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■水平対向エンジンと4WDの独自性がキモ
エンジンとモーターを併用して走るハイブリッド車(HV)。トヨタ自動車をはじめとする日本勢が世界に先駆けて市場を開拓してきたエコカーが、隆盛の時代に入っている。
■HVは国内登録車の3割に
2012年度の国内新車市場は、トヨタのHV専用車「アクア」「プリウス」がブランド別販売でワンツーフィニッシュを決めた。専用車に限らず、エンジン車をベースとするHV仕様の販売も好調。軽自動車を除く登録車でみると、実に3割をHVが占めた。この市場に“最後発”で乗り込むのが、富士重工業(車名ブランド・スバル)だ。
スバルは4月18日、昨年10月に発売したSUV(スポーツ多目的車)「スバルXV」をベースとしたHVを、今夏をメドに日本市場で投入すると発表した。今秋には、最重要と位置づける米国市場でも販売を始める。
HVに続く次世代エコカーとしては、電気自動車(EV)や、水素を充填して走る燃料電池車(FCV)などが注目されるが、当面はHVがエコカーをリードするだろう。というのも、EVやFCVには、インフラの整備や品質・性能の向上、コストダウンなどのさまざまな課題があるからだ。
HVの特徴は、既存の燃料インフラを使いつつ、エンジン車よりも大きく燃費を伸ばせる点。1997年にトヨタが「プリウス」を世界に先駆けて投入してから、今日のような状況になるのに15年の歳月を要したことを考えても、当面はHV優位の展開が予想される。トヨタに限らず、ホンダや日産自動車、マツダなどもHVの車種拡充や性能向上などの取り組みを加速している。
遅ればせながら乗り込むスバルも、HVの成長をもくろむ。「将来的にはスバルXVシリーズの4割くらいをHVが占めるのではないか」。スバル商品企画部の竹内明英プロジェクトマネージャーはそろばんをはじく。まさに激戦となってきたHV市場。ただ、“最後発”となるスバルに勝算はあるのか。
■ポイントは“スバルらしさ”にありそうだ。
トヨタから知見を学ぶが独自開発貫く
通常、HVとは燃費性能の高さが最大の魅力であり、武器である。だが、それを狙っていてはスバルに勝ち目はない。資本・業務提携先のトヨタとは、スバルから技術陣を出向させるなどでHVの知見を学んだものの、あくまで今回はスバルの独自開発を貫いたという。
事実、富士重の吉永泰之社長は今年3月、東洋経済の独占インタビューで「(スバルが投入を予定しているHVの特長は)トヨタのプリウスのように燃費には振っていない」と答えている。
では、“スバルらしさ”とは何か。それは、日系自動車メーカーで唯一のノウハウを持つ水平対向エンジンと、定評のある4輪駆動技術だ。通常のエンジンはシリンダーと呼ばれる機構が原則として縦や斜め方向に配置されているが、水平対向エンジンはその名のとおり横方向のシリンダーが配置されている。水平対向にするメリットは低重心化が可能になることだ。重心が低ければ車の走りが安定する。加えて、スバルの4輪駆動は雪道やダートなど悪路の走破性が高い。
そもそもハイブリッドシステムは燃費を伸ばせることに目が向きがちだが、実はエンジン車にはない走行性能を得られることも特長である。象徴的なのは、車の発進や加速に必要なトルクと呼ばれる回転力。エンジンは一定の回転数まで高めないと最大トルクを出せないが、モーターはいきなり最大トルクが出せる。HVは停止時や低速時からの加速性能が高いのだ。エンジンとモーター。それぞれの特性をうまく組み合わせれば、エンジン車以上の車になりえる。
つまり、水平対向エンジンや4輪駆動などといったスバルがエンジン車で培ってきた強みを損なわず、燃費以上の価値観をHVとして実現できる仕様に仕上がるのか、それをユーザーに評価してもらえるかがポイントだ。激戦のHV市場。従来とは違うアプローチが始まろうとしている。
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