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2013/6/15 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
彼は政治的に抹殺され復活はとうてい無理だが、それだけに政権獲得後の民主党反小沢菅・仙谷・野田の自民党スパイ勢力の罪は重大である
6月26日の会期末まで、まだ10日以上残っているというのに、すでに国会は休業状態だ。早くも政界は都議選と参院選に突っ走っている。
それにしても、これほど野党が無力だった国会は戦後、初めてじゃないか。1月28日に召集された通常国会はアベノミクス一色。野党が何をしたか思い浮かぶ国民は皆無だろう。野党の存在感はゼロ。話題になったのは、橋下徹の「慰安婦発言」くらいのものだ。
「やり方によっては、国会は野党が主導権を握ってもおかしくありませんでした。何しろ、参院は与野党が逆転した“ねじれ”のままです。首相官邸もビクビクしながら通常国会に臨んでいました。実際、政務三役のスキャンダルが発覚し、閣僚が失言するなど危ない場面もあった。ところが、野党は見せ場もつくれない。“維新の会”を抱き込んだ策士の菅義偉官房長官に野党を分断されたこともありますが、一番の原因は、野党全体に『支持率の高い安倍政権を攻めても仕方がない』という諦めムードが広がったことです。昨年12月の衆院選で政権から転落した民主党が、いまだに立ち直っていないことも大きな理由です」(政界関係者)
野党が弱いのをいいことに、調子に乗った安倍首相は、二言目には「政治は結果だ」「株価が上がっている」と野党を蹴散らしている。それでも野党は反論ひとつできない。弱体野党はいいようにやられている。
◆小沢一郎が健在だったら野党は結集していた
このままでは、きのう(14日)告示された「都議選」も、7月の「参院選」も、自民党の圧勝は確実だ。
なんと自民党が行った参院選の調査では、選挙区「全員当選」、比例区も合わせると自民単独70議席という結果だったという。
小泉旋風が吹き荒れた2001年の64議席を上回る完勝である。
末期的なのは、週刊誌の選挙予測で「13議席」と報じられた民主党だ。前回「44議席」、前々回「60議席」を確保した民主党にとって壊滅的な敗北なのに、党内は「思ったよりはいい」という受け止め方だった。すっかり自信を失い、戦闘意欲を喪失しているのだ。
しかし、3週間で株価が3000円も下落したように、アベノミクスのバケの皮がはがれ、これから副作用がどんどん強まってくるのに、自民党を圧勝させていいのか。
なぜ、野党はここまで弱体化してしまったのか。もし、剛腕の小沢一郎が民主党で実権を握っていたら、こんなブザマなことにはなっていなかったはずだ。
「野党が国会で存在感を発揮し、参院選で勝利するためには、好き嫌いや政策の違いを乗り越えて野党が協力するしかありません。反自民の“受け皿”をつくる必要がある。バラバラで参院選を戦ったら自民党を圧勝させるだけです。ポイントは、野党第1党の民主党が小さな政党に譲歩できるかどうか。自社さ政権が成功したのも、自民党が社会党に大きく譲ったからです。もし、小沢さんが民主党の党首だったら、党内や世論の批判など気にせず、みずから悪役を買って出て、『民主党の候補者を降ろしてもいい』『政策も譲れるモノは譲る』『野党がまとまれば勝てる』と、膝詰めで他の野党を説得していたはずです。しかし、いま民主党には、小沢さんのように党内を力ずくでまとめ、野党を束ねられる百戦錬磨の政治家がひとりもいない。野党の結集は難しい状況です」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
民主党にはリーダーシップのかけらもない海江田万里や、能力もないくせに「オレが、オレが」でシャシャリ出てくる前原誠司のような連中しか残っていないのだから話にならない。安倍首相は高笑いしているはずである。
◆菅直人、野田佳彦、仙谷由人の戦犯たち
いま民主党に小沢一郎がいれば、野党勢力を結集し、参院選も十分に戦える陣立てを整えていたに違いない。
それだけに、つくづく許しがたいのは、寄ってたかって小沢一郎を追放した「反小沢」の菅直人や仙谷由人、野田佳彦といったヤカラである。
小沢一郎率いる自由党と合併しなければ、民主党は永遠に政権に就けなかったし、菅直人や野田佳彦が総理になることもなかった。民主党にとって小沢は恩人のはずだ。なのに、小沢の力で政権に就いた途端、手のひらを返したのだから、ヒドイ話だ。
「あとから分かったことは、小沢一郎は無実の罪を着せられ、被告席に立たされたということです。検察は公式文書を捏造までして小沢を陥れようとした。取り調べの様子を“隠し録音”していなかったら、間違いなく有罪にされていたでしょう。同じ政党の仲間が無実の罪を着せられたら、一緒に戦うのが当たり前です。少なくとも、有罪が確定するまでは推定無罪。なのに菅直人や野田佳彦は、小沢に“党員資格停止”の処分を下し、政治活動を封じ込めた。すべて自分たちが権力を握って甘い汁を吸うためです。結果的に民主党を分裂させ、政権を失ったのだからバカみたいです。彼らがやったことは、自民党のスパイ同然ですよ」(政治評論家・本澤二郎氏)
首相になった菅直人は3・11にまったく対応できず、野田佳彦は財務官僚に唆されて消費税をアップした揚げ句、「近いうち解散」で民主党を惨敗させている。
A級戦犯の2人が、いまだに党内でデカイ顔をしているのだから、民主党が展望をなくし、無気力になるのも当たり前だ。
◆参院選後に始まる国民生活の大地獄
民主党が消滅するのは自業自得というもの。しかし、最悪なのは野党の弱体化は国民生活と無関係じゃないことだ。バラバラの弱い野党を相手に自民党が参院選で圧勝したら、安倍首相が牙をむいてくるのは間違いない。国民は自民党の悪徳政治にトコトン搾り取られることになるだろう。
政治評論家の森田実氏はこう言う。
「国民はこれ以上、自民党が強くなりすぎることを警戒しています。対抗できる勢力が必要だとも思っている。アベノミクスについてもどこか懐疑的です。だから反自民の“受け皿”さえできれば、野党が勝利する可能性はあります。しかし、野党がバラバラでは勝ち目はない。恐ろしいのは、自民党の圧勝を許した時です。国家主義者の安倍首相は、選ばれたエリートが国の方針を決め、日本を代表する大企業を儲けさせればいいという発想です。庶民は関係ない。参院選後は、さらに“新自由主義”の経済政策を露骨に打ち出してくるはずです。消費税をアップさせながら、大企業の法人税を引き下げ、サラリーマンのクビを簡単に切れる“限定社員制度”も導入してくるでしょう。社会保障のカットも聖域ではない。いまでも貧富の格差が広がっていますが、参院選後、労働者はギリギリの生活を強いられることになるはずです」
すでにアベノミクスは音を立てて崩れ始めている。待っているのは、大不況だ。来年4月に消費税がアップされたら、国民生活は立ち行かなくなるだろう。安倍首相の暴走を止めるには、参院選で敗北させるしかない。なのに、野党がまったく無力なのだから絶望的である。