私は、あるところのある学校で、経済学専攻の学生たちに、「現代経済・社会政策」というテーマで集中講義をした。クルーグマン、浜田宏一、岩田規久男、浜矩子、佐々木融の各氏の著書を使い、解説した。講義が終わると、講師室に学生H君が質問に来た。その時のやりとりである。
H男「Hです。アベノミクスの話、ありがとうございました。質問があります。1000兆円の財政赤字をどうするか訊きたいんですが」
安心「H君、徳政令、知っているか」
H男「日本史で習いました。幕府が御家人救済の目的で、借金をチャラにすること」
安心「幕府がよくやったことだ。しかし、結局、信用を失い、幕府は倒れた。このようなやり方は現在ではできないが、現在でも合法的と言うか、経済現象というか、うまくやる方法もあるよ」
H男「ええー、あるんですか」
安心「簡単だよ、貨幣価値を下げればよい。急にやると混乱が起こるからじわりとやるんだ。
まず、日銀に国債を買わせる。直接引き受けは日銀法で禁止されているから、市場から発行済みの国債を買うんだ。要するに、書籍で言えば新刊書は買わない。古本を買う。君がアマゾンから中古本を買うようなものだ」
H男「それ、これまで量的緩和と言って日銀やってますよね」
安心「白川日銀総裁の時はいやいやながらやっていた。悪いことだからだ。ところが黒田になると構いなしにやっている。黒田は財務省出身だから、頭の中は国の借金を減らすことしか考えていない。視野が狭い。官僚はそのようなものだ。国民に安心を与えて国民の需要を増やすという方法はあるが、そうすると年金を上げたり、最低賃金を上げたりして、その他いろいろ社会保障費がかさむ。
そこで手っ取り早い方法は、日銀に国債を買わせることだ。長年かけて買わせてしまえば、急激にインフレは起きない。日銀は政府の銀行だから、返さなくても問題はない。つまり返したことにして、また借りる。借り換えという。これを50年ほど続けると、そのうち消滅する。そうでなくても100倍のインフレになると1000兆円の借金は10兆円になる。さらにお金をゼネコンにばらまいて景気が良くなれば自民党の支持者(御家人、家来)もよろこぶ。一石二鳥」
H男『先生、そんな無責任なことしていいんですか」
安心「よくないが、よくある話だ。だから借金棒引き戦略という」
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