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2013/6/28 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
経済政策は戦前回帰
国会が閉幕し、政治はすっかり参院選モードに突入したようだ。安倍首相は会見で6年前の大敗を振り返り、「ねじれを生み出したのは、この私」「ねじれに終止符を打たねばならない」と強調。自公で過半数の奪還が必要だと説いていた。
公明が改選10議席を維持すると仮定すれば、自民のノルマは53議席。安倍内閣の支持率からすると、それほど高いハードルではないらしい。ただ、それでどうなるのか。失われた日本の国力が取り戻せるのか。大事なのは「解消」ではない。「解消後」だろう。
ねじれがなくなれば政治は安定する。政権は、思い通りの政策を推し進められるはずだ。普通だったら国民生活にプラスだが、安倍政権には期待できない。日本経済を再生し、国民の暮らしを上向かせるためのシナリオがメチャクチャなのである。
「異次元の緩和」「アベノミクス」「3本の矢」「成長戦略」……。言葉はいろいろと躍っている。個別に見ると、もっともらしい。だが、トータルで見るとどうか。てんでんバラバラだ。
政府は、日銀に大量の国債を買い取らせてカネをつくり、公共投資と企業向けの減税に振り向けようとしている。財政をユルユルにして経済を立ち直らせようという考えだ。その一方で、財政規律に目を配り、福祉や社会保障の制度を見直すとしている。いったい、緩めるのか締めるのか、どっちを目指すのか。向いている方向が百八十度違うのだから分からない。カネ余り状態の企業に向けて、設備投資減税をやるというのも矛盾している。思いつき、行き当たりばったりの政策がゴロゴロあり、政策の一体感がないのだ。
結局、安倍政権がやっているのは、日銀に国債を買わせ、使えるカネを捻出するということだけ。かつて日本は戦費の調達のために国債を日銀に引き受けさせた。当時と同じだ。安倍首相は日本に軍隊をつくり、戦争ができる国家に変えようとしているらしい。これが実現するのかどうかは分からないが、少なくとも経済政策は戦前に回帰している。
これでは、たとえねじれが解消されても国力は回復しない。参院選で自公を勝たせても、景気が良くなることはないのだ。