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[東京 31日 ロイター] - 都市銀行の4月末国債保有残高は2011年6月以来1年10カ月ぶりに100兆円の大台を割り込んだ。株や外債などのリスク資産残高も減らしており、安全資産からリスク資産への資金シフト、いわゆる「グレートローテーション」の動きは統計上、確認されていない。
日銀が31日に発表した4月分の「民間金融機関の資産・負債」によると、都銀の国債保有残高は4月末現在、96兆2688億円と4カ月ぶりに減少に転じ、2011年6月以来1年10カ月ぶりに100兆円の大台を割り込んだ。前月末に比べて率で10.8%、金額で11兆6912億円の減少となった。
日銀は4月4日の金融政策決定会合で、2年で2%の物価目標達成に向けて、量的・質的金融緩和を導入。5日の国債市場では10年最長期国債利回り(長期金利)が一時0.315%と過去最低を付けたが、その後は上昇に転じている。
都銀は国債とともに、株式や外国証券などのリスク資産の保有残高も減らしている。4月末の株式保有残高は10兆0109億円と前月末に比べて、率で16.8%、金額で2兆0283億円の減少。外国証券も27兆0384億円と率で4.2%、金額で1兆1819億円の残高を落とした。こうした資産売却で得た資金は、現金のほか日銀当座預金などに預けられたとみられている。
みずほ証券・シニア債券ストラテジストの早乙女輝美氏は「都銀の国債残高が10兆円を超えて減らしたのは、1990年台以降で初めて。同時に株式や外債などのリスク資産も減らしている。都銀の4月マネーフローは、国債から株へのシフト、いわゆるグレートローテーションというよりは、国債を売却していったんキャッシュに置く動きを強めたと判断した方が妥当だ」とみている。