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3月20日 東京新聞「核心」 :「日々担々」資料ブログ
自民党は十七日、第二次安倍政権になって初の党大会を都内で開き、夏の参院選勝利に向けて気勢を上げた。昨年の衆院選では環太平洋連携協定(TPP)について「聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対」という公約を掲げて戦った同党。約三カ月後に交渉参加を表明した安倍政権の対応に、地方からは不満と不安の声が響いた。この問題は、参院選を控え、政党の公約のあり方も問いかけている。 (岩田仲弘、清水俊介)
「必ず日本の農業を守っていく。私たちを信頼していただきたい。信じていただきたい」
安倍晋三首相(党総裁)は大会の演説で、TPPに参加しても日本の農業への影響を最小限に食い止める決意を強調した。だが、三カ月前の公約については触れなかった。
この日採択された党運動方針にも、参加表明を受けて「国益が守られ、日本の繁栄につながるよう政府と一体となって強い姿勢で交渉に臨む」という内容の一文が追加されたが、公約との整合性には触れていない。
党側の公式見解では、今回の交渉参加は「公約違反ではない」ということになっている。公約は「聖域なき関税撤廃」を前提とする参加には反対となっているが、首相は先月の日米首脳会談で「聖域なき関税撤廃が前提ではないと確認できた」と主張している。従って交渉参加してもかまわないという理屈だ。
だが、聖域が認められるかどうかは交渉次第。有権者の多くは自民党がTPPに反対していると理解して一票を投じた。農業が盛んな地域は前提条件なしに「断固阻止」
(北海道連)「強く反対」(福島県連)として衆院選を戦い、党本部もそれを黙認してきた。現在開かれている国会では、小野寺五典防衛相(衆院宮城6区)、森雅子少子化担当相(参院福島)らが衆院選当時、条件なしで参加反対を訴えていたと追及され、答弁に窮する一幕もあった。
七月の参院選の候補者は不安を抱えての選挙戦となる。参院比例選出で夏の参院選は鹿児島から出馬する尾辻秀久前参院副議長は「(聖域が守られなければ撤退も辞さないとする党の)決議を守ってくれればいいが、守れるのかどうか」。北海道出身の橋本聖子参院議員(比例)は「『重要品目を守れないようであれば、即時撤退を』という強い意識を持って参院選に挑む」と強調する。
今後は参院選に向けてTPP問題についてどう表現するかも焦点になる。石破茂幹事長は十六日の民放テレビ番組で、自民党が聖域と位置付けたコメなど農産品五品目の関税引き下げもあり得るとの見方を示した。
民主党政権がマニフェストで示した約束の多くを守れなかったことで信頼を失ったのを目の当たりにしているだけに、与党としての責任と政策の継続性の中で悩むことになる。