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2013/6/17 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
「3本の矢によって日本の経済を復活させ、世界経済にも大いに貢献をしていく。そういう決意を話したい」
6年ぶりのサミットに意気揚々と出かけた安倍首相だが、虚勢はもうバレている。各国首脳とはサミット外交、つまり、トップ会談をするのだが、肝心の日米首脳会談が組まれていないのだ。
官邸サイドは「13日に電話で話したから……」と取り繕っているらしいが、要はオバマからソデにされたということだ。中国の習近平国家主席とは8時間も時間を割いたのに、いかに安倍が相手にされていないかが分かる。
「日本にとって、日米首脳会談ほど重要な会談はありません。長い時間をかけて調整してきたのは確実で、それでも実現できなかったということです。未練タラタラの安倍首相は、会場内の移動中などで短時間でも話せないかと画策しているといいますが、同盟国のトップ同士が立ち話というのも前代未聞。どっちにしたって、日本外交の恥です」(元外交官で評論家の天木直人氏)
これじゃあ、アベノミクスの成果の説明どころじゃないが、そのアベノミクスも、今やすっかり化けの皮が剥がれ落ちている。
株価は乱高下を繰り返した揚げ句、「異次元緩和」前の水準に戻ってしまった。ピーク時に比べると、東証の1部上場企業の時価総額は80兆円も目減りした。この間、国債と日銀の信頼は大きく揺らぎ、輸入インフレによる物価高だけが進んだのだ。
一体、何のための金融緩和だったのか。成果もないのに、いつまでアホみたいなバクチを続けるのか。出口戦略もままならなくなってきて、安倍も黒田も内心、焦りまくっているのは間違いない。
◆株高だけで持ってた支持率は暴落する
さあ、こうなると、潮目は完全に変わってきたのではないか。
「何より、庶民が『アベノミクスはおかしいぞ』と思い始めた。欺瞞性に気付きだし、株価と連動するように内閣支持率が落ちだしたのです。これは安倍政権にとって大誤算でしょうね。とにかく、参院選に勝つまでは本当にやりたい右派路線もひた隠しにし、経済に徹してきたのに、その経済で足元が揺らぎだしたからです」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
時事通信の最新世論調査では、初めて支持率が50%台に落ち込んだ。2カ月連続の下落である。安倍応援団の日経調査でも支持率は8ポイント減。もともと株価だけで持っていたような政権である。バブルがはじけりゃ、ただの人だ。
「世論調査では、今なお4割の人が自民党支持になっていますが、そのわりには地方選で負け続けていることに注目すべきです。きのう(16日)の静岡知事選でも惨敗したし、党内きっての人気者、小泉進次郎議員の地元である横須賀市長選も敗色濃厚。有権者は積極的に自民党を支持しているワケではないのです。右翼の安倍首相はイヤだけど、とりあえず株価は上がっているし、民主党はダメだった。他に期待する政党がないから、自民党支持と答える。こういう人も多いはずです。安倍政権への支持ではなく、株高への支持です。その株が暴落しているのですから、支持率はもっと下がりますよ」(政治評論家・森田実氏)
安倍バブル人気の陰りは、参院選の「前哨戦」と位置づけられている都議選にも微妙な変化をもたらしている。自民圧勝の雲行きが変わってきて、自公の選挙協力もギクシャクしてきたのだ。
例えば、公明党が「最重要区」と位置づけてきた目黒選挙区(定数3)に自民党が候補者2人を立てたのがシコリになっている。民主党の現職がスルスルと抜け出し、公明は焦りまくっている。少なくとも「自公で議席独占」なんてムードは雲散霧消し、アゲンストの風がヒューヒュー吹き出したのである。
◆世界中から奇異な目で見られる危険な極右政権
こうなると、参院選だってどうなることか。圧勝はないんじゃないか。永田町はそんなムードだ。
株高が泡と消えた今、安倍には、胸を張れる成果はひとつもないからだ。
成長戦略はウソ八百を並べただけだし、それに失望して株式市場は大荒れ、債券市場もガタガタだし、日米関係は首脳会談すら開けず、中国、韓国との関係は最悪だ。
それも当然で、安倍は一時、橋下大阪市長と組んで憲法改正に突っ走ろうとしたのである。「不明」もいいところだが、2人は同じ穴のムジナだ。従軍慰安婦問題で最初に「暴言」を並べたのは若い頃の安倍である。
だから、中国、韓国は警戒感を強めていた。そこに橋下暴言が重なって、世界が呆れる騒ぎになった。そりゃ、米国も「コイツらとは会わない」となるわけである。
「歴史に挑戦しようとしているような安倍首相は、世界中から、奇異な目で見られています。これまで日本は、人畜無害でカネを出してくれる“いい国”だった。それが安倍首相のせいで一変した。偏狂なナショナリストの国だと見られている。致命的な外交の失敗です」(天木直人氏=前出)
それに国民も気付き始めた。株高という煙幕がとれて、安倍の本当の姿が見えてきた。それが最近の状況だ。
引退した古賀誠元幹事長は「赤旗」に登場して「憲法96条の改定は絶対にやるべきではない」と牽制した。野中広務元官房長官は訪中して「日中は尖閣問題の棚上げで合意していた」と発言。「領土問題はない」と突っ張るだけの安倍政権に横ヤリを入れた。
いずれも安倍の危うさを感じ取り、日本の今後を不安視し始めた民意を汲んでの行動だろう。
この2人に森喜朗元首相と青木幹雄元参院会長を加えた「砂防会館の4人組」が安倍降ろしを始めるのではないか、との見方もあるほどだ。
◆あと1ヶ月、何が起こるか分からない
安倍の暴政はまだある。TPP交渉参加を勝手に決めて、案の定、米国にはやられっぱなし。オスプレイでも同様だった。成長戦略は中身ナシだが、原発だけは再稼働にカジ切りし、しかし、金がかかるから、こっそり福島の除染計画は断念した。福島第1原発の事故は収束していないが、“トップセールス”で原発を海外に売り込む無責任。どうにもならない政権だが、選挙民はちゃんと見ている。
「安倍首相がやっていることは、民意に反することばかり。これで選挙に勝てるのでしょうか。参院選まであと1カ月以上ある。国民が極右政権の危険な正体に気づき始めた以上、反自民の受け皿がきちっとできれば、どうなるかわかりませんよ」(森田実氏=前出)
東欧とG8で、粋がっているうちが花である。