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2013/3/30 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
またバブルが始まった現在と20年前のバブルが崩壊した後の真相
セメントの残りカスを立川断層と勘違いしていた地震学者が謝罪していたが、世の中、いい加減な学者は他にもいる。
中でも疑問なのが経済学者と称される面々だ。全部が全部、そうだとは言わないが、ホント、お気楽な商売ではないか。
日本はバブルに沸いて、それがはじけて塗炭の苦しみを体験した。
つい20年前のことである。長銀、日債銀を筆頭に多くの都銀が事実上破綻し、その融資先も次から次へと処理された。その後遺症はすさまじく、そのために小渕政権下では巨額の財政出動をし、おかげで財政が悪化すると、今度は小泉―竹中ラインが一気に財政を引き締めた。その結果、地方経済は完全にヘタり、格差は拡大し、デフレ不況は泥沼化した。
これは何も日本だけの特殊なケースではなくて、資本主義経済は、こうしてバブルとバブル崩壊を繰り返している。しかし、いまだに有効な処方箋を見いだせていない。だからこそ、こう問いかけたくなるのである。
「経済学者って何なのさ?」と。
◆何度同じ過ちを繰り返せば気が済むのか
こうした疑問はつい最近も真剣に投げかけられている。またしてもリフレ派が登場したからだ。バブルとバブル崩壊のあと、必ず台頭するのがマネタリストだ。マネーをジャブジャブにすれば、景気が良くなると信じている学者だ。彼らのせいでまたバブルになる。そして、アホみたいに崩壊、長期不況を繰り返す。それなのに、またリフレ派が出てくる。コイツら、本当に学者なのか。過去の経験に何を学んできたのか。こう問いたくなるのである。
「20年前のバブルはプラザ合意後の円高不況を受けて日銀が公定歩合を史上最低である2・5%まで下げたことが発端です。銀行に行けば、どんどんカネを貸してくれて、それを株などの投資に回せば、確実に儲かったので過熱した。実は、日銀がすぐに引き締めに転じようとしたんです。しかし、米国と大蔵省がそうさせなかった。日本のマネーが米国の投資にも回ってきたし、バブルのおかげで税収が上がった大蔵省も歓迎していたからです。かくて、バブルは膨らみ、その分、後遺症もひどくなった」(経済アナリスト・菊池英博氏)
菊池氏は当時と比べると、アベノミクスでは「賃金も上がらず、接待費も増えない。20年前のようなバブルにはならない」と言うが、それでも似ているのは日銀がマネーをジャブジャブにしていることだ。
当時よりもヒドいのは、当事者である日銀に“後ろめたさ”がないことだ。リフレ派の代表、浜田宏一エール大名誉教授が安倍首相の知恵袋になり、その子分の岩田規久男学習院大教授が日銀副総裁になり、今度も財務省の意向を受けているのか、財務省OBの黒田東彦日銀総裁は、さらに市場を煽(あお)っている。
彼らがまた、バブルを起こそうとしているのは歴然だ。そんな経済政策が通用することが恐ろしい。いまだにリフレ派が生き残っていることがおぞましい。これがバブルの恐怖を知り尽くしている庶民の実感ではないか。
◆リフレ派の理屈は口先のハッタリに過ぎない
黒田日銀総裁やリフレ派学者の言い分は、ハッキリ言って、詐欺みたいなものだ。
「リフレ派はマネーサプライを増やせば、物価が上がる。物価が上がれば、人々はそれを前提に合理的な行動をする。それが消費喚起につながるという理屈です。米国ではこうした経済政策が主流でしたが、サブプライムローン破綻を招き、リーマン・ショックにつながった。過去15年くらいでインフレターゲットのような政策が成功した事例はないはずです」(筑波大名誉教授・小林弥六氏)
つまり、リフレ派にとって大事なのは「物価が上がりますよ」と煽ることなのである。当局が煽るから、庶民も消費行動に向かう。こういう理屈だから、なるほど、黒田日銀総裁は口を開けば、「必ず物価目標2%をやるぞ!」と叫ぶわけだ。こういうのを世間では「ハッタリ」と言う。
「しかも彼らは自分たちの政策が万能のような言い方をする。ここがいかがわしい」というのは評論家の佐高信氏だ。
「専門バカという言葉がありますが、学問というのは社会全体の解決策を見いだせるものではなく、部分的な研究なのです。経済学は競争によって、利益が得られればいいのだろうが、それだけでは社会は成り立たない。そこで政治が出てきて、格差の是正などを考える。社会の発展のためには政治と経済の両方が必要なのに、リフレ派はそう考えない。マネーさえ増やせば、バラ色の未来があるかのような言い方をする。勘違いしているとしか思えません」
◆経済者という人種のメシの種は?
およそ、学者とは思えないような思考回路の持ち主。それがリフレ派学者なのだが、そういえば、リフレ派の中には、かの竹中平蔵慶大教授もいる。本来であれば、格差を拡大させた張本人として、政治の世界はもとより、学会からもパージされていなければおかしな男だ。ところが、イケシャーシャーと産業競争力会議のメンバーとなり、今なお、経済政策に口出ししてくる。
ついでに言うと、その前は彼が主導した規制緩和で最大限の恩恵を受けたグループ会社にトップとして天下って、のうのうとしていた。いい気なものだ。いい加減なことを言っていても全然、責任を問われず、カネにも困らない。それが一部の経済学者なのである。
「選挙を控える政治家は手っ取り早く、経済政策の果実が欲しい。つまり幻想をばらまきたい。そうした政治家に都合のいい学者がいるんですよ。だって、そうやって政権に重宝されれば、学者にしてみれば、箔(はく)がつく。しかし、その後、バブルがはじけても、自分は責任を問われない。だから、口先で何でも言う。こんな気楽な商売はありません」(ある経済学者)
政治家の言いなりで、幻想をふりまくことが、彼らのメシの種なのだ。そんなよこしまな学者に煽られ、つくられる刹那的なバブル。それがアベノミクスの正体なのだが、国民は「宴」の後を覚悟しておいた方がいい。「さらば、強欲資本主義」の著者・神谷秀樹氏は月刊文芸春秋4月号でこう書いている。
〈私はアベノミクスは根本的に間違っており、遠くない将来、悲惨な結果を招くと見ている。アベノミクスを冷静に分析し、「A=アセット(資産)、B=バブル、E=エコノミックス」と揶揄している人々がいるが、彼らの方が正しいことは、いずれ歴史が証明するだろう。いま喜んでいるのは、バブルに乗って一儲けしたい投機家ばかりだ。一見華やかな資産価格の上昇は、「持続可能な実体経済の改善」には何らつながらない。むしろ、バブル崩壊後に悲惨な結果を招く。その負担は再度、国民が担わなければならないだろう〉
大マスコミは年度末の日経平均株価が前年度比で2314円も上がったことで大騒ぎしていたが、バカ言っちゃいけない。インチキ学者を一掃しない限り、庶民の暮らしは良くならない。