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2013/4/18 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
太平洋戦争のA級戦犯で巣鴨プリズンに収容され米CIAと取引して釈放された後に首相となり日米安保条約を固定化した売国政治家の孫が今やっていること
「政権交代後初」と注目された党首討論は、案の定、盛り上がらなかった。相手は、離党者続出でヨレヨレになっている民主党の海江田代表である。ほかは、維新の石原代表とみんなの渡辺代表。いずれも自民党OBのお仲間だ。これではまっとうなディベートなど期待できるわけがない。安倍首相は、ご機嫌な様子で委員会室を後にした。
大手新聞の世論調査は、気味が悪くなるほど高い。為替はG20を控えて足踏みも、株価は1万3000円台に張り付いている。目の色を変えて取り組んでいる円安株高政策は、表面上、破綻してない。
安倍を調子に乗せてしまう要素はいろいろとあり、「TPP参加」や「北朝鮮制裁」でもイケイケドンドンだ。食の安全や暮らしの安心が失われるとの懸念があっても「私を信じて欲しい」と絶叫し、「北朝鮮には交渉のたびに裏切られた」と批判する。怖いものは何もない。向かうところ敵なしといった感じである。 そんな安倍が敬愛するのが、祖父の岸信介だ。昨年の衆院選後に墓参りし、「新しい時代をつくらなければならないという信念で日米安保の改定を成し遂げた」「私も同じ信念、決断力を持って結果を出していく」と強調している。
著書「美しい国へ」でも、〈祖父が「保守反動の権化」だとか「政界の黒幕」とか呼ばれていたのを知っていた〉〈その反動からか、「保守」という言葉に、逆に親近感をおぼえたのかもしれない〉と書いた。安倍の思想や人格の形成に、岸は多大な影響を与えているのだ。
◆CIAをバックに権力を手に入れた岸信介
これは怖い。永田町では「最近の安倍さんを見ていると、父親の晋太郎さんよりも祖父の岸さんに似てきた」(自民党関係者)との声が聞かれる。そっくりなのは顔だけで十分。政治手法やスタンスまで、岸のDNAを受け継いでいるとすれば、本当に危険である。
政治評論家の本澤二郎氏が言う。
「岸は、太平洋戦争のA級戦犯として巣鴨刑務所に入れられた政治家です。開戦に突き進んだ東条内閣で大臣を務め、戦時体制を支えた。大事なのは国民よりも国家。民意に寄り添うことなどなかった。しかも、いろんな資料で裏付けされているように、戦後は米CIAのスパイとなり、首相にまで上り詰めています。ヒトラーを称賛すれば罪に問われるドイツで、ナチス残党が首相になるなどあり得ません。でも、日本では、それが可能だった。鳩山一郎内閣が実現した日ソ国交回復に失望した米国が、岸を首相に据えたのです。だから、反対派に囲まれ、首相官邸から一歩も出られない状況になっても、日米安保改定を強行した。安保条約を固定化し、日本を米国の言いなりになる国家にしたのです」
ニューヨーク・タイムズで20年以上、CIAを取材してきた記者が、資料と証言を基に書いた「CIA秘録」によると、岸はCIA工作員だったジョセフ・グルー駐日大使と通じていたためか巣鴨刑務所を釈放され、日本の外交政策を米国の望むように導く見返りに資金援助を受けていたという。国民を無視して米国と取引し、権力を手に入れ、自らの保守思想を前面に出した政治をやったのだ。
◆古くさくて危険な戦前回帰を目指す安倍
安倍は、そんな祖父をマネしているのではないか。米国に媚を売り、なんとか擦り寄ろうとしている姿は、ちょっと信じられないぐらいだ。
TPP交渉で、安倍政権は真っ先に、米国が輸入自動車関税を維持することにOKした。一方で、米国からの農産物に掛けている税金は維持されず、ISD条項ものまされる可能性が高まっている。安倍が自民党の公約を死守するなんて姿は全然見られない。米国が望むままに交渉を進めている。見た目ばかりか中身まで、米国の意向を受けて日米安保条約を固定化した祖父の生き写しだ。
政治評論家の山口朝雄氏が言う。
「安倍首相は岸と同じ。米国一辺倒の政権運営を続けるつもりです。防衛費を増やすのも、国防予算の削減が待ったなしの米国の軍需産業にカネを流しながら、米国の軍事戦略の一翼を担うことが念頭にあるのでしょう。そうすることで米国の力を利用して改憲を推し進められるという考え。悲願の国防軍創設を実現し、日本を戦争ができる国家にする。そのために米国と取引するつもりでしょう。民意がノーと言ってもTPPに参加するのは、古くさくて危険な戦前回帰を成し遂げるためのチケットのように思えてなりません」
自民党の憲法改正草案を読むと、国民に国を守ることを義務づける一方で、徴兵制実施の足かせとされる現行憲法の条文が削られている。紙ペラ一枚で軍隊に放り込まれ、ワケも分からず命を落とす。戦争に反対すれば、牢屋にぶち込まれる。そんな暗い時代が再びやってくることを望む国民は、果たしてどれだけいるのか。それでも安倍は、米国の威を借りながら、日本を重苦しい時代に逆戻りさせようとしているのだ。
◆ヒトラーを風刺し批判するドイツ
ドイツでは今、ヒトラーが現代によみがえってコメディアンとして大成功する風刺小説がベストセラーになっているという。ファシズムの歴史は、決して称賛されるものではない。批判されたり嘲笑されたりする過去だ。
ところが、同じような体験をしたはずの日本は、歴史から学ぼうとしない。民意を無視して独裁的に振る舞う政治家が、時代の針を逆戻ししようとしているのに、国民は高い支持を与えている。そろそろ目が覚めないと、この国はとんでもない方向に向かってしまう。
「安倍首相は新聞やテレビのトップと会食を繰り返しているし、メディアはまんまと取り込まれている。改憲もTPPも、批判報道は皆無。なんとも情けないし、危ない状況です」(本澤二郎氏=前出)
このまま安倍政権が続けば、確実に国は滅びる。国民は株高や円安に惑わされず、本質をしっかりと見つめるべきだ。