http://blogs.yahoo.co.jp/hellotomhanks/63864565.html
★「天木直人氏の視点ー(2013/03/24)」★ :本音言いまっせー!
TPPの事がが報じられない日はないほどだ。
そしてこれからTPPの事前協議が始まればますますTPPの事が
報じられるだろう。
そしてこれからますます色々なことがわかってくるだろう。
なぜならばTPP交渉は秘密交渉であるからだ。
あまりにも知らされないことが多いからだ。
しかし、秘密交渉以前の問題として、我々はTPPについて初歩的な
事さえも何もわかっていないのではないか。
そう思わされる記事を見つけた。
知れば知るほど真面目に論ずるのが馬鹿らしくなるT記事である。
きょう3月24日の朝日新聞が大きく報じていた。
日本では農産品の例外を勝ち取ることがTPPの最大の問題であるか
のように騒がれているが、農業自由化を日本に迫る米国が砂糖を
「聖域」扱いにしているというのだ。
米国の砂糖業界を保護し続ける事は、砂糖価格の低下を求める米国の
消費者からも、またTPP交渉の他の参加国からも強い反発があるという。
それにもかかわらず、米国砂糖生産者の政治力は強く、米政府は保護
政策を変えるつもりはないという。
2005年に発効した米豪自由貿易協定(FTA)でも砂糖は
関税自由化から除外されているという。
TPPの対象はほとんどが貿易以外の分野であり、だからTPP交渉
は貿易自由化交渉が中心ではないということを我々はすでに知っている。
貿易自由化に限ってみても、米国は早々と国内自動車業界を例外扱い
していることも我々は知った。
その上に農産品の砂糖まで保護しているというのだ。
何のために聖域なき自由化だ。
これを要するに米国産業を守って他国の産業に譲歩を迫る自由化交渉
ということだ。
しかし、考えてみればこれは当たり前のことであって、まさしく
WTOの場で国際的にそんな交渉が毎度繰り広げられてきた。
TPP交渉とはそのような当たり前の交渉の場を米国のごり押しで
また一つ増やしたということだ。
しかしここまで国内的に大問題になった。
もはやその交渉の成り行きを国民は注視することになる。
メディアはその交渉を細かく報じざるを得ない。
安倍政権は不毛な仕事を抱え込んだということだ。
我々は、日本の国益を損ねるような譲歩をしないように、これから
始まるTPP事前交渉を監視し続ければいいとうことだ。
これが私のTPPに関する最後のメッセージである。
◇
(ワールドけいざい)砂糖、米国でも聖域 TPPよそに手厚い保護
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201303230511.html
2013年3月24日 朝日新聞
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で、各国に関税自由化を迫る米国。しかし、米国自身にも守りたい「聖域」がある。
■「85%は国産」 100億ドル産業
ルイジアナ州南部の砂糖産業の拠点ジャネレット。「シュガーシティー」の異名をもつ人口5千人の市の周辺には、かつて黒人奴隷が働いた時代から200年の歴史をもつサトウキビ畑が広がる。
そんな畑の持ち主の一人、フィリップ・ヌネスさん(67)は35年間サトウキビを育ててきた。「砂糖で得られる利益は本当に薄い。もしこれ以上価格が下がったら農家は壊滅する」
約15万人が携わり、約100億ドル(約9500億円)の規模をもつ米砂糖産業は、手厚く保護されてきた。現行法では国内消費量の85%程度は国内で生産されるべきだと規定されている。残りは世界貿易機関(WTO)の取り決めに従った最低量(ミニマムアクセス)の水準で輸入される。製菓業などの利用者がそれを超える分を輸入しようとすれば、高額の関税がかかる仕組みだ。
生産余剰分を政府が買い上げ、エタノール製造会社に払い下げる制度まである。これらの結果、米国の砂糖価格は世界水準に比べると5〜10割増しだ。
生産者協会のフィリップ・ヘイズ氏は「現行政策でも米国は世界最大の砂糖輸入国だ。米国の政策は多くの海外の生産業者から支持されている」と話す。
しかし国内外からの反発は根強い。アイオワ州立大の研究によると、制度を改正すれば米消費者らは年35億ドル(約3300億円)の利益を受けるといい、製菓業などの砂糖利用者団体は改正を強く訴えている。カナダなどはTPPで交渉のテーブルに載せるように求めている。
それでも砂糖生産者の政治力は強く、米政府は政策を変えるつもりはない。
2005年に発効した米豪自由貿易協定(FTA)で砂糖は関税自由化から除外されている。TPPでも同様の姿勢で、通商代表部のマランティス臨時代表は20日、「すでにTPPメンバー国と結んだFTAの内容は見直さない」と「聖域」にしようとしている。
■繊維は中国対抗策 「原糸・生地も加盟国限定」
少し青臭い真綿の香りが漂うなか、高速回転する紡績機の高音が響き渡る。サウスカロライナ州北部ガフニーにある製糸大手パークデールの最先端工場だ。
一日に月まで7往復できるだけの糸を生産する。整列した機械が高速で糸を紡ぎ、箱状の点検ロボットが自動で糸のほつれなどを直す。人間は清掃や綿の補充をする。かつては1200人規模の工場だったが今は約140人だ。タッド・ロジャース副社長は「自動化を進め、世界で最もコストを抑えた工場だ」と話す。
合理化を徹底したのには、訳がある。
米国では、糸や生地を中南米に輸出し、中南米諸国で縫製して米国に衣料品として輸入する事業モデルが主流だった。しかし01年の中国のWTO加盟で、関税の下がった中国の衣料品が米国に流れ込んできた。
中国の衣服には中国の糸や生地が使われるため、米国の繊維業界が打撃を受けた。米繊維業界の雇用者は15年前と比べ3分の1の約23万人に激減した。
さらに追い打ちをかけるのが、ベトナムが参加するTPP交渉だ。ベトナムは、中国の糸や生地を使った衣料品の製造が盛んだ。そのベトナム製品が「関税ゼロ」で米国に入ってくれば、ベトナムにほとんど糸を輸出していない米繊維産業は、大きな打撃を受けることになる。
そこで米政府は業界の要望を受け、「原糸原則」ルールの適用をTPP交渉で訴えている。「関税自由化の恩恵を受けるためには、原料の糸や生地もTPP加盟国から調達しなければならない」という考え方だ。
業界団体のマイク・ハバード氏は「(ベトナムが生地を輸入している)中国は市場経済ではない。TPPは政府の関与を避ける政策であるはずだ」と正当性を主張する。(ジャネレット=山川一基)
◆「日本の砂糖、自動的な除外はない」 甘くない例外交渉
米国は、日本を始め各国に「TPP交渉ではすべての事項をテーブルに載せる」と迫っている。しかし、その米国も、守るべきものを見据えた、したたかな戦略で臨んでいる。
ただ、だからと言って、日本に有利な材料になるとは限らない。
「21世紀型の高水準の貿易協定」を目指すTPPでは、項目数のうち90%を大きく上回る水準で自由化を目指す。米国にとって砂糖や繊維産業は全体のごく一部。ほかは圧倒的に自由化を推進する立場だ。
日本も砂糖の例外化を狙っているが「あくまで問題になるのは自由化の水準。その範囲内で国によって主張する項目は異なる。日本も砂糖を主張するなら、ほかで譲るなどの駆け引きが必要になる」(米シンクタンク)。
日本の政府関係者も「米国が砂糖を除外できれば自動的に日本の砂糖やコメも除外されるということにはまったくならないだろう」と話す。