【カイロ秋山信一】内戦状態にあるシリアの隣国レバノンで26日朝、首都ベイルート近郊のシーア派居住地域に2発のロケット弾が着弾した。シリア内戦が始まってからベイルート近郊に攻撃があったのは初めてで、戦闘がレバノン全体に波及する恐れが出てきた。これに先立ち25日、レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラの指導者ナスララ師はテレビ演説でシリア内戦にアサド政権側として参戦していることを初めて明確に認め、「最後まで戦い抜く」と強調。シリア反体制派はヒズボラに対する報復を示唆していた。
ナスララ師は25日の演説で、シリアとレバノンがイスラム教スンニ派の過激派集団の脅威にさらされており、米欧諸国が過激派を操っていると主張。アサド政権と共闘していることを認め、「我々が勝利をもたらす。犠牲はいとわない」と述べた。
ヒズボラは今年4月、アサド政権側と反体制派の激しい戦闘が続くシリア中部クサイル周辺に3000人規模の部隊を進駐させていた。ナスララ師はこれまで「シリアに住むヒズボラメンバーを守るためなら戦う」と説明するにとどまっていたが、今回の演説では参戦を明確に認めた。
一方、シリアの反体制派はヒズボラへの反発を強めている。26日には、ヒズボラの影響力が強いベイルート南部のシーア派居住地域で、アパートや商店に2発のロケット弾が着弾し、ロイター通信によると5人が負傷した。26日の攻撃にシリア反体制派が関与したかは不明だが、北部アレッポを拠点とする反体制派の有力司令官は22日、インターネットの動画投稿サイトで、レバノン南部のヒズボラ支配地域に報復攻撃すると予告していた。
またヒズボラが参戦を認めたことで、レバノン国内でもスンニ派勢力などから反発が強まることが懸念される。昨年以降、北部トリポリや南部サイダなどでは、シーア派とスンニ派の住民間の銃撃戦が散発。またヒズボラに対する「聖戦」を呼びかけ、シリア反体制派に戦闘員を送り込んでいるスンニ派指導者もいる。首都ベイルートまで戦闘が波及したことで緊張が高まるのは必至で、レバノンの国内勢力同士による戦闘が起きる可能性もある。
http://mainichi.jp/select/news/20130527k0000m030036000c.html
http://www.asyura2.com/13/warb11/msg/213.html