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2013/4/20 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
ネット選挙を解禁する公職選挙法の改正案がきのう(19日)、成立した。今後は政党、候補者だけでなく、一般有権者もツイッターやフェイスブックなどのウェブ上で、選挙運動ができる。ネット社会にようやく、法律が追いついた形だが、その結果、選挙戦がどうなるかというと、「巨額のカネとネガティブキャンペーンが飛び交い、空前の大混乱になるだろう」(民主党の国会議員秘書)
なんて、ささやかれている。そりゃ、長い目で見れば、ネット選挙解禁は当然だが、当面、喜ぶのは業者だけ。候補者も有権者も振り回されることになりそうだ。
まず、ネット選挙解禁になれば、これまで以上に金がかかる。ツイッターやフェイスブックを使えば、タダで選挙戦ができると思ったら、大間違い。永田町では業者のすさまじい営業合戦が繰り広げられている。
「ネットに慣れていない候補者にソーシャルネットやメールを有効に使うコンサルタント業や代行業の売り込みです。それも梅210万円、竹660万円なんて料金設定がされていて、驚いちゃいます。それでも、ライバル陣営もやっているのかと思うと、断れない。業者はウハウハでしょうね」(国会議員秘書)
ツイッターやフェイスブックをどう使うか。何をどんなふうに伝えれば、好反応を得られるか。「いいね!」と反応してくれた有権者をどう管理していくか。はたまた、ネット上で誹謗中傷がなされていないか。発見したらどう対処するか。それやこれやのビジネスで、候補者のもとには業者から大量のチラシが送られてくるという。
「通常の選挙費用プラス、こうしたネット対策費用がかかるわけですから、選挙費用は青天井になります。しかも、ネット対策といっても、発信する言葉や書き方で有権者の反応は変わる。そういうプレゼン能力に長(た)けた業者はひと握りですから、奪い合いになる。優れた業者には注文が殺到し、値段もつりあがっていく。それに便乗して、いい加減な業者も出てくるでしょうね。アレヨアレヨで法案が成立してしまいましたが、見切りスタートの印象は否めない。相当、混乱するのではないでしょうか」(IT評論家・井上トシユキ氏)
米国では2012年の大統領選挙の際、オバマ、ロムニー陣営が使ったネット費用は8000万〜1億ドルとされている。選挙のネット広告の市場規模は1億5920万ドルに上るという。
「これは全選挙費用の10分の1、テレビ広告の3分の1に当たります。米国でネット選挙が本格化したのは2000年ですが、年々、費用が膨らみ、選挙の際には若いIT技術者の奪い合いになっています」(大統領選の取材をしたジャーナリストの堀田佳男氏)
◆ITオンチの候補者相手に業者は言い値でボロ儲け
日本も同じ道をたどることになりそうだ。すでにみんなの党や維新はインターネット番組まで作る。その一方で、誹謗中傷合戦も過熱必至だから、民主党は専門窓口を創設、こちらに3億円をかける。どこもかしこもカネ、カネ、カネだ。
「ドイツでは混乱を避けるために国が選挙用のサイトを創設して、候補者や政党はそこで政策を披露する仕組みをつくった。政策ごとに支持する、しないのチェックボックスがあり、チェックすれば、自分の考え方と近い政党が分かる。誹謗中傷の書き込みも常にチェックし対応している。日本もこうした方法を取ればよかったのにやらなかったのは業者を儲けさせたかったのか、と勘繰りたくなります」(井上トシユキ氏=前出)
すでにIT企業の株は急騰しているが、あざといアベノミクスだったか。政党交付金の原資を税金で払っている国民にしてみれば、腑に落ちない話だ。