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2013/3/26 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
まさか、服用している潰瘍性大腸炎の新薬の副作用ではないだろうが、最近の安倍首相の高揚ぶりを見ていると、かなり心配になってくる。
きょう(26日)で就任から丸3カ月。内閣支持率の高止まりに気を良くしているのか、ハイテンションと傲慢、思い上がりが目に余る。ちょっと異常なほどだ。
安倍は先週末、神奈川・茅ケ崎市の名門ゴルフ場でプレーを楽しんだ。「健康維持」を大義名分にしているが、就任3カ月でラウンドは実に3回目。今月は2度目である。
これには自民党内からも「あの森元首相でさえ、月2度はプレーしなかった」「高支持率に舞い上がり、図に乗っているんじゃないか」という声が上がっているのだ。元閣僚経験者は、こう打ち明ける。
「危機管理上も大問題です。北朝鮮が日本にミサイルをブッ放せば、1分、2分が命取りになる。だから、5年半前の内閣総辞職の際も、大腸炎による入院が致命傷となったのです。入院先の慶応病院から官邸までは車で10分ほどでしたが、それでも国家の危機管理には支障を来します。にもかかわらず首相代理を置かなかった当時の安倍政権の対応に米国は仰天し、それが原因で追い込まれることにもなったのです。今の安倍首相に当時の反省は全く見受けられません」
そういえば、最近、安倍のラドン療法が話題となった。持病の潰瘍性大腸炎を和らげるため、1台200万円もするラドン吸入器を公邸に持ち込む予定だとか。免疫力をアップさせる効果があるらしいが、ラドンは早い話、放射能治療だ。
核実験の放射能で突然変異を遂げたのは「ゴジラ」だが、今の安倍の高揚、興奮ぶりもまさか、ラドンの影響じゃないだろうな。それほど、舞い上がり方は普通じゃないということだ。
◆高支持率なら何をやっても許されるのか
安倍のハシャギっぷり、節度のなさには専門筋も驚いている。法大教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「ほぼ独断で4月28日に政府主催の『主権回復の日』式典開催を決めたのにもアキレました。この日は沖縄が米軍の施政権下に置かれた日でもある。首相が沖縄県民の感情を逆なでしてまで式典にこだわるのは『主権回復』を強調し、“押し付け憲法”の改正機運を高めるため。沖縄県民の気持ちより改憲が大事なのです。そこに追い打ちをかけるように、辺野古埋め立ての抜き打ち申請ですよ。日米首脳会談で約束したから一気呵成に強権を発動したのでしょうね。沖縄県民には振興策という“アメ”を与えれば最後は従う……と思っているのでしょうが、権力者の思い上がりです」
TPPの交渉参加だって同じだ。国論を二分する中、安倍が「私に任せて欲しい」のひと言で勝手に決めてしまった。
あまりメディアは騒がなかったが、予算委員会の筆頭理事だった自民党の馳浩衆院議員を更迭したのもヒドイ話だ。野党に十分な質疑時間を与えるなど丁寧な対応に努めていたが、官邸は安倍の訪米前に補正予算が成立しなかったことに腹を立て、スパッと筆頭理事のクビを切ったのである。まるで暴君ではないか。
かと思えば、日曜日に視察した福島では「株が上がります」とカブを持ち上げるパフォーマンスを見せた。福島でよくやる。躁状態なのか、浮かれている安倍には身内の自民党議員からも「悪ノリだ」との批判が出ているのだが、もちろん、安倍は気付かない。そこがまた恐ろしくなってくるのである。
◆ゴジラより恐ろしい戦後民主主義の破壊者
安倍の独善は、いつ「独裁」に変わってもおかしくない。ここがまた恐ろしいところだ。
ただでさえ、ウルトラ右翼の権力主義者が本性だ。高支持率に調子づいて、どんどん強権発動をエスカレートする恐れが十二分にある。
「マトモな為政者なら支持率が高まるほど、権力行使に慎重になり、言動も謙虚になって自重するものですが、安倍首相はまるで逆。完全に舞い上がって“何でも思うがまま”とばかりに荒っぽい手法が目立ちます。これは危険な兆候だし、あまりにも子供じみています。どこまでも『お坊ちゃん政治家』なのです。普通の大人が持つ自制心は皆無で、権力に畏怖の念を感じず、ひたすら図に乗るだけ。彼のパーソナリティーには背筋が寒くなります」
(政治評論家・森田実氏)
安倍は自信満々で「TPP交渉参加は日本の国益になる」と言い放ったが、よく言えたものだ。オバマ政権は非関税障壁の撤廃で米国企業の日本市場進出を狙っている。これは多くの専門家が指摘していることだ。行き着く先は「経済植民地」で、だからこそ、自民党も先の総選挙では反対姿勢を鮮明にしてきた。それをシャーシャーとひっくり返し、悪びれるそぶりもない厚顔。まさに勘違いの塊だ。
「日銀総裁人事だって、恫喝に等しいものでした。安倍首相は日銀法改正までチラつかせ、総裁のクビを自分と同じリフレ派にスゲ替えたのです。あれだけ乱暴なやり方は前代未聞。株高・円安を自分の手柄のように誇らしげなのも、どうかしています。今の円安の背景には、日本の貿易収支の赤字固定化と、日本企業の競争力低下が横たわっています。円は欧州よりマシだったのが、どっこいになった結果の円安です。それで浮かれる政権と、言いなりの日銀総裁を見ていると、日本経済の行く末に危うさを感じざるを得ません」(経済評論家・広瀬嘉夫氏)
あの安倍が「俺は経済通」と言わんばかりのドヤ顔なのだ。この自信はどこから来るのか。ラドンのせいで、ゴジラ首相に暴れられたらかなわない。
◆図に乗せれば、ファッショに突き進む
高支持率に浮かれ、長期政権を視野に入れてきたのだろう。安倍は最近、憲法改正の発議要件を衆参3分の2以上の賛成から2分の1以上に緩和する「憲法96条改定」や、道徳教育の「教科化」など、改憲や教育改正に踏み込む動きを活発化させている。
このまま、安倍のやりたい放題を許していれば、この国は危険な道へとまっしぐらだ。前出の五十嵐仁氏はこう警鐘を鳴らしている。
「安倍首相は明らかに戦後民主主義を敵視しています。民主主義の丁寧な手続きを重んじる考えが、政治からスピード感を奪っているという発想の持ち主で、だから独り善がりの決断も平気の平左なのです。これだけ独善的な政治家が高支持率と株高・円安、景気回復ムードで妙に自信を深めているのは怖い。メディアは安倍首相の思い上がりを批判しないし、議会には抵抗勢力が存在しないので、なおさら心配になってきます。安倍首相はあと5年は政権を続ける気で当然、改憲も念頭に置いています。自民党の改憲草案は、国会の機能低下と首相の権限強化を目指すもの。この国の議会制民主主義は風前のともしびとなる。行き着く先はファッショですよ」
出戻り首相の妄想に近い自信の果てに何があるのか。もっと真剣に考えるべきである。