揺れ続ける日本列島… 「富士山噴火」「琵琶湖地震」 覚悟しておくほうがいい
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2013年05月13日(月)フライデー :現代ビジネス
日本列島を連日襲うM6超の地震。各地で確認される異変。
これは巨大南海トラフ地震の前兆か、それとも富士山噴火の前ぶれなのか……。
西に目を向ければ、琵琶湖周辺での大地震の危険性は日に日に増している。
本誌が総力取材した、関東、近畿それぞれに迫る危機を一挙に紹介する!
いくら「地震列島」といってもこれは異常事態だろう。このところ、多数の大規模地震が日本列島を襲っている。4月13日に淡路島、17日には三宅島、20日は北海道、21日には鳥島でM(マグニチュード)6超の地震があった。
頻発する地震はいったい何を意味しているのだろうか。本誌は先週号で淡路島の地震が南海トラフ大地震の前兆である可能性が高いことを示した。だが、懸念される大災害はそれにとどまらない。ここでは、群発する地震が示す富士山噴火の可能性、琵琶湖周辺を襲うM7.9規模の巨大直下型地震についてお伝えする。
■「富士山噴火が近づいている」
下の写真をご覧いただきたい。これは水深200~1000mの深海に棲息する深海魚、リュウグウノツカイ。今年2月に相模湾で捕獲されたものだ。小田原魚市場の関係者が語る。
「この魚を見たのは2回目です。最初は東日本大震災の前の'11年1月でした。そして2度目は今年の2月。地震の前兆ともいわれるだけに不気味です」
リュウグウノツカイ。ナマズ同様、古くから「地震の前兆」と言い伝えられる
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ただそれだけなら「偶然」として一笑に付することもできる。しかし、リュウグウノツカイ以外にも、漁師ですらめったに見かけないという珍奇な深海魚が次々水揚げされているとなれば、無視することはできない。
「4月の上旬に、ツラナガコビトザメとセダカイタチウオという珍しい深海魚が水揚げされました。私も見たのは初めてです」(前出・市場関係者)
ほかにもシギウナギ、ミツクリザメ、ユウレイイカなど、珍しい深海魚が相模湾で相次いで水揚げされているのだ。動植物の感覚生理学の専門家で、東京女子大学名誉教授の鳥山英雄氏が語る。
「魚には側線と呼ばれる感覚器官があり、ここで物理的、電気的な変化を感知します。たとえば岩盤から電磁波などの電気的な変化が出たり、海底を通っている断層の一部から地震に伴う硫黄を含むガスなどが出たり、海底火山の近くから熱水が出た場合、深海魚がそれを感知して動き出し、異変のある海域から逃げ出して上がってくることがあるのです」
これら深海魚の水揚げを反映するかのように三宅島で震度5強、M6.2の地震があったのは17日の夜のこと。1日40回以上の揺れを記録したこの地震は、普通に考えれば火山活動との関連が予想される。けれども気象庁は、震源が20kmと深いことから、「火山との関係はない」と発表した。
ただし、専門家がみなこの見解を支持しているわけではない。本誌は、今回の地震は火山性のものであるとする専門家の証言、さらにはこれが富士山噴火にまでつながるという意見を得た。
なぜ火山性地震の可能性があると言えるのか。海洋地震学の専門家で東大名誉教授の笠原順三氏が解説する。
「気象庁は震源の深さを20kmとしていますが、防災科学技術研究所は深さ6kmと発表しています。私も防災科研と同意見で、気象庁の20kmは深すぎると考えます。'00年の三宅島の噴火に伴う地震が発生したときは、震源の深さが5km程度でした。この5~6kmの深さというのは、ちょうどマグマが生成、移動する深さです。防災科研の測定どおり震源が6kmなら、これは火山性でしょう」
不気味なのは、今回の三宅島地震が、富士山噴火と連動する可能性があることだ。前ページの図を参照しながら、笠原氏の解説の続きを聞いてほしい。
「三宅島から北側に伸びるマグマの領域があり、それが多くの地震を起こしています。'00年の三宅島噴火の前にも火山性の地震がありました。このマグマは、三宅島から新島、利島、大島、箱根を通って富士山にまでつながっており、ひとつながりの活動として火山性の地震が起こる可能性があるのです。火山性の地震はプレートの移動で動かされたマグマが、地表近くの岩盤に割れ目をつくることで起こります。三宅島で火山性の地震が起こったということは、プレートの動きがあり、マグマの運動が富士山付近でも起こりうるということです」
富士山噴火の前兆は、ほかにもある。まず注目されるのが、連動しているとされる箱根山周辺の群発地震だ。
今年1月17日以降、3月8日までの間に、箱根山周辺では、体に感じることのない小さな火山性地震が実に1650回も記録されている。さらに、国土地理院の地殻変動観測などでは、箱根山周辺の一部の基線の伸びなど、山体の膨張現象も確認されているのだ。
稼働中の大飯原発の下を走る断層が活断層か否か、現在も論争が行われている
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「マグマもしくは火山ガスが上がってくると、山体が膨らんできます。箱根山で起こっている基線の伸びなどの現象は、これだと考えられます」(笠原氏)
富士山の裾に広がる河口湖の水位の低下という異常現象も気になる。
「河口湖の南岸の浮島に六角堂という建物が建っていて、普段は基礎部分の半分ぐらいまで水があり、船でしか行けないのです。ところが今は水が引いて、湖底を歩いて六角堂まで行ける。なぜこんなことになってしまったのか」(近隣住民)
