者証言や西松の内部資料に基づいている。東電の「全面否定」を覆す新材料が待たれる。
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東電用地買収に裏金疑惑 西松建設、2億円肩代わり
http://www.asahi.com/national/update/0716/TKY201307150312.html
2013年7月16日3時0分 朝日新聞
【市田隆、久木良太】東京電力が青森県むつ市に建設中の使用済み核燃料中間貯蔵施設をめぐり、2007〜08年に西松建設の裏金2億円で用地買収工作を進めていたことが、関係者証言や西松建設の内部資料で分かった。東電の清水正孝元社長と皷(つづみ)紀男元副社長(当時はいずれも副社長)が西松側に資金支出を依頼したという。原発関連施設の立地で東電首脳が関与した裏工作疑惑が表面化した。
「東電の影」、裏交渉役
問題の買収対象地は、使用済み核燃料が陸揚げされる港と中間貯蔵施設を結ぶ約1・5キロメートルの専用道路に貫かれる形で両側に隣接する二つの土地計約1ヘクタール。地権者からこの土地の買い上げを東電側が求められていた。
東電幹部らによると、東電側は当初、この土地の買収を避けるため、地下トンネルを掘ることを検討したが、建設費が高額となるため断念。買い上げ交渉を、東電役員と付き合いがあった警備会社「ニューテック」(青森県六ケ所村)の白川司郎会長に依頼した。白川氏の周辺関係者によると、白川氏は買収前、「トンネルを通すと費用がかさむため、自分が東電から相手方との調停役を頼まれた。数億円かかる」と話していたという。
朝日新聞が入手した西松建設の内部資料や、同社の石橋直副社長(当時)の証言によると、東電副社長だった清水、皷両氏が07年11月ごろ、西松の国沢幹雄社長(当時)、石橋氏と東京・新橋周辺の飲食店で面談。清水氏らは、むつ市の用地買収で「法外な金額を要求されており、2億〜3億円かかる」と打ち明けた上で、「白川氏は『西松建設に頼んだらどうか』という。工面してもらいたい」と依頼し、西松側はその場で了承した。東電側は「白川氏と相談してほしい」と西松側に伝えたという。
朝日新聞が入手した白川氏の顧問弁護士名の文書には、西松が調達した2億円が地権者側に渡り、さらに不足分を白川氏側が立て替えたとの記載があった。西松側の作成資料にも、同じ内容が記されていた。
内部資料によると、西松側は使途を明らかにしない資金から2億円を支出したとされ、その時期に近い08年6月、東電の関連会社で、中間貯蔵施設を運営する「リサイクル燃料貯蔵」は、この対象地を額面上は約2千万円で買収した。買収工作が完了した後、ニューテックは10年までに、施設の警備業務を数十億円で受注している。
一方、西松側資料には、石橋氏が用地取得後に東電幹部と会い、「10年間で計500億円の発注を約束するとの発言を得た」との記述もあった。西松は、東電福島第一原発の増設工事などを希望したが、東日本大震災の後、増設計画は白紙撤回された。
東電や西松関係者によると、東電の発電所などへの設備投資額は年間5千億〜7千億円で推移し、ゼネコン各社は東電を重要な取引先と位置づけている。西松建設は、発注額が大きい原発関連事業の受注を狙い営業活動を強めていた。
■東電「承知せず」 西松「資料ない」
朝日新聞の取材に対し、東京電力広報部は「当時の役員の一つ一つのやり取りについては承知しておりません」と答え、現時点で清水元社長らに事実確認をする意思はないとの見解を示した。西松建設は広報部長名の文書で「内容を確認できる内部資料は、弊社には存在せず、回答はできません」とした。白川司郎氏は文書で「用地買収などに関係したことは一切ございません」などと自身の関与をすべて否定した。「東京電力社員にお会いしたのは、過去から現在までせいぜい5〜7人でなかろうかと思います」と述べている。
「リサイクル燃料貯蔵」は、「私契約に関することであり、回答は控える」とした。
■しわ寄せ、利用者に
【村山治】電力会社は一般の会計監査に加え、経済産業省の監査もあり、秘密資金を捻出することが難しい。電力会社が前面に出ず、ゼネコンが「前さばき役」として地元対策を代行することがあるとされてきた。
東京電力が西松建設に裏資金を肩代わりさせ、西松側には後から工事発注で穴埋めしようとしたのだとすれば、工作を露見しにくくするためコンプライアンス違反を犯した疑いが濃い。
東電の経営は、ほぼ電気料金収入で成り立っている。原発関連施設の立地に伴うこうした裏のコストは、結局は電力利用者が負担させられる。
東電福島第一原発の事故以降、将来も原子力エネルギーを選択すべきか否かの国民的議論が起こった。もし、裏のコストを隠したまま原発運転を強行することになれば、利用者の理解を得られまい。
東電は「当時の役員のやりとりは承知していない」というが、問題の施設はまさにこれから稼働するものだ。東電は早急に自ら事実関係を調査し、結果を説明する義務がある。
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〈中間貯蔵施設〉 原発の外で使用済み核燃料を再処理するまで保管する施設。震災前、全国の原発から出る使用済み燃料は年約1千トンで、六ケ所村再処理工場で処理できる年最大800トンを超えるため、中間貯蔵が必要とされた。原発内の貯蔵量が限界に近づき、原発の運転継続には、中間貯蔵の整備が不可欠とされる。青森県むつ市で建設中の「リサイクル燃料備蓄センター」は、東電80%、日本原電20%の出資による全国初の施設。使用済み燃料計5千トンを最長50年間貯蔵する予定だ。2010年8月に建屋の工事を始め、建設費は約1千億円。今年10月の操業を目指してきたが、国は12月施行の新規制基準への適合が必要だとしている。
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元むつ市長側に金銭支援 西松建設、核燃施設巡り1億円
http://www.asahi.com/national/update/0717/TKY201307160534.html
2013年7月17日5時35分 朝日新聞
【市田隆、田内康介、村山治】青森県むつ市で建設中の使用済み核燃料中間貯蔵施設を誘致した杉山粛(まさし)・むつ市長(当時、2007年死去)を支援するため、西松建設が03〜04年、市長側に子会社の資金で計1億円を融資したことが、関係者証言と西松建設の内部資料で分かった。西松側は東京電力に相談してから融資したという。融資金のうち7千万円は回収不能になった。用地買収の裏工作疑惑に続き、原発関連施設をめぐる不明朗な資金が判明した。
東電などが事業主体の中間貯蔵施設は、03年6月に杉山市長が誘致を表明した。ところが当時、杉山市長の親族企業の機械製造会社「まさご」(むつ市)が経営不振に陥った。自身が代表取締役を務めたこともあったため、市長はまさごの借金で1億円以上を個人保証していた。破綻(はたん)すれば市長の進退問題に発展する恐れがあったという。市長の周辺関係者は「市長が辞めると、中間貯蔵施設の実現が危うくなる。資金面で支える必要があった」と話す。
市長関係者によると、まさごの経営が悪化し、市長はおじの建設会社社長に資金援助を要請。朝日新聞が入手した西松建設の内部資料によれば、西松建設東北支店がこの社長から相談され、西松の子会社が03年7月と04年11月に各5千万円ずつ計1億円を社長個人に融資した。この融資金がまさごの資金繰りなどに充てられたが、うち7千万円が回収不能となり、損失処理されたという。
西松の内部資料には、石橋直・西松建設副社長(当時)の証言として、融資にあたって事業主体の東電に「事前に確認をとって取り掛かった」「(当時西松社長だった)国沢幹雄氏と石橋氏で確認に行った」などと記載されている。さらに、「中間貯蔵施設の誘致を目指すむつ市の有力者がかかわる事案で、今後の営業活動を有利に進めるため」と、融資の狙いも明記されていた。
杉山市長は、1999年ごろから東電と中間貯蔵施設の立地交渉を始めた。03年に誘致を正式表明。07年5月の市長6期目の任期途中に死去した。
西松は広報部長名の文書で「資料はなく、回答はできません」、東電広報部は「当社としては承知しておりません」と回答。融資を受けた社長の建設会社は「社長は病気で取材に対応できない」とした。
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西松建設、楢葉町長親族企業に無担保融資 全額焦げ付き
http://www.asahi.com/national/update/0718/TKY201307170769.html
2013年7月18日5時21分 朝日新聞
【久木良太、野上英文】福島県楢葉(ならは)町の草野孝前町長の親族企業「草野建設」に対し、西松建設側が2003〜04年に計2億3千万円を無担保で融資していたことが、関係者証言や西松建設の内部資料で分かった。返済は全くなく、全額が焦げ付いた。当時の東京電力役員が、草野建設の資金不足を西松側に伝え、融資のきっかけとなった可能性のあることも関係者証言で判明した。
草野氏は、1992年から5期20年間、東電福島第二原発がある楢葉町長を務めた。融資直前まで原発立地4町でつくる福島県原子力発電所所在町協議会の会長だった。東電幹部は「原発擁護派の草野氏は、東電には大事な存在だった」と話した。
西松関係者の証言などによると、西松は草野建設の要請を受け、子会社を使って03年12月〜04年3月、4回に分けて計2億3千万円を融資した。草野建設の社長は草野氏の長男で、草野氏もかつて社長を務めた。
西松の内部資料には、融資の動機について、東電事業の受注のため、原発推進派の草野氏側との「関係を最大限利用したかった」と記されている。また、西松の国沢幹雄社長と石橋直副社長(いずれも当時)が、融資に際し「東電に事前に確認を取って取り掛かった」とも記されている。
一方、東京地検特捜部が08〜09年に西松の裏金事件を捜査した際、この融資も捜査対象になったため、東電は社内の聞き取り調査を実施した。
東電関係者によると、社内調査の中で、当時の役員の一人が「03年暮れにあいさつに来た草野建設役員から手形が落ちなくて苦しいと聞き、同時期にあいさつに来た西松建設役員にその話を伝えたかもしれない」と話したという。
草野氏は取材に「当時すでに会社の役員を外れ、親族からも融資のことを聞いていない」と関与を否定。西松は広報部長名の文書で「資料はなく、回答はできません」、東電広報部は「当社としては承知しておりません」と回答。草野建設には書面で質問したが、17日までに回答がなかった。