富士山の雪が少なかったのが減水の理由だという声もあるが、湖水が減少しているのは富士五湖のうちの河口湖だけ。明らかに異常なのだ。河口湖漁業協同組合長の吉田三男氏も、「3m40cmほど水位が下がっている。例年には見られない現象」だと首をひねる。
河口湖の水位が下がっている理由は何なのか。地震学者で琉球大学名誉教授の木村政昭氏は、こう推定する。
「マグマの上昇によって地表近くの岩盤の亀裂が広がったため、水が吸いこまれて水位が下がったものと考えられます。富士山の下にあるマグマ溜まりがプレッシャーを受けると、溜まっているマグマが上昇してくる。三陸沖の地震があって北はストレスがとれたけれど、その代わりに南にプレッシャーがかかり、関東方面に力がかかってきているのです。富士山は、すでにマグマがたっぷり溜まっている状態です。この状態でまず噴火活動を本格化させるのは富士山だろうと考えています。私は'17年+-4年のうちに噴火が起こると考えていますが、もう準備段階に入っているかもしれません」
4月9日には、富士山頂から北東約5kmの滝沢林道で、300mもの地割れも発見された(1ページ上の写真)。原因は不明だが、一連の異変との関係が気になる。
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■早ければ4月29日に琵琶湖地震
富士山噴火という未曾有の大災害の予兆に加えて、近畿地方にも大地震の影がじわりと忍び寄っている。昨年末、本誌に登場した「FM電波地震予報家」の串田嘉男氏が、本年4月末から5月初めにかけて、近畿地方をM7.9の巨大地震が襲うと予報しているのである。
串田氏の地震予報の方法を、簡単におさらいしておこう。
彗星や小惑星の発見で知られる串田氏は、FM放送の電波を使って流れ星の観測を行うアマチュア天文家だった。地球のまわりには電離層と呼ばれる層があり、そこに流れ星が飛び込むとプラズマ状態になる。このプラズマにFM放送の電波がぶつかると、反射して普段は届かない場所にまで電波が届くようになる。たとえば普段は東京まで届かないFM仙台の電波が、東京で受信できる。
阪神・淡路大震災時、たまたまこの方法で天体観測をしていた串田氏は、震災の前にも、普段は届かないはずのFM波が受信できることに気づいた。
そこで彼は、複数の地域のFMラジオ局の受信機を山梨の天文台に設置し、観測を継続した。さらに、受信したFM波の強さをグラフ化し、数学的な処理を加えることで、地震の規模、発生する場所、発生時間を推定できるまでに方法を洗練させることに成功した。
この独自の方法を用いて、'08年には岩手県地震を予測。規模、場所、時期のすべてを的中させたのである。
だがその後、串田氏は過去に経験したことのないデータに直面する。それこそが、今回の琵琶湖を中心とした地震の前兆なのである。
「今回の前兆はこれまでにない長さのもので、'08年7月3日に始まり、4年9ヵ月も続いています。しかもこれまでは、ひとつの前兆が始まってからFM波の受信の度合いが最大となる『極大』に対して、ひとつの地震という対応関係がありました。その『極大』の時期と前兆開始の時期から発生の日づけも割り出せました(図1参照)。ですが、今回は『極大』が示す地震発生の時期が来ると、そこでまた新たな前兆が始まるという特異なグラフが現れたのです」
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この前兆が指し示す地震の規模は、M7.9+-0.5という超弩級のものだった。これが的中すればとんでもない被害が発生するということで、未知の前兆であるにもかかわらず、串田氏は前回、本誌に「'12年12月29日に琵琶湖付近で大地震が起こる可能性が高い」と情報を提供して警鐘を鳴らしたのである。
その予想は的中しなかった。4年超という長期の前兆だったため、地震の規模と発生時期を推定するための根本データである「極大」の位置を読み間違えたからだ。前回の誤読を修正し、再検証した串田氏の予想が以下だ。
「3月末から4月初めにかけて、各地のFMラジオ局からの電波の受信度合いを測っている複数のグラフで前兆が終息しました。このままいけば、早ければ4月29日、遅くともそれから1~2週間のうちには大地震が発生します。規模はM7.9+-0.5。発生時間は午前9時+-2時間。もしくは午後6時+-2時間です。場所は前回の予想より少し東に広がっていますが、基本的には琵琶湖周辺を中心とする近畿地方です(左上地図)」
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阪神・淡路大震災がM7.3だったことに照らせば、M7.9がいかに破壊的な数字かがわかるだろう。ただし、注意したいのは、これはあくまで現時点での「前兆」から割り出した予想だという点だ。
「注意していただきたいのは、今回の前兆はこれまでにないものだということです。また新たな前兆が現れるかもしれません。そうなったら、極大を推定し直す必要が生じます」(串田氏)
外れるならそれにこしたことはない。けれども、前号でも指摘したとおり、近畿には地震の前兆を思わせる不気味な胎動の数々が、すでに現れている。
そのひとつとして本誌は、井戸水の温度を測り、断層のズレが起きている場所を推定することで地震の発生地域を予想している元東大地震研究所の佃為成氏の研究をお伝えした。その佃氏が「地震の発生地域となりそうだ」と予想している兵庫県の猪名川町と京都府の亀岡市も、串田氏の予想する震源地域ときれいに符合しているのである。
東西に忍び寄る大災害。覚悟しておくに越したことはない。
「フライデー」2013年5月17日号